あきのエンジェルルーム 略歴

2014年10月30日

女性にキバむく「仮面エンジェル企業」の見分け方 ♡Vol.9

 いつも心にエンジェルを。

 前回は、サイボウズの充実した制度にすっかり舞い上がってしまいました。紹介しておいてナンですが、あそこまで社員の働きやすさにこだわっている会社は、残念ながらほんの一握りです。(前回も読んでね)
 
 いずれにしても、本当に働きやすい会社かどうかは、そこで働いている社員に聞くのがイチバン! そこでOB・OG訪問をしたときに、どんな点を確認したらよいか、みなさんに伝授します(写真:PIXTA)。

 ママ目線で日本の企業を仕分けすると、ざっくり以下の3種類となります(奥村調べ)。
①【非エンジェル企業】 女性社員は一般職採用や非正規が主流。総合職コースがあっても、男性並みに働けない女性はいらない、という企業。セクハラ、マタハラに遭遇する確率高し!

②【準エンジェル企業】育休もある。時短もある。ママになっても働き続けられるけど、やり甲斐や出世までは望めない企業。負荷の少ない、ママ社員用の「部署」が存在することも多い。

③【真性エンジェル企業】性別による賃金の格差なし。男女ともに結婚、出産、介護など、環境の変化によって働き方を選べ、時短制度や休暇の取得が、賃金や評価に直結しない企業。
 まあ、日本企業の多くはまだ①【非エンジェル】でしょう。ネームバリューがあり、ワークライフバランスについての意識も高い大手企業でも②【準エンジェル】がやっとこさですかね。③【真性】はなかなか見当たりません。
 企業のHPや採用情報を見てもわかると思いますが、みなさんが志望するような有名な企業は、育休制度はもちろん、子育て社員向けの時短制度なども整っているところが結構あります。しかし、いったん、勤務時間を短縮したり、管理職を外れたりして、ママ社員部署(労働市場では「マミートラック」といいます)に配置されると、その後、男性と同じような「出世レース」に復帰することは困難です。
 先日、最高裁で「本人の同意なしに妊娠・出産を理由に降格することは違法」との判断が出ましたが、現実的にはおそらくキャリアダウンすることが多いでしょう。本人が責任の重い仕事を望まない場合もあるでしょうが、その女性社員に「能力」や「出世欲」があったとしても、いったんマミートラックに移った女性社員に、やり甲斐のある仕事や立場は簡単にはまわってきません。
 女性管理職を2020年までに30%にまで増やそう、という動きに対し、公の場ですら、「女は下」「女性のために男性管理職を追い出すのか」などと批判される時代です(写真:PIXTA)。
 悲しいことですが、一度でも「時短勤務」など、男性社員から見れば「優遇された」(その女性社員が家庭で子育てや家事労働をしこたまやっていたとしても)女性社員に、男性社員はもちろん、そのしわ寄せを受けた(と感じている)他の女性社員も厳しい目を向けるでしょう。

 もし、出産後も働き続けたいなら、現実的な選択は②【準エンジェル】の中で、徐々に③【真性】に近づいていきそうな企業をさがすことです。 
 どうやって見分けるか。OB・OG訪問のチャンスがあったなら、以下の3点を確認してください。

1:正社員に占める女性の割合
2:管理職(課長以上)に占める女性の割合
3:35歳時の男女賃金格差

 1と2の割合はもちろん多いほうがいいですし、3の格差はできるだけ小さいのが望ましいですよね。そして、次に、その企業におけるママ社員の割合(人数)と年齢層を聞いてみてください。
 
 実は②【準】には、③【真性】に近づくどころか、再び①【非エンジェル】に後退していく可能性のある企業も多く隠されています。特に、今回のアベノミクスにより、ここ数年、急に女性雇用に積極的に取り組み始めた「仮面エンジェル企業」がキケンです。
 ママ社員への制度拡充により、女性社員も出産後、復帰することができるようになりました。多くの②【準】企業は、ママ社員を、「昭和のオジサマ的やさしさ」をもって、仕事の負荷の少ない部署へ配置します。

 男性社員や独身女性社員がたくさんいて、ママ社員がほんの一握りであれば、その「優遇措置」は、全体に吸収されて、特に問題なく、維持されます。
 しかし、女性社員が増え、ママ社員が増え、負荷の少ない部署はもうママ社員で満杯。そうなったらどうでしょう。ママ社員の負担軽減分を周囲の旧モーレツ型社員で埋められなくなったとき、このシステムは崩壊し、再び「女性の採用数は絞ろう」、あるいは「ママ社員も激務部署に配置して、自主退職をしてもらおう」などという流れが生まれかねません。
 
 他の社員の働き方はそのままに、ママ社員だけを特別扱いする会社ではく、全社的に残業を減らすといった取り組みをしている会社をさがしてみましょう。

 できれば、②【準】の中でも、最近になって急に女性雇用に積極的になった企業ではなく、30代、40代のママ社員がゴロゴロいて、「ママ慣れ」した企業が望ましいですね。そこには女性活用のノウハウが蓄積されているはずです。

 もしくは、逆に、紅一点主義で「昭和のオジサマ的やさしさ」を享受できそうな、女子社員数の極端に少ない企業で甘やかしてもらう、という”奇策”もあります。

 人生についての考え方は人それぞれですが、就活に丁寧な企業研究は欠かせません。「備えあれば憂いなし」「急がば回れ」を実践してください。