ニュースのポイント
今の大学3年生(大学院1年生)の就活スケジュールが、今年と同じ「大学3年生の3月に会社説明会解禁」「4年生の6月に面接など採用選考解禁」に決まりました。経団連が採用選考の指針で正式に決めて発表しました。これまで「5日間以上」と定めてきたインターンシップ(就業体験)については、1日だけでもインターンとして認めると決定。この数年増えていた「1日(ワンデー)インターン」ですが、これからはますます増えそうです。学生にとっては、いくつもの企業のインターンに気軽に参加しやすくなります。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、経済面(7面)の「19年春入社の就職活動/インターン『1日』でもOK/経団連、『5日間以上』を改定/6月先行解禁は継続」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
3年連続
2019卒生の就活スケジュールは
図のように決まりました。これで3年続けて同じ日程となります。経団連はこの日程について「学生の業界研究、企業研究の時間確保に課題があるとの指摘もあるが、海外留学生や教育実習生をめぐる大きな混乱は見られておらず、全体的には評価することも多い」としています。就活日程は数年前まで毎年のようにコロコロ変更されていました。学生も企業も混乱続きだったことを考えると、日程が落ち着いたのは良かったと思います。みなさんは先輩の就活体験を参考に、自分の予定を組み立てることもできます。
そもそもなぜこの日程に落ち着いたのかや、メリットやデメリットについては、
「19年卒就活も『6月面接解禁』…なぜ?対応策は?」(2016年10月18日今日の朝刊)で書きました。読んでみてください。
経団連の榊原定征会長は「ベストのスケジュールではないが、大学も企業も受け入れられるという判断だ。恒久的とは認識していない」と言っています。今の2年生の就活日程はまだどうなるかわかりません。
最低日数要件を削除
インターンについて経団連は「春休みを中心に短期のインターンシップが急増している」としたうえで、「企業が柔軟かつ多様なプログラムを実施できるよう、最低日数要件を削除した上で、職場での受入れやインターンシップ受入れ後の学生へのフィードバックの実施など、教育的効果が高まる取り組みが望ましい」「教育的効果が乏しく、企業の広報活動や、その後の選考活動につながるような1日限りのプログラムは実施しない」という文書を発表しました。つまり、内容がしっかりしていて採用に直結しないものなら、「1日でもOK」と認めたわけです。
「1日」が6割超
インターンはもともとキャリア教育の一環ですから、ある程度の日数をかけて、企業が学生に実際の職場体験も交えて機会を提供するものです。欧米では、数カ月から1年間といった長期間のインターンが多いそうです。このため経団連は「5日間以上」やらないとインターンとは呼ばせないという立場でした。しかし企業にとって、長期間のインターンは手間ひまがかかります。
学情が今年1月に実施した企業アンケート(有効回答2307社)を見てみます。2018年卒生向けのインターンを実施した企業は4割。受け入れ日数は「1日」が最多で62.2%を占め、「2~3日程度」22.3%、「5日」~1週間程度」25.3%、「2週間~1カ月」12.3%、「1カ月以上」3.6%でした。学情の調査企業は中堅・中小企業が多いこともあり圧倒的に「1日」が多いという結果でした。
経団連の「1日インターン」容認は、この実態を追認した形です。インターンについては「1日でも『インターン』…積極的に参加しよう!」(2016年12月1日今日の朝刊)で詳しく書いています。
たくさん受けよう
1日インターンに対しては、「キャリア教育とはかけ離れている」「1日でまともな就業体験なんてできるわけがない」「会社説明会に毛が生えた程度で中身が薄かった」といった批判があります。たしかに、会社や仕事をより深く理解するには、長期間体験できたほうが良いに決まっていますし、内容が伴わない企業もあると思います。
一方で、みなさんが忙しい学生生活の中で何日間ものインターンに参加するのは、数社が限度だと思います。「1日」であっても、1~2時間の会社説明会よりは会社を理解できるでしょうし、何より気軽に何社も参加できるメリットがあります。
経団連の「採用選考に関する指針」の手引きには、「教育的観点から、募集段階において詳しいプログラム内容を学生に公開するとともに、職場への受入れや仕事経験の付与、インターンシップの受入れ後の学生へのフィードバックなどを行うことが望ましい」と明記されました。「1日インターン」の内容もこれから良くなるかもしれません。チャンスがあれば、ぜひたくさん参加することをお勧めします。
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