「分かりやすい言葉で書こう(話そう)」「易しい言葉=優しい言葉」
だと主張してきました。その考えに変わりはありません。しかし今回と次回は、「あえて」難しい言葉(と言うほどのものではありませんが)をほんの少し使ってみよう、というテーマです。
「難しい」と言っても、誰もが知らないようなマニアックで専門的な言葉を使え、ということではありません。日本語の魅力のひとつである「要約力」「端的に物事を表す力」を借りるのです。具体的に言うと、四字熟語や格言、故事成語をうまく生かそう、ということです。
平易で分かりやすい表現(言葉遣い)の中に、スパイスのようにそれらを織り込む。ESなら目で見て、面接なら耳で聞いて、うまくインパクトを与えることができます。
今回は四字熟語に焦点を当てます。書籍でも、それこそウェブでも構いません。まずは「自分の好きな」四字熟語を三つか四つ探してみましょう。ここで気をつけておきたいのは、
「探しているうちに字面や響きが気に入ってお気に入りになったけど、初めて知った!」
という場合。その時は必ず「意味」も覚えるように心がけて下さい。元々知っていて「意味」を押さえている四字熟語ならいいですが、ものによっては面接官に「それってどういう意味?」と聞かれることは十分あり得ます。その時に「いや、なんとなくかっこいいので」ではさすがに頂けません。あと「正しい読み方」も! いい加減に覚えていて、面接官に訂正されたりしたら、それこそ逆効果です。
それができたら、次は「自分を表す」四字熟語を同じくらい探してみましょう。このストックがあれば、ESや面接の定番、「あなたの性格(や人柄)を端的に表して下さい」と言うときに、文章ではなく
「○○○○です!」
と四字熟語で答えられる。シンプルかつ知性を感じさせ、お手軽な割にそれなりの効果があります。複数用意しておくのは、同じように「四字熟語」で答える人がいて、先に「持ちネタ」を言われてしまった時のためです(エピソードトークを複数持っておくのと同じですね)。
一番大事なこと。当然ながら、就活というのは基本的には「前向き」な活動でなくてはなりません。以前の「ネガ→ポジ」ではありませんが、なるべく明るく建設的な四字熟語を選ぶように心がけましょう。ある程度この「技」に慣れてきたら、「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」のようにおどろおどろしいものをあえてチョイスして、そこから話を膨らませる……なんてこともできますが、素人は事故る可能性大ですから、あまりオススメしません(笑)。
いくつか、「使えそうな」ものをピックアップします(意味は「デジタル大辞泉」を参照しました)。
・一意専心(いちいせんしん)「わき目もふらず心を一つのことだけに注ぐこと」
・刻苦勉励(こっくべんれい)「大変な苦労をして、勉学などにつとめはげむこと」
・思慮分別(しりょふんべつ)「物事の道理や正邪・善悪などを注意深く判断すること」
・泰然自若(たいぜんじじゃく)「落ち着いていて物事に動じないさま」
・内剛外柔(ないごうがいじゅう)「うわべは優しくおとなしそうに見えるが、意志が強くしっかりしていること」
・百折不撓(ひゃくせつふとう)「何回失敗しても志をまげないこと」
・無私無偏(むしむへん)「私心・私欲がなく、公平なこと」
もちろんこれ以外にも山のように四字熟語はありますから、ぜひあなたの「身の丈に合った」ものを探してみて下さい。