2017年10月13日

食品メーカー、商社…輸出に積極的な企業が見つかる!【今週のイチ押しニュース】

テーマ:経済

 日本の農林水産物と食品の輸出が増えています。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて和食ブームが起きているほか、日本の食べ物は「健康的でおいしい」と評判になっているためです。政府は現在7500億円の輸出額を、2019年に1兆円に増やす目標を立てています。食品メーカーや商社、物流系を目指す人は、こうした企業の取り組みにアンテナを張ってください。(編集長・木之本敬介)
(写真は、「『日本の食品』輸出EXPO」の会場)

政府の目標は食品輸出1兆円

 「『日本の食品』輸出EXPO」が11日から13日まで、千葉市の幕張メッセで開かれました。日本の農産物・食品の輸出拡大を目指し、海外のバイヤーらに商品を紹介する国内初の大規模見本市で、日本貿易振興会(JETRO)と農林水産省が開催に協力しています。国内の企業など約300社が出展し、6000人が訪れる見込みです。

 政府がこうしたイベントに関わるのは、農産物・食品輸出を成長戦略の一つと位置づけているからです。日本の農水産物や加工食品の輸出額は、2012年の4497億円から増え、2016年は7503億円と4年連続で過去最高となり、政府は1兆円を目指しています。国内は人口減少で縮みますが、世界の食市場は2009年の340兆円から、2020年には680兆円に倍増する見込みです。ただ、国ごとに比べると、日本は2013年で60位。日本の輸出先1位の香港でも、輸入額全体に占める日本の割合は2%にすぎず、8位です。逆に言えば、これから輸出を伸ばす余地があるとも言えます。
(写真は、見本市の紀文食品のブース)

ホタテ貝、お酒…

 は2015年の内訳ですが、中華料理の食材であるホタテ貝、日本酒、ウイスキーなどのお酒のほか、リンゴも「甘い」と評判です。政府の1兆円の目標では、半分がみそやしょうゆなどの調味料、即席めんやレトルト食品、菓子や清涼飲料といった加工食品です。

 日本と欧州連合(EU)の間で大枠合意した経済連携協定(EPA)や、米国が離脱したものの残り11カ国での合意を目指している環太平洋経済連携協定(TPP)など、いろいろな国との自由貿易協定の交渉が進んでいます。基本的に関税を引き下げて貿易を活発にしようというものですから、日本の農産物・食品輸出にとっては追い風です。
・「日欧EPA大枠合意はトランプ大統領のおかげ!?」(2017年7月6日)参照。

 ただ、2016年の日本の農産物輸出の伸びは前年比0.7%とわずかでした。輸出に不利な円高傾向が影響したとみられますが、海外の消費者のニーズに合わせて商品を開発する「マーケットイン」の発想が足りないとの指摘があります。コストを下げるための効率的な物流の仕組みづくりも課題です。まだまだこれから開拓していく分野ですから、企業はこれから入社するみなさんに期待しているはずです。

どんな企業が?

 見本市にはどんな企業が参加しているのでしょう。朝日新聞デジタルの記事では、白米より栄養分が多い「金芽米(きんめまい)」で知られる東洋ライス(本社・東京)や、完全養殖の「近大マグロ」の近畿大学と豊田通商のブースの様子が紹介されています。ほかにもマルコメ、ブルドックソース、紀文食品、伊藤ハム、日本水産、ブルボン、サントリーワインインターナショナルなどの食品メーカー、双日、兼松、国分といった商社、日本航空、JR西日本、日本通運など運輸・物流企業がずらり。出展企業は以下のURLから見ることができ、企業サイトにもリンクしています。輸出に積極的な企業を知るところから、業界・企業研究を始めてみましょう。
「『日本の食品』輸出EXPO」出展企業一覧
・近大マグロについては「マグロ完全養殖は成長産業 水産大手が続々参入!」(2017年8月9日業界研究ニュース)参照。
(写真は、見本市に出展した東洋ライスのブース)

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