最初から読んでくれている人はご存じかと思いますが、この連載のタイトルは「天使の分け前(エンジェルズ・シェア)」という言葉から思いつきました。お酒好きならではのネーミングです。毎回おきまりの冒頭の一行は、今は亡き劇作家つかこうへいさん(享年62=下写真)の名作戯曲「いつも心に太陽を」から拝借しています。いまやベテラン俳優となった風間杜夫さんや平田満さん、石丸謙二郎さんがほとんど半裸で走り回る、めくるめくゲイの世界のストーリー。
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略歴
2015年02月05日
就活のキーワードは「共感力」 謝罪会見にヒントあり!? ♡Vol.22
いつも心にエンジェルを。
最初から読んでくれている人はご存じかと思いますが、この連載のタイトルは「天使の分け前(エンジェルズ・シェア)」という言葉から思いつきました。お酒好きならではのネーミングです。毎回おきまりの冒頭の一行は、今は亡き劇作家つかこうへいさん(享年62=下写真)の名作戯曲「いつも心に太陽を」から拝借しています。いまやベテラン俳優となった風間杜夫さんや平田満さん、石丸謙二郎さんがほとんど半裸で走り回る、めくるめくゲイの世界のストーリー。
最初から読んでくれている人はご存じかと思いますが、この連載のタイトルは「天使の分け前(エンジェルズ・シェア)」という言葉から思いつきました。お酒好きならではのネーミングです。毎回おきまりの冒頭の一行は、今は亡き劇作家つかこうへいさん(享年62=下写真)の名作戯曲「いつも心に太陽を」から拝借しています。いまやベテラン俳優となった風間杜夫さんや平田満さん、石丸謙二郎さんがほとんど半裸で走り回る、めくるめくゲイの世界のストーリー。
30年以上前の舞台ですが、今もはっきり覚えています。これを小学生に見せる親もどうか、と思いますが、つかこうへい劇団に限らず劇団四季、宝塚歌劇団と幅広く連れ回してくれたおかげで、私はすっかり演劇好きになりました。親と同じく、小劇場から歌舞伎座までなんでもござれの雑食です。
そんな私が大好きな劇作家の一人が井上ひさしさん(享年75=下写真)です。
そんな私が大好きな劇作家の一人が井上ひさしさん(享年75=下写真)です。
井上さんの戯曲に「きらめく星座」というものがあります。舞台は昭和初期、オデオン堂というレコード店。日中戦争が始まり、第二次世界大戦の前夜という状況下、この家の長男が砲兵隊を脱走したため「非国民の家」と呼ばれるようになります。ところが家族の窮地を救うため、娘が文通の末に傷痍(しょうい)軍人と結婚すると、一転して「愛国の家」として脚光を浴びることに……。
その舞台の後半にこんなシーンがあります。
娘は傷痍軍人との間に初めての子を妊娠するのですが、生まれてきても夫のように痛みで一生苦しむか、兄のように逃げ回るか、靖国神社に骨になって帰ってくるしかない、そんな時代に「生まれてくるべきじゃない」と、漬物石をお腹に打ちつけようとするのです。それを娘の父であるオデオン堂の主人が「(生まれてくるのは)女の子かもしれんじゃないか」とあわてて止めに入る場面です。娘は言い放ちます。
「男の子が幸せじゃないのに、どうして女の子だけが幸せになれるの! 夫や兄や子どもの身の上を案じながら暮らすのがどうして幸せなの」と。(下写真=こまつ座提供)
その舞台の後半にこんなシーンがあります。
娘は傷痍軍人との間に初めての子を妊娠するのですが、生まれてきても夫のように痛みで一生苦しむか、兄のように逃げ回るか、靖国神社に骨になって帰ってくるしかない、そんな時代に「生まれてくるべきじゃない」と、漬物石をお腹に打ちつけようとするのです。それを娘の父であるオデオン堂の主人が「(生まれてくるのは)女の子かもしれんじゃないか」とあわてて止めに入る場面です。娘は言い放ちます。
「男の子が幸せじゃないのに、どうして女の子だけが幸せになれるの! 夫や兄や子どもの身の上を案じながら暮らすのがどうして幸せなの」と。(下写真=こまつ座提供)
井上ひさしさんの戯曲は「反戦」をテーマにしているものが多いのですが、私はそれだけでなく「“一人勝ち”は勝ちではない」「弱き者の声に耳を澄まそう」というメッセージを感じます。
