「ジョブマッチング面談」や「社員説明会」など、いろいろな名称で実質的な選考が進んでいます。「次が最終面接」という人も、そろそろ多くなっているのではないでしょうか。
最終面接までは進むのにどうしても内定に至らない……という学生さんをよく見かけます。いったいなぜなのか。いろいろな理由が考えられますが、私の考える一番の理由はズバリ、「ウソを見抜かれる」ことです。
ウソなんてついてないよ! ショーン○じゃあるまいしと思われる方も多いでしょう。ですが改めて自分の書いている、もしくは面接でしゃべろうと思っている自己PRや志望動機を見返してみて下さい。そこに書いてある言葉は「本当」の言葉ですか?
マスコミ志望ながら、インターンシップやこれまでの選考ではいまひとつ結果の出ない都内私大の女子学生。とあるメディアの選考で志望理由を聞かれて「直接、顧客に向き合いたい」云々と述べたところ、こう一刀両断にされたそうです。
「それって要は人に認められたいという承認欲求のあらわれだよね」
つづけてこの人からは、「人のためになりたい、人のために尽くしたいという志望動機を言う人が多いけど、それなら警察官や消防署員になるほうがいい。そのほうが確実に人のために仕事ができるんだから」という言葉ももらったようです。
彼女の報道機関に対する志望動機を見ると、
「報道を通じて弱者を救う仕事がしたい」
云々と書いています。いや、立派な志望動機ですしぜひ貫いてほしいのですが、それにしても、本心からこの言葉を言えているのか、少し不安になりました。
そこで、さきほどの面接官の質問です。
「弱者を救うためなら政治家もしくは政策スタッフ、あるいは公務員になったほうが効果的だ。であるのに、なぜ報道志望なのか?」
さきほどの志望動機が本心からの言葉であれば、すなわちウソがなければ、この質問には即答できるはずです。即答できないようなら、この志望動機にはどこかウソが混じっていると考えた方がいいでしょう。面接官、特に最終段階の面接官は、本心と志望動機の微妙なずれをシビアに見ています。あまりに本心が見えないと、本当にうちの会社に来るのか、会社にフィットするのかわかりませんからね……。案の定、この女子学生も言葉に詰まっています。
ということで、改めて質問します。なぜ記者になりたいのですか?
「そうですね、やっぱり、現場で人に話を聞いて知らないことを知ることが楽しいからですね」
では、なぜ楽しいのですか?
「知らないことを知ると、人間の行動に幅が出るからです」
なぜ幅が出るといいのですか?
「うーん、幅が出ると、変な情報にまどわされたり、迷ったりしなくなりますよね。デマとか、思い込みとか。知らないから偏見を持ったりすることがあると思うんです。私自身、たとえばLGBTの人に対して、すごく偏見を持っていたんですが……」
ここから先は彼女の体験談になるので伏せておきますが、いったんウソの志望動機を捨てて「なぜ自分はこの仕事につきたいのだろう」「なぜ他の仕事ではダメなんだろう」と「なぜ」を突き詰めていくと、かなり本心から出た言葉が出せるようになります。「お金が欲しいから!」という理由なら、「なぜ、もっと稼げるほかの仕事ではイヤなんだろう」と考えてみる。そうやって自分の選択にしっかりした裏付けを与えられるようになると、少なくとも最終面接に出しても恥ずかしくない、骨太の志望動機ができあがるはずです。
「イヤァオ!」2回目でも「ウソはつくな!」と強調しました。最終面接の前で改めて思い出してください。ウソはいつかばれる。シ○ーンKさんが残してくれた最大の教訓でもあります。