あきのエンジェルルーム 略歴

2014年10月23日

いつでも働き方を変更できる!「オールフリー」な会社発見 ♡Vol.8

 いつも心にエンジェルを。

 「とにかくバリバリ働きたい」「仕事も家庭もバランスよく」「しばらくマイペースで働きたいな」。みなさんも、入社後の働き方のイメージはそれぞれ違うでしょう。
 1人の社員が、自分のライフイベントに合わせて、いつでも働き方を変えられる会社があります。しかも理由は、子育てに限りません。趣味の充実、副業との兼ね合いなど、なんでもいいというんですから驚きます。
 まさに“エンジェル”な選択型人事制度をもつ、この会社の名前はサイボウズ(東京都文京区)。1997年、愛媛県松山市で創業したソフトウエア開発会社です。国内社員数は約400人、上海やベトナムにも拠点があり、海外にも社員が約100人います。女性社員は4割弱、日本企業の平均を大きく上回っています。
 2014年には、「働きがい」について世界基準で調査分析しているGPTWジャパン(東京都)が選ぶ「働きがいのある会社」ランキングの従業員100~999名部門で12位にランクイン。経済産業省主催の「ダイバーシティ経営企業100選」も受賞しています。
 選択できる働き方は9種類あり、それぞれ名前があります。大きく分けるとバリバリ型「PS2」、バランス型「PS」、マイペース型「DS」の三つ。さらに自由度などに合わせて3段階に細分化されているそうです。

 プレステにDS……。働き方になぜ人気ゲーム機の名前を?

 同社人事部マネジャーの松川隆さんは「どの働き方を選んでも、それは“趣味”“好み”の問題であって、“優劣”ではない。だから、どれを選んでもいいんだよ、と。そういうメッセージを込めたネーミングです。単にダジャレ好きの会社という説もありますが……(笑)」とその理由を教えてくれました。最初はバリバリ型とマイペース型の2種類だったそうですが、その後、中間のバランス型を設定したそうです。

 新入社員はまずバランス型のPS(残業時間:月40時間以内)で1年間働き、2年目から、好きな働き方を選べます。男性でもDS(マイペース)を選ぶ人もいれば、もちろん女性でPS2(バリバリ)を選ぶ人もいます。しかも、DSを選んだからといって、一律に給料が下がるわけでもありません。すごーい!

 とはいえ、サイボウズも最初から、こんなに柔軟な会社だったわけではありません。仕事が大好きな仲間が集まって起業したITベンチャーですから、社長はじめ、創業メンバーはみな「馬車馬」のように働いていました。そのせいか、社員の入れ替わりも激しく、2005年には離職率が28%にまで上がってしまいました。
 拡大、成長を続けるなか、仲間を簡単に失うことのない働き方はないものか、そこからサイボウズは変わりました。
 考え方も環境もさまざまな社員がいるのに、働き方が一つだけなんておかしい、社員の数だけ、働き方があってもいいのではないかと。
 
 2006年に最長6年間までOKという破格の「育児介護休暇制度」(しかも男女いずれも取得可)を導入しました。ちなみにこれまでで一番長い取得期間は4年半だったそうです。
 そして、2007年に今回紹介した「選択型人事制度」が、2010年からは在宅勤務制度もスタートしました。さらにさらに、2012年から働く時間・場所を制限しない「ウルトラワーク」という制度も作りました。自宅はもちろん、カフェでも図書館でも、申告して認められれば、どこでも労働時間としてカウントされます。子連れ出勤もできます(上写真)。

 そして、転職や留学など自分を成長させるために退職する人が、最長6年間は復職できる制度も作りました。育児休暇ならぬ「育“自分”休暇制度」です。休暇とはいえ、いったん退職しているので無給ですが、自分の「居場所」が確保されていると安心できますよね。これまで、海外青年協力隊の一員としてボツワナに派遣された社員らに、6年間有効の「再入社パスポート」が発行されました。(右写真は2013年にパスポートを取得した長山悦子さん)
 同じ年から副業も解禁になりました。業務や会社のブランドイメージにマイナスにならない限り、どんな副業も原則OKなのだそうです。週末に農業をしたり、子どもに水泳を教えたり、は想定の範囲内ですが、同業他社で副業している社員もいるといいますから、太っ腹です。

 働き方を見直した結果、2013年の離職率は4%にまで激減しました。新卒に限れば3年離職率は1.6%です。

 2007年に入社し、2012年に男の子を出産した財務経理部の江藤真由美さん(31)は言います。(下写真の左が江藤さん、右は人事部松川さん)
 「入社したとき、同じ部署に育休中や育休明けの先輩社員がいて、社員の間で、“お互い様”という文化が自然に培われている気がしました。育休から復帰してからも、『子どもが熱を出した』と部署で共有しているグループウエアにひとこと書き込めば、自分から頼まなくても、『これとこれは私がやっとくから』『このお客さんは私がフォローするね』と次々に同僚や先輩からメールが入ってきて、うれしかった。子育てに限らず、どんなトラブルもチームで対処できるから、安心して働けます」 
 採用事情ですが、新卒採用は20~30人程度。スキルより「正直で素直で元気のある人」を見極めるために、6次面接までしているそうです。面接では「とにかく人柄を知りたいので、自分をそのまま出してほしい」(松川さん)とのこと。

 サイボウズに限らず、どの会社も「ありのままの~♪」アナタを知りたがっていますよ。健闘を祈ります。