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経団連はインターンシップ(就業体験)について、これまで「5日間以上」としていた条件をなくすことにしました。今までも一般的には「1DAY(ワンデー)インターン」と呼ばれる1日だけのインターンを実施する企業はたくさんありましたが、経団連の「お墨付き」が出たことで、1~2日間の手軽なものがさらに増えそうです。気軽に参加できます。ぜひ積極的にトライしてください。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、経済面(8面)の「インターン短縮化 1日からでもOK/経団連 選考解禁は6月継続」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
(写真は、インターンシップイベントの様子=2015年11月)
そもそもインターンシップって?
経団連(日本経済団体連合会)は日本を代表する大企業約1300社の集まりで、就活スケジュールを定めている団体です。インターンを実施する経団連企業は年々増え、2016年卒向けで7割近くにのぼりました。経団連の「『採用選考に関する指針』の手引き」には、インターンに関する規定が載っています。
「学生の就業体験の提供を通じた産学連携による人材育成を目的とすることに鑑み、5日間以上の期間をもって実施され、学生を企業の職場に受け入れるものとする」
5日間に満たないものは、経団連のルールでは「インターンシップ」とは呼べなかったわけです。
しかし、実際には「1DAYインターン」が多数実施されていました。今年1月に学情が行った企業アンケート(2267社対象)では、2017年卒向けのインターンの日数は、「1日」が56.5%を占め、「5日~1週間程度」が23.8%、「2~3日程度」が19.3%でしたから、経団連の方針が現実を追認した形です。
増える「1DAYインターン」
インターンの日数は長いほど会社や実際の仕事を知ることができます。ただ、開催には会社の人事部だけではなく、営業や製造、開発など現場の社員の協力が必要です。職場体験にしてもワークショップにしても、プログラムの作成や実施には大変な手間ひまがかかります。中堅・中小企業の担当者に聞くと「やりたいが、うちでは無理」という嘆きをよく聞きます。5日間以上となると、人員に余裕がある大きな会社でないと、なかなか実施できません。
一方で、就活日程が短期化され、少しでも早く学生に接触して会社のことを知ってほしい企業にとって、3年生に早めに出会えるインターンは魅力的です。このため、今年は手軽に開ける「1DAY」が急増したわけです。経団連の方針で、「1DAY」でも堂々と「インターンシップ」と名乗れることになるのですから、今後ますます盛んになるでしょう。
インターンは劇的に重要に
経団連の指針の手引きには、インターンについて「採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行う必要がある」と書いてあります。しかし、学情のアンケートでは、「インターンで採用・内定出しをする」企業は6.9%だったものの、「参加者は選考で優遇する」企業は37.7%に上り、計約45%がインターンと採用を関連づけていると回答しました。「優遇」とは、インターン参加者対象の早期選考や1次面接免除などを指します。
無関係と答えた企業の中にも、インターン参加者限定セミナーなどを実施したところが多くあります。採用選考で企業が学生に会う時間は、面接を3回やっても合計1時間ほどですよね。1DAYであってもずっと長く学生と接することができるのがインターン。全く参考にしない会社は少ないと思ってください。就活生にとって、インターンは劇的に重要になってきたのです。
人気企業は狭き門、インターン落ちても諦めるな
いま、1~2月のインターンを募集している企業がたくさんあります。1DAYインターンには、2時間程度の会社説明会に毛が生えた程度の内容のものもあると思います。それでも、参加すればしただけ、会社のことをより深く知ることができます。社員にも出会えます。「あさがくナビ2018」から申し込んで、できれば数社のインターンに参加してください。
ただし、有名人気企業のインターンは採用試験よりも狭き門です。インターン選考に落ちたからといって、本番の採用選考を諦めるなんてことをしてはいけません。インターンに参加していないと採用選考で不利になることもありません。様々な業界に視野を広げ、ベンチャーや中堅・中小企業のインターンにも目を向けることが大切です。
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