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安倍晋三首相と中国の李克強(リーコーチアン、りこくきょう)首相との日中首脳会談で、両国の関係が改善に向けて動き始めました。このところ緊張が続いてきた日中の政治の関係が良くなってきたことで、経済関係も拡大しそうです。中国は年7%近い成長を続ける世界第2の経済大国。メーカーからサービス業まで、多くの日本企業が中国とのビジネス拡大を期待しています。就活生も中国の動向に注目して、業界・企業研究につなげてください。きっと面接で語れますよ。(編集長・木之本敬介)
(写真は、日中首脳の共同記者発表後、握手する安倍首相と李首相=5月9日、東京・元赤坂の迎賓館、代表撮影)
(写真は、日中首脳の共同記者発表後、握手する安倍首相と李首相=5月9日、東京・元赤坂の迎賓館、代表撮影)
尖閣問題で対立
日中関係は尖閣諸島問題をきっかけに対立が続いてきました。2010年に尖閣諸島沖で発生した漁船衝突事件で亀裂が深まり、2012年に当時の民主党政権が尖閣諸島を国有化してから対立が決定的に。この年、中国では各地で反日デモが起こって日本車が壊され、日系の百貨店が襲われる事態に発展。2013年には安倍首相が靖国神社に参拝したことも影響し、政府間の交流はしばらく途絶えました。もともとある歴史認識をめぐる対立や尖閣問題が解決したわけではありませんが、アジアの2大国がずっと角突き合わせているのはいいことではありません。安倍政権は対ロシア外交が思うようにうまく進まず、中国は南シナ海の領有権をめぐってベトナムなどと対立するなど、それぞれの事情もあって関係改善に乗り出したところです。「米国第一」を掲げる米国のトランプ大統領が保護貿易主義に傾くなか、自由貿易体制維持へ協力する意味もあります。
日中友好40年で「新しいスタート」
中国のトップは習近平(シーチンピン、しゅうきんぺい)国家主席。李氏はナンバー2ですが、首相なので安倍首相と会えば「首脳会談」です。今回は中国首相としては8年ぶりの公式来日。今年は日中平和友好条約締結40周年にあたり、安倍首相は「日中関係の新しいスタートを切る年としたい」と語りました。首脳会談では経済関係で以下のことに合意しました。
◆金融機関などが人民元で中国本土の証券に投資できる「人民元適格国外機関投資家」(RQFII)の投資枠が日本に付与されることになりました。欧米諸国には先に認められていて、日本が取り残されていました。三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクグループは枠を申請する方向です。
◆日中ビジネスの第三国での展開について話し合う官民合同の「委員会」の設置。
◆高齢化や教育などのサービス産業で技術協力を促進。
◆日中の映画製作者の交流強化や共同製作を拡大するための「映画共同製作協定」。
(写真は、日中平和友好条約締結40周年を記念するレセプションで乾杯する、左から李首相、安倍首相、経団連の榊原定征会長=5月10日、都内)
「一帯一路」への期待も
もちろん、政治が対立している間も、日中の経済関係が途絶えていたわけではありません。多くの日本企業は中国の巨大な経済に支えられてきました。いまや自動車販売数世界一ですから日本の大手メーカーは軒並み進出していますし、2018年3月期決算では中国での売り上げ増で過去最高益を記録した日本企業がたくさんあります。今回の「雪解け」で、日中間のビジネスが盛んになるのは間違いありません。これを機に、中国が推進するシルクロード経済圏構想「一帯一路」に積極的に参加して商機を広げようと期待する企業も多いようです。中国の人口は、日本の10陪超の約14億人。人口減少で国内市場が縮小する日本の輸出企業にとっては、こんなに魅力的な市場はありません。1人当たりのGDP(国内総生産)はまだ日本の4分の1ほどですが、富裕層や中間層が急増しており、訪日旅行客(インバウンド)も着実に増えています。国内産業も大きな恩恵を受けています。今後、その人口大国で高齢化が進みます。日本は「高齢化先進国」ですから、介護など高齢者向けビジネスを展開する企業にはチャンスです。
志望する業界・企業が中国とどう関わりがあり、今後どんな可能性があるか。ニュースや企業サイトで調べたり考えたりして、企業研究を深めてください。
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2024/11/22 更新
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