
3月1日から、就職活動が「解禁」されました。具体的には、2026年春に卒業予定の大学3年生らを対象にした会社説明会が、政府が要請する就職活動ルール上解禁されたということです。とはいえこのルールに強制力はなく、すでに多くの企業が事実上の採用活動をスタートさせているのはご承知の通りでしょう。学情の調べでは2月下旬時点で内々定率は54.3%と昨年から16.2ポイント増え、「解禁」前にすでに半数を超えています。
一方で、同じく学情の2月下旬時点での調査では、就職活動をしている学生は83.8%と昨年から2.8ポイント減ったのみで、就活は「長期化」の傾向も強まっています。労働市場の人手不足は引き続き深刻で、学生が卒業するぎりぎりのタイミングまで採用活動を続ける企業も少なくないでしょう。焦らずしかし油断せず、自分のやりたいことは何なのかを考え続けて就活に臨んでほしいと願っています。
なお、3月1日からあさがくナビは「Re就活キャンパス」に名称を変更しました。企業の採用活動が多様化していることを踏まえ、全学年を対象にした通年採用型のサービスにリニューアルし、「学年」ではなく「就職活動準備の進捗度」に応じた情報を届けるサービスになります。私の肩書も「Re就活キャンパス編集長」となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。(Re就活キャンパス編集長・福井洋平)
この時期から就活本腰入れる学生も
現状、政府が経済団体などに要請している就職活動のルールは以下の通りです。
・広報活動開始 :卒業・修了年度に入る3月1日以降
・採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
・正式な内定日 :卒業・修了年度の10月1日以降
これは、学生が就活に時間をとられて勉強ができないようになることを防ぐため、「学生が学修時間等を確保しながら安心して就職活動に取り組むことができるよう」につくられたルールです。しかしご承知の通りルールはほぼ形骸化していて、多くの企業が大学3年のうちから採用活動をスタートさせています。大きな要因となっているのが、2025年卒学生の採用からインターンシップの採用活動への直結が解禁されたことです。インターンシップの要件も5日間以上開催など厳格化されましたが、インターンシップから早期選考というルートがかなり一般化するようになりました。また、コロナ禍があけて以降は人手不足感も強まり、人材確保競争は激化。企業規模を問わず、早々と内々定を出す企業が増えています。
冒頭に述べたように、学情のデータからも就活の「早期化」ははっきりとしています。ただ、焦りは禁物です。大学関係者によれば、この時期から就活に本腰をいれる大学3年生も多く、就活生向けのガイダンスは年明けから人数が増えてきているといいます。また、人手不足は深刻化していて採用に苦戦している企業も多く、採用活動が急激になくなることもないでしょう。「仕事がみつからない」という心配は、かつての就職氷河期ほどはないと考えられます。いまから就活をスタートさせても遅すぎるということはありません。
「進路決めきれない」悩み増えている
むしろいま顕在化しているのは、「自分の進路を決めきれない」という悩みのようです。大学のキャリアセンターにも、「複数内々定を獲得したが、どうやって進路を決めたらいいか」という悩みが多く寄せられているそうです。また、人手不足のせいか企業側も焦って内々定を出すケースが多いのか、「たった1回の面接で内定が出たけど大丈夫なのか」という相談も目立っているともいいます。転職がごく普通の選択肢になってきているとはいえ、最初の企業選びはやはり大切。就職活動を機に自分のやりたいことをしっかり見つめ直し、今後のライフプランを考えることは売り手市場のいまもとても重要なプロセスだと感じます。その際に大切なことは、企業や社会についての情報をたくさん集めること。企業説明会に足を運んだり、社会人に話を聞いたり、「就活ニュースペーパー」や新聞などで気になる情報を収集したりすることで、自分の進路がだんだんクリアに見えてくるようになると思います。
今年3月1日から、「あさがくナビ」は名称を「Re就活キャンパス」に変更します。「すべての就活に、Respectを。」のスローガンを掲げる「Re就活ブランド」のサービスとして展開することで、「自分らしいキャリアの実現」を応援したいという想いを宣言するためのものです。自分らしいキャリアは、自分で探して見つけ出すもの。「就活ニュースペーパー」はこれからもその助けになりたいと考えています。今後も「就活ニュースペーパー」と「Re就活キャンパス」をよろしくお願いいたします。
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