SDGsに貢献する仕事

三和シヤッター工業株式会社

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三和シヤッター工業〈前編〉商品で気候変動の「緩和」と「適応」に貢献【SDGsに貢献する仕事】

2025年12月10日

 SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」。第30回は、シャッターやドアなど、製造から取り付けまで手がける国内最大手企業、三和シヤッター工業(「ヤ」は大文字)が登場します。火事や洪水といった災害から生活を守り、省エネにも役立つ商品を手がける同社にとって、事業とサステイナブルはもとから非常に親和性の高いテーマ。顧客との接点を基盤に、積極的な商品展開を続けています。ESG推進に携わる担当者にじっくりインタビューしました。(編集部・福井洋平)

【お話をうかがった方のプロフィル】
三和ホールディングス コーポレートコミュニケーション部 ESG推進課長 田村麻子(たむら・あさこ)さん
2006年早稲田大学教育学部卒業、同年三和シヤッター工業入社。三和シヤッター工業 広告宣伝課、教育企画課、三和ホールディングス 広報課、三和ホールディングス CSR推進課(2019年4月 ESG推進課に改称)を経て2024年4月から現職。

商品を通じて「安全、安心、快適を提供」

■三和シヤッター工業とSDGs
 ──まずは、三和シヤッター工業のSDGs に対する基本的な取り組み方針を教えてください。
 弊社は1956年に兵庫県尼崎市で創立し、来年で70周年を迎えます。シャッター、ドア、間仕切などの製造、販売をグローバルに展開してきました。弊社の使命はこういった製品を通じ、「安全、安心、快適を提供することにより、社会に貢献する」ことです。このミッションは ESGやSDGsという言葉ができる前から、ずっと大事にしてきました。
 当社の主力商品であるシャッターやドアは犯罪から身を守ったり、命や財産を守ったりする役割があります。例えば、デパートでエスカレーターを降りたときに上の方にシャッターの座板だけが見えたりしませんか。あれは火事になったら煙に反応してシャッターが降りてきて延焼を防ぐ、いわゆる「防火シャッター」です。当社のメインの商品で、火災などから財産や命を守るという大事な役割を果たしています。SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」を、SDGsという言葉が生まれる前からずっと大事にしてきた会社なのです。

 ──田村さんは三和シヤッター工業の持株会社である三和ホールディングス(HD)ESG推進課長というお立場で、サステイナブルに関する取り組みを全社的に推進されています。
 はい。少人数の部署なので、三和シヤッター工業の関連部署と協力しながら進めています。三和HDや三和シヤッター工業での各部署の取り組み情報を集め、各部署での取り組みをウェブサイトなどで発信したりして、企業価値を上げることが私たちのミッションです。

業界初の防水シャッターを開発

■気候変動適応への対策
 ──御社の商品は、気候変動対策にも有効と打ち出されています。
 そうですね。気候変動に対しては「適応」と「緩和」の二本柱でシャッターやドアなどの商品をラインナップし、SDGs13番の「気候変動に具体的な対策」に貢献しようとしています。
 「適応」と「緩和」は気候変動の用語で、「緩和」は気候変動が進まないようにCO₂の削減などに取り組んでいこうというアプローチ、「適応」はすでに気候変動が進んでいる中で、我々の社会やメカニズム、暮らし方を調整してなるべく被害が少ないようにしていこうという取り組みです。私たちの商品はラインナップが豊富なため、その両輪で貢献できるというところが PR ポイントです。

■防水シャッター
 たとえば「適応」でいうと、防水シャッターという商品があります。近年は毎年のように大型台風や集中豪雨による水害が起き、内水氾濫が問題になっています。そこで当社の防水シャッターが役立ちます。
 これは2011年の東日本大震災後に需要が高まりました。当時は弊社の商品にはなかったのですが、「どうにか水を防げるドアやシャッターができないか」という思いから開発がスタートしました。昔は土囊(どのう)や簡単な防水板はあったかもしれませんが、上から降りてくるシャッターで密着して水を止めるものはありませんでした。2014年10月に業界初の防水シャッターを発売し、今は地下鉄の駅などでご採用いただいています。ほかに、防水ドアや防水板などもラインナップしています。
(写真はウォーターガード防水シャッター=三和シヤッター工業提供)
 ──防水シャッター開発のポイントは何でしたか。
 密閉性を高めることです。水が入らないよう、隙間を全部ふさがなくてはいけません。防火・防煙シャッターは延焼を防ぐため、煙が中に入ってこないような構造になっていますが、防水シャッターはそれ以上の密閉性が求められます。水圧は風圧などとは比べ物にならないぐらい負荷がかかりますので、それに耐えうるものをつくるのは大変だったと思います。

 ──なぜ、御社が最初に開発できたのでしょうか。
 三和グループには商品開発のための性能試験センターがあります。そこで実験を繰り返し、お客様と意見交換を重ねて開発をすすめてきました。お客様の要望を聞き、それをもとに「こういう素材を使ったらいい」「こういう機構にしたらどうか」とものづくりにフィードバックできるというのは、まさに三和シヤッター工業ならではの力だと思います。

