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(写真はすべてiStock)
男性の労働時間長い職種ほど正社員女性比率少ない
朝日新聞デジタルでは昨年12月から「脱・長時間労働 人手不足だからこそ」という連載を展開しています。第1回の記事では、男性の労働時間が長い職種ほど、正社員として働く女性の割合が少ないという傾向がわかりました。
第6回の記事に登場する企業の社長は、「女性活躍」や「子育て支援」を強調する企業に、真の働き方改革はできないのではと語っています。いったい、どういうことでしょうか。
記事で取り上げられているのは、リモートワークの生産性を上げるための福利厚生サービスを手がけるHQ(東京都港区)です。同社の坂本祥二社長は、記事中でこう語っています。
柔軟な働き方取り入れ地方の優秀な女性人材取り込む
「長時間労働自体はそのままで、『女性や子育て中の人のため』として整備されたリモートワークやフレックス制は、それらの社員を『ノーマルに働けない人の保護枠』に押し込める制度だからです。本人は『第一線で活躍できていない』と感じてやりがいを持ちづらいし、周りも『ちゃんと働いてないのに給料をもらってずるい』となる」
この会社はリモートワークを実施し、首都圏以外にも多くの社員がいるそうです。また、フルフレックス制を導入し、深夜や早朝の労働も可能にしました。その理由は、子育て中の社員から「夜に静かな環境で集中して働きたい」と相談されたことだそうです。子育て中のは日中忙しく、子どもが寝たあとや起きる前に働きたい、といったニーズもあり、この企業では社会保険労務士に相談して制度をととのえたといいます。
場所も時間も自由、というかなり柔軟な働き方を導入したことで、「地方の優秀な人材、特に女性を採用できています」と坂本社長は記事中で語っています。仕事の選択肢が限られている女性にアプローチができる、といいます。
丁寧な制度設計が大事
リモートワークやフレックス制といった、柔軟な働き方を実現するための制度はいろいろとありますが、企業のなかで定着させるのは意外と難しいものです。コロナ禍がおさまり、リモートワークそのものを見直した企業も少なくありません。この企業ではリモートワークを定着させるため、たとえば同僚に仕事のことで電話していいかどうかといったかなり細かいことまでルールを決め、オフィスに社員がいないデメリットをなくそうとしているそうです。フルフレックス制導入に際しても社労士に相談し、従業員全員に導入の趣旨を説明するなど、丁寧に制度設計をしていることがうかがえます。だからこそ、この企業は優秀な人材の獲得にも成功しているのでしょう。ただ制度を導入するだけでなく、どれだけその制度を本当に使いやすいものにしているか、就活する際には企業トップの態度も含めて実情をしっかり把握する必要があります。連載第7回の記事では、学生が複数内定を獲得したうえでワーク・ライフ・バランスが整っている企業を選ぶことが多いと専門家が指摘しています。そのうえで、働き方の内実については企業採用担当者の言うことは信用せず、口コミサイトなどを参考にしている、とも語っています。OB・OG訪問や会社説明会などで実際の制度利用方法について確認するなど、関心のある方は情報収集をしっかりしたほうがよいでしょう。
「女性活躍推進」は本当に働きやすい企業か
坂本社長は、自分たちの会社の働き方は「全ての社員がワーク・ライフ・バランスを大切にしながら生産性を上げるための方法を追求した結果」といいます。女性や子育て世代といった特定の層にだけ配慮したような制度では、結局配慮された側がやりがいを失ったり、社内の分断をすすめたりする結果になりかねません。「女性活躍推進」という言葉を掲げている企業は本当にすべての社員にとって働きやすい企業なのか、こちらも内実をよくチェックする必要があると感じます。
やや話は違いますが、就活ニュースペーパーの連載「26卒学生の就活ルポ」に登場する女子学生は、内定先の企業から「女性らしい感性をいかして仕事をしてほしい」といわれたことにモヤモヤしているそうです。自分がいわゆる「女性らしい」という認識もなく、自分という人間をただ女性という属性だけで選んだのかと感じてしまう、といいます。「女性の活躍を後押しします!」という言葉づらだけにとらわれず、本当に自分の感性にあった企業を見つけて欲しいと願っています。
2025/01/16 更新
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※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
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