12月15日付オリコン週間ランキングの速報が9日発表されました。「光のシュプール」で初登場5位に入ったグループが「Negicco(ねぎっこ)」。新潟市を拠点に活動する女性3人組アイドルグループです。
前回「キャリア10年」のBerryz工房の話をしましたが、Negiccoは2003年結成で今年なんと12年目です。しかも最初から鳴り物入りでデビューしたBerryz工房とは違い、苦労を重ねてやっとここまでたどり着きました。
Negiccoは新潟県産「やわ肌ねぎ」をPRするユニットとしてデビュー。期間限定のはずが、好評の声を受け活動延長。翌04年にはNHKの全国音楽番組にも出演するなど、活動当初は順調に見えました。
しかし、ここからが大変。所属していた芸能スクールが突然廃校。所属事務所を移った後も「一番歌唱力がある」と定評のあったメンバーが卒業し、新メンバーも1年強で卒業。手焼きのCD-Rを手売りするなど苦労を重ね、解散覚悟で臨んだアイドル勝ち抜き番組で優勝したのに約束のメジャーデビューが主催者の都合でご破算になったこともあります。
それにもめげず、まさに根っこがじっと栄養を蓄えるように活動を続けて結成8年目の2011年6月。大手CDショップチェーン「タワーレコード」が立ち上げたアイドル専門レーベルに所属することが決まり、一気に注目する人が増えます。12年には前回も書いた、日本最大級のアイドルイベント・TIF(=Tokyo Idol Festival)にも初出場しました。そこからさらに3年、ようやく目標のひとつとしていた「オリコントップ10以内」を今回かなえたわけです。
なぜ、彼女たちはここまで辛抱強く耐えてこられたのか。その原動力のひとつに、私がこのコラムにも掲げている「愛され力」があると思います。
昨年リリースされた「アイドルばかり聴かないで」は元ピチカート・ファイヴの小西康陽さん、今夏(前作)の「サンシャイン日本海」はオリジナル・ラブの田島貴男さんが作詞作曲プロデュース。いずれの名前も就活世代の皆さんにはピンと来ないかもしれませんが、私のようなアラフォーにとっては「渋谷系」という90年代を彩った音楽ムーブメントを主導した一流ミュージシャンばかりです。
デビュー以来今まで彼女たちに作品を提供してきたconnie(コニー)さんは、新潟市内の建設会社員という本業がありながら彼女たちに多大な時間を費やしてきました。タワーレコードの嶺脇育男社長も所属前からのNegiccoファン。メンバーが出演していた温泉施設のライブにも訪れ、ふらりと最前で見ていたと言うから驚きです(メンバーはそんな偉い人とは全く知らなかったそうです)。
なぜこれだけ多くの人が引きつけられるのか、Negiccoの握手会に行くとそれがよく分かります。長いキャリアにも関わらず、全く「すれて」いない。デビューしたての新人のようにいつも謙虚です。メンバー同士が醸し出す空気も温かい。とても大人の裏切りや苦渋を山ほど体験してきたとは思えません。たくさんのアイドルを見てきている私ですが、この空気感は他にないものです。利害や虚栄心なく「応援したい」という気持ちにさせられます。
その「愛され力」はどこから来るのか。リーダーのNao☆さんがよく口にする言葉があります。
「夢をかなえた人は夢を諦めなかった人」。
青臭いかもしれませんが。これがひとつの答えではないでしょうか。
就活に臨む皆さんも、どうか心に留めて下さい。これからたくさん思い通りにいかないことがあるでしょう。でも、最後に笑顔で就活を終わるためには「諦めない」ことが一番です。これは就活を終えてからも必要です。会社に入って本当に自分がしたいことは何か。それを成すために何をすればいいのか。「諦めない」強さが、夢をかなえる強さ、周りに愛される強さを生むのだと思います。