あきのエンジェルルーム 略歴

2014年11月06日

「甲斐性」(福利厚生)にこだわりすぎると、モテません。♡Vol.10

 いつも心にエンジェルを。

 男の甲斐性……。昔、そんな言葉がありました。「愛人の1人や2人つくってこそ男の甲斐性」、「家を建てるのは男の甲斐性」などなど。おお、なんという時代錯誤! 
 就活と恋愛はよく似ていると言われますが、「あなたが高給取りだから」「あなたが家事を分担してくれるというから」なんて理由を言われて、女子から結婚や交際を申し込まれて、うれしくなる男子はなかなかいないでしょう。企業もそこは同じだと思います。
 (上写真は西郷隆盛の揮毫「敬天愛人」。「天を敬い人を愛す」の意味。本文とは関係ありません)

 最近、企業の人事担当者とお話しする機会が多いのですが、子育てを支援する制度をはじめ、福利厚生が充実した、いわゆる「エンジェル企業」の担当者ほど「そこばかり就活生に注目されるのは複雑なんです」と言います。

 そりゃそうですよね。企業としては、自分の会社のどこに魅力を感じているのか、どういう風に自分の力を生かしたいのか、そして一緒に働きたいと思ってくれているか、その熱意を知りたいのです。
 なのに、出合い頭(面接、OB・OG訪問など)に「結婚できますか」「子育てできますか」「どんな休暇制度がありますか」など、入社した場合の自分にとっての「メリット」や「権利」ばかり気にする姿を見せてしまうと、好印象をもってもらうのは難しいでしょう。
 ましてや、いきなり「御社は育休の制度が整っていると聞いたので」と言われて「まあ、うれしい!」と思う人事担当者はいません(キッパリ!)。
 前回、エンジェル企業を見分けるコツ、確認すべきポイントを伝授しましたが、それをいつ聞くか、タイミングを間違わないようにしてください。(前回も読んでね)

 まずは熱意を示し、自分の人柄を理解してもらい、ある程度、「愛された」「好感をもたれた」と確信をもってから、「条件闘争」にうつってください。恋愛と同じで、この順番を間違えると大変ですよ。企業の公式HPなどでも、福利厚生についてのおおまかな情報は得られます。ただ、そこには“いいこと”しか書いていませんので、もう少し客観的な評価を知りたいところです。

 そこでまず見てほしいのが、昭和女子大の女性文化研究所企業評価プロジェクトチームが発表している「女子学生のためのホワイト企業ランキング」です。(左写真は昭和女子大の坂東真理子学長。ベストセラー『女性の品格』の著者でもある) 
 2013年11月の第1回では、【銀行業・サービス業編】を、2014年6月の第2回では【小売り業、化学・化粧品業、情報・通信業編】を発表しました。
 女性社員の働きやすさを評価するための主な指標は2種類あります。
 指標Aでは、平均勤続年数や有給取得率などから女性社員が働き続けやすいかどうかを調べ、指標Bでは、管理職女性の比率や勤務時間の柔軟性など、女性の能力活用に対する積極性がわかるようになっています。
 A指標では、30代と40代で、社員全体に占める女性比率がどう変わるかも調べています。この差が大きければ、出産などを機に退職する女性社員が多いということが推測できます。

 家庭も仕事も、という女子学生には指標A、指標B、いずれも高めの企業がおすすめですが、両方上位というのは少ないです。出世にはこだわらないけど、働き続けられる環境はほしい、という女子学生ならB指標は平均以下でも、Aの指標の高めな企業を選べばいいですね。
 とにかくバリバリ仕事をしたい、管理職にもなってみたい、という女子学生なら逆に、A指標は平均以下でも、B指標が高い企業を選べばいいのです。
 2014年11月下旬には第3回【食料品、卸売、輸送用機器業編】も発表される予定です。徹底して女性目線で評価されていますので、企業研究の入り口として、きっと役に立つと思います。
 他には、経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」なども参考になります。ダイバーシティとは、女性や外国人、高齢者など多様な人材を活用する考え方です(画像:経済産業省HPより)。
 もう一つ、厚生労働省の「均等・両立推進企業」の受賞企業一覧を見れば、仕事と家庭の両立支援に積極的な企業がわかります。グランプリ的な厚生労働大臣優良賞だけでなく、各都道府県の労働局長賞などもあるので、地元で就職したい女子にも便利です。
 女性活用に積極的でも経営が不安定では困りますよね。その不安を取り除いてくれるのが、女性活用に積極的、かつ財務面でも健全な企業を経産省と東京証券取引所で選定する「なでしこ銘柄」です。いずれもネットで情報収集できます(画像:経済産業省HPより)。

 とはいえ、ランキングの上位や、企業表彰を受けるような企業は、日本の企業全体からみればほんの一握り。しかも、当然、人気がありますから狭き門である可能性も高いと思います。
 大きな企業でも、制度があるだけで実際には利用しにくいとか、利用はできるけれど、結果的に収入や昇進などで不本意な扱いを受けるといったケースもあります。整った「外見」だけに惑わされず、ぜひOBやOG訪問などを通じて、聞く“順番”に細心の注意を払いつつ、じっくりと自分の目で確かめてください。

 場合によって、制度は整っていなくても、経営幹部との距離が近い中小企業のほうが、女性社員の働きぶりが認められやすく、福利厚生の面でも個々の事情を配慮して、柔軟に対応してくれることもあります。就活に「セイカイ」も「ゼッタイ」もありません。

 あなたなりの「エンジェル企業」が見つかるよう応援しています。