言葉マイスター ナカハラハラハラ 略歴

2014年12月03日

10年続けたものこそ「財産」!~来年活動休止「Berryz工房」に学ぶ

 今回はことばの話はお休みです。久々にアイドルトークをさせて下さい(笑)。

 「アイドル戦国時代」などと言われる昨今。日本にはアイドルがどのくらいいると思いますか? メジャー、インディーズ(「地下アイドル」や「ライブアイドル」とも言われます)、地方を拠点とするローカルアイドル(=ロコドル)……。

 毎年夏に東京・お台場で開かれる日本最大級のアイドルイベント・TIF(=Tokyo Idol Festival)。5年目の今年は138組957人が参加しました。しかしこれも「ほんの一部」に過ぎません。

 ライトと声援を浴びてステージの上で歌い踊るアイドル。皆さんとは違う華やかな世界の人に見えますが、内実はなかなか大変です。ロコドルだとメンバー全員がマネジャーの運転するワゴン車に乗って深夜に東京まで移動、朝方温泉施設で汗を流してライブハウスへ……。全国流通するCDを何枚も出しているグループでも、アルバイトをかけ持ちしないと生活できない、なんてのはざら。ライブアイドルともなれば、ギャラは無いも同然。ライブと合わせて行われる「物販」(自分のグッズやCDを売ったり、チェキ撮影をしたりする)の売り上げが収入に直結してくるのでみんな必死です。もしかしたら、就活より大変かもしれません。

 そんな中、2004年3月デビュー後、10年間も活躍してきたアイドルが来春からの活動休止をこの夏表明しました。ハロー!プロジェクトの人気グループ「Berryz工房」です。グループ名を知らない方でも、バラエティ番組などで活躍する「許してニャン」で有名な「ももち」こと嗣永(つぐなが)桃子さんがいる、と言えば分かるでしょうか。

 6月に発売した曲「普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?」の歌詞がなかなか胸に刺さります。

 ♪アイドル10年やってらんないでしょ!?
 ♪石の上でさえ3年だよ
 ♪青春全部ささげた事は
 ♪誇りに思って生きて行くわ
 ♪アイドル10年やっちまったんだよ
 ♪バイト感覚じゃ続かないから
 ♪土日も全部ささげて来たよ
 ♪好きなことだって仕事となりゃ別腹だよ
 ♪それでもアイドル I love it!

 「やってらんない」と言いながら、強烈な誇りと自負を感じる歌です。さすがですね。

「10年続けたこと」は胸を張って語れ!

 さて就活では、ESや面接で鉄板の質問として「一番熱心に取り組んできたことは何ですか」というのがあります。多くの皆さんが「アルバイト」や「サークル」と答えます。もちろんそれがダメ、ということではありません。中身次第だと思います。しかしアルバイトやサークルの活動実績は長くて3年、下手をすれば2年くらいではないですか? まして「取り立てた中身」がないのなら、そんなものはまさに「バイト感覚」以下だと個人的には思います。

 何が言いたいのか? 要は「何か10年やり続けているものはありませんか?」ということです。20代前半の皆さんにとっては「人生の半分」ということで、なかなか厳しい質問かもしれませんが。

 日本企業も一昔前よりは「終身雇用」では無くなってきた、と言われます。しかしまだまだ企業風土としては「辞めずにコツコツ勤め上げる人」を重視するのが実情です。そこで求められるのはまさに「継続は力なり」という(ある意味ベタな)誠実さです。

 面接やESで、華やかな経歴を持っている人に対して「私は何も言うこと(書くこと)が無いので……」と萎縮してしまう人をよく見かけます。そんなことはありません。

 極論すれば、「高校の2年間、陸上部でインターハイに出た(そして今はやっていない)」ことより「(なんの大会に出たわけでもないけれど)小中高大とずっと毎週1回のプール通いを欠かしていない」ことが評価される。それを頭の片隅に置いてほしい。

 日本企業(の多く)は最初から「出来る」と思って新入社員を取るわけではない。「問題を投げ出さずに取り組める人」を見極めているのです。だからこそ、あなたの持つ「10年」を胸を張って語って下さい。

 「芸能界、しかも若い女性が活躍するアイドル業界を就活と一緒にされてもなあ。しかもハロプロはメジャーだから結構売れてるじゃん……」。なんて思う人がいるかもしれません。

 次回は、相次ぐ不幸とトラブルを超えて、苦節12年目にしてまさに「花開こう」としているローカルアイドルを紹介します。これまたベタですが「諦めない」事の大切さにつながる話です。