この連載でも何度も紹介していますが、右肩上がりの経済成長は望めないいまの時代、企業は「ダイバーシティー」の推進なしには生き残れないことに気づいています。女性、高齢者、外国人、障害者、さまざまな立場の人に活躍の場を与えることで、複雑な現代社会のニーズに答えられる商品やサービスを開発していこうとしています。だれかが悩んでいること、苦労していること、そこにビジネスの種もあるのですから(写真:こまつ座提供)。
この連載でも何度も紹介していますが、右肩上がりの経済成長は望めないいまの時代、企業は「ダイバーシティー」の推進なしには生き残れないことに気づいています。女性、高齢者、外国人、障害者、さまざまな立場の人に活躍の場を与えることで、複雑な現代社会のニーズに答えられる商品やサービスを開発していこうとしています。だれかが悩んでいること、苦労していること、そこにビジネスの種もあるのですから(写真:こまつ座提供)。
いま求められているのは、先の例でいうと、「女の子」→「良かった、兵隊に取られない」という短絡な思考ではなく、いったんその女の子の立場に身を置いて、「女の子」→「夫や息子を奪われる人生を送るかもしれない」と想像力をふくらませられる人です。「共感力」と言い換えてもいいかもしれません。共感力とは、相手の気持ちを相手の立場で理解し、一緒に喜び悲しむことのできる力です。私が思うに、女性の得意な分野ではないでしょうか。
いま「残念な夫。」(フジテレビ系)というドラマで、イクメン気取りでいて、「(子育てを)手伝おうか」などと言って妻の逆鱗にふれてしまうダメ夫を玉木宏さんが演じています。私の周りの男性にも、「(育児や家事を)夫が手伝う、と言って何が悪いの? 何で怒るの? 手伝ってもらえば奥さんだって助かるじゃない?」と言う人がいーっぱいいます。「手伝う」は、「本来は相手(妻)の仕事だ」という発想に立っての言葉です。よその子ならともかく、自分の子の世話なのに、なんで「手伝う」という言葉が出てくるかな、と妻が感じることが想像できないんですね。そして夫は、人の仕事を「手伝った」わけですから、感謝されないと気が済みません。だから、「共感力」「想像力」のある妻は、夫の気持ちに寄り添って「ありがとう」と言ってあげるのです。
いま「残念な夫。」(フジテレビ系)というドラマで、イクメン気取りでいて、「(子育てを)手伝おうか」などと言って妻の逆鱗にふれてしまうダメ夫を玉木宏さんが演じています。私の周りの男性にも、「(育児や家事を)夫が手伝う、と言って何が悪いの? 何で怒るの? 手伝ってもらえば奥さんだって助かるじゃない?」と言う人がいーっぱいいます。「手伝う」は、「本来は相手(妻)の仕事だ」という発想に立っての言葉です。よその子ならともかく、自分の子の世話なのに、なんで「手伝う」という言葉が出てくるかな、と妻が感じることが想像できないんですね。そして夫は、人の仕事を「手伝った」わけですから、感謝されないと気が済みません。だから、「共感力」「想像力」のある妻は、夫の気持ちに寄り添って「ありがとう」と言ってあげるのです。
何を言いたいかというと、企業が期待しているであろう「共感力」を、就活に向けて、より強化してほしい、ということです。「共感力がある」イコール「独りよがりではない」「多面的多層的にものを見られる」という証明でもあります。
どうしたら強化できるのか。ニュースでも、ドラマでも、小説でも、なんでもいいのです。批判されている人、主役じゃない人の立場になって、ほんの数分でも考える癖をつけてください。
たとえば、不祥事による企業の謝罪会見を見て、「ここの社員だったら」と考えてみるのもいいでしょう。(写真はイメージ)
「この会社に勤めている人のご家族はどうしているのだろう」でも、「私がこの会社の広報担当なら、こんな風に説明するのになあ」でも、思った内容はなんでもいいのです。
そんな風に考える癖がつけば、エントリーシート(ES)も面接も必ず説得力が増します。いま目の前のいる大切な人との関係もきっとよくなりますよ。
たとえば、不祥事による企業の謝罪会見を見て、「ここの社員だったら」と考えてみるのもいいでしょう。(写真はイメージ)
「この会社に勤めている人のご家族はどうしているのだろう」でも、「私がこの会社の広報担当なら、こんな風に説明するのになあ」でも、思った内容はなんでもいいのです。
そんな風に考える癖がつけば、エントリーシート(ES)も面接も必ず説得力が増します。いま目の前のいる大切な人との関係もきっとよくなりますよ。
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