素早く開閉するシートシャッターで省エネ実現

(写真は断熱クイックセーバーTR=三和シヤッター工業提供)
■気候変動緩和への対策
 ──気候変動の「緩和」という観点ですと、御社商品は断熱性が高く、省エネに役立つそうですね。
 「Re-carboシリーズ」という、お客様の消費エネルギーを削減し、気候変動の緩和に貢献できるような商品群があります。工場はすごく暑い、寒いということがありますよね。その場合、「Re-carboシリーズ」をつけると冷気や暖気を逃さず、空調効率がよくなります。断熱性を高めたこれらの商品は、温度帯の管理が求められる物流センターに多く利用いただいています。シャッターは隙間から空気が漏れるので、その隙間を防ぐための気密性を工夫しているのです。
 冷蔵・冷凍倉庫、車の整備工場などに使われている、シート状で速く動く高速シートシャッター「クイックセーバー」という商品もあります。素早く開閉することで空調効率を上げ、省エネに資する商品で、30年ほど前に商品化しました。食品工場向けに「防虫レッドシート」という虫が視認しにくい色を用いたものもあります。
 シートの中に断熱材を入れることで、普通のシートより断熱性能を高めたクイックセーバーもあります。「断熱クイックセーバーTR」に関しては当社唯一の商品になりますので、そこは強く推せるポイントです。これらの商品群によってお客様のScope1、Scope2(温室効果ガス)排出量を削減し、働いている人たちの職場環境改善にもつながります。

■ESG推進
 ──業種そのものがサステイナブルに結びついているのですね。特にこういった取り組みを強調されるようになったのはいつごろからですか。
 これまではCSRなど社会貢献活動をしていましたが、2019年にESG推進課ができ、そこから投資家やステークホルダーに向け、ESG投資を呼び込む活動を意識するようになりました。企業価値を上げ、ESGのインデックスに組み込まれ、それによって株価の安定性を高めるという目線で活動するようになりました。

 ──田村さんが特に力を入れて発信していることは?
 ものづくりの力、事業活動の中で SDGsやサステナビリティに貢献していくというところです。資源を使っているメーカーとしてCO₂や水、廃棄物の削減にも取り組んでいますが、我々ができる最大のことは「モノをつくって売ることでサステイナブルな社会につながる」ことです。そこをウェブサイトや統合報告書で強く打ち出しています。
■三和シヤッター工業の強み
 ──三和シヤッター工業の強みは、他にどういったところがありますか。
 当社はシャッターだけではなく、ドアや病院の引き戸、トイレブース、間仕切、防水板、コロナ禍で注目された手をかざすと自動で開閉するドア、といった多くの商品を取り扱っているので、トータルでお客様に提案できるのは大きな強みだと思います。シャッターだけをご依頼いただいた場合でも、「新しい工場のここの間仕切は当社でもできますよ」と、トータルでご提案できる強みがあります。

 ──三和シヤッター工業の技術力の根幹はどこにあるのですか。
防水シャッターのところでもお話しましたが、お客様との接点を多く持っていることだと思います。全国津々浦々に営業所があり、設計事務所やゼネコンをはじめ多くのお客様と接点をもっているので、そこからニーズをつかみ取って、商品開発や改良につなげていくことができています。

2年でインデックス銘柄入り

■ESGインデックス
 ──他に、アピールされたい取り組みはありますか。
 ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みが優れた企業を集めて作られる指標である「インデックス」に弊社が組み込まれたことです。2019年にESG推進課が発足したとき、FTSEというロンドンのESG のインデックスに組み込まれることを目標にしようと決めました。三和シヤッター工業のみなさんにご協力いただきながら、一気呵成に取り組みを進めました。
 例えば、インデックスでは取り組み内容をどのくらい開示しているかが問われます。三和シヤッター工業の人たちは真面目でしかも控えめで、「この取り組みはわざわざ開示しなくても」という声もあったのです。「開示することでPRにつながって、ステークホルダーのみなさんの信頼を得られる」と説得を重ねました。三和シヤッター工業の製造部、品質保証部にはデータの収集などすごく大変な作業をお願いし、2020年9月にそれらの取り組みをまとめて、大リニューアルという形でホームページにアップしました。それが無事に次の年に評価されて、2021年6月から「FTSE4Good Index Series」および「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に組み入れられました。それから5年連続で、今も構成銘柄として継続しています。

 ──2年でインデックスに載ることができたのは早いですね。
 コンサルティング会社の支援を得ながらですが、ダラダラやっていてもうまくいかないので、一気呵成にやったことでパッと結果が出てよかったです。「ちゃんと取り組めば評価につながる」ということがわかると社内のエンジンにもなるし、社内での納得感にもつながり、早いに越したことはなかったなと思います。

生活に根ざしたもの作るから真面目な社風に

■真面目な社風
 ──「こんなことは開示しても」というのは、例えばどういったことだったんですか?
 例えば、シャッターの塗装で水を使うと、廃液が出ます。廃液と塗装で流れ出た水を分けることで水を再利用しているのですが、「それは別に普通のことだから開示しなくてもいい」と言うのです。「そういう一つひとつの取り組みを開示しましょう」「いやいや、そんなことは今まで普通にやってきたことだし、わざわざ言うこともないだろう」といったやりとりがありました。

 ──あまり環境のためだと意識せずにしていたということですか?
 そうですