一生独身、あるいはパートナーが専業主婦あるいは専業主夫だったとしても、100%仕事というのはキケンです。なぜなら親の介護という可能性があるからです(左写真は介護支援ロボット「ROBEAR」。本文とは関係ありません)。
2013年に総務省が発表した「就業構造基本調査」によると、介護をしながら働く「ワーキングケアラー」は約290万人、介護をしている約560万人の過半数です。追い詰められて、急に仕事人としての割合を下げるのではなく、社会人としてのスタート時から仕事人以外の「枠」(時間)をきちんともっていれば、ライフプランの「変化」に柔軟に対応できます。
渥美さん自身、以前いた職場で、数カ月単位の育休取得や、休日を使ったボランティアなどの取り組みに対し、上司から「キャリアに傷がつく」「妻選びを間違った」「無償労働をする人間は無能だ」「評価を下げるぞ」といった理不尽な対応をされた経験があります。だからこそ最後は、「家族は変えられないけど、会社や仕事は変えられる」と吹っ切れた、といいます。実際に転職もされています。
「無理解な職場だからと何もしないで我慢する、あきらめてすぐ辞める、というのはダメ。意思表示すれば、同じ悩みを抱えている人が職場のどこにいるかわかります。共感の連鎖が広がれば企業風土だっていつか変わる日が来ますよ」
そう、「もともと地上に道はない。歩く人が多くなればそれが道になる」(魯迅)のです。