文章術に「絶対」や「王道」はないのですが、就活でESや作文・論文を書き始める際、間違いなく有効な「技」がひとつあります。それは
「前置きは要らない」
ということ。
具体例を見てみましょう。「消費増税について、あなたの考えを述べて下さい」というお題に対して、以下のような書き出しをする人、いませんか?
1:「消費税は2014年4月に8%になった。更に15年10月には10%に上がることが予定されている。さて~」
2:「消費増税は社会福祉充実のためである、と財務省はじめ政府は語っている。さて~」
3:「消費増税と言えば、私のアルバイト先であるコンビニでは~」
いずれも悪い書き出しの典型。「据わりが悪いから」という理由で前置きを書きたくなる気持ち、分からなくはありませんが、はっきり言って全くの無駄です。
これまでも何度か書いてきましたが、就活は「ビジネスの入り口」に皆さんを立たせるものです。
ビジネスの世界で求められるものとは「スピード」と「結果」、文章で言うなら「答えを早く出せ」ということです。このお題なら消費増税について賛成なのか反対なのか、決めかねているのなら「賛否について悩んでいます」とまず言い切る。話を展開させるのはそこから。
1は全くの「一般論」から始めています。誰でも知っている(このくらいのこと、知らないと困ります)「事実」から書き始めるのは字数の無駄。ばっさりカット。
2も近いですね。仮にその「政府の主張」に賛同があるのなら、そこから書き始める。例えば
2’:「消費増税は社会福祉のために使うと政府は言うが、私はその必要はないと考える。なぜなら~」
インパクトがありますね。続きを読みたくなる。
3は上二つに比べるとまだマシです。個人的な体験から書き出そうとする姿勢は悪くない。ただこれも「消費増税と言えば~」というお題の繰り返しが無駄です。
3’:「消費増税なんて厄介でしかない。私のアルバイト先のコンビニで~」
以下、小銭で困った体験や自分のアルバイト時給など「身近な」目線で語り始めると面白くなりますよね。
作文だけではなくESでもそう。鉄板の「あなたの長所を教えて下さい」「あなたが打ち込んだことを教えて下さい」に対して
「私の長所は~です」
「私が最も打ち込んだのは~です」
と書く人の多いこと多いこと。繰り返します。
要 り ま せ ん 。
「気が長いことです」「忍耐力です」「気配りできることです」。続けてそれを裏付けるエピソードを展開する。
「小学校2年生から続けている水泳です」「大学2年から始めたボランティアサークルです」。続けて体験談。
これで十分。全く失礼ではありません。文字で書くと冷たく見える(=失礼ではないか)、と心配する人が多いのですが、ESではなく面接(=会話)だと考えると分かります。相手の質問をおうむ返しにするのは「こいつ人の言うこと聞いてないのか?」と思われてしまいます。もっときつい事を言えば、頭が悪くさえ見えます。
「まず答えろ!話はそれからだ」。これを常に念頭に置いて下さい。