「七五三」ってなんのこと? みなさんの狐につままれたような表情が目に浮かびます。あとで詳しく説明するので、ちょっとだけ待ってくださいね。
これから社会人になるみなさんに、今回はワークライフバランス(WLB)研究の第一人者で、東レ経営研究所研究部長の渥美由喜(なおき)さん(下写真)の話を紹介します。シンクタンクの研究員として国内外のワークライフバランス、ダイバーシティー先進企業を訪問し、財務データとともに分析してきました。
略歴
2015年03月19日
渥美さんは「WLB」を「ワーク・ライフ・バランス」の頭文字をとって、「ワ(分かち合い)・ラ(楽あり苦あり)・バ(バトンリレー)」と意訳されています。人生の苦楽を分かち合える、支え合える相手をどれだけ持てるかで、その人の仕事も含めた人生の「質」が決まるといいます。一番身近な存在であるパートナーはもちろんですが、親や兄弟姉妹、会社の同僚、ご近所さん、一人ですべてを抱えこむのではなく、いろんな作業や負担を「バトンリレー」できる関係を作ることが肝心だというのです。
さて、冒頭の「七五三」です(遠い道のりでしたね)。よく、日本の男性は、生き甲斐が仕事しかない「会社人間」などと言われますが、男女にかかわらず、「職業人、家庭人、地域人の三面性」を持つべし、というのが渥美さんの持論です。そして、自分の労力、パワーを注入する割合は「七五三」、「7割(仕事):5割(家庭):3割(地域)」を目指しましょう、と呼びかけています。
渥美さんは4歳と8歳の男の子の父親です。妻も大手IT企業の部長職としてバリバリ働いています。夫婦ともに働き盛りの「会社員」、そして「子育て」と「家事」、さらには、認知症の父親の「介護」、闘病中の次男の「看病」という役割を担っています。それでも地域人として、20年以上続けている「子ども会」などでのボランティア活動もあきらめていません。役割の頭文字から「6Kライフ」と渥美さんは呼んでいます。育休も2回とも取得しています。渥美さんは言います。
一生独身、あるいはパートナーが専業主婦あるいは専業主夫だったとしても、100%仕事というのはキケンです。なぜなら親の介護という可能性があるからです(左写真は介護支援ロボット「ROBEAR」。本文とは関係ありません)。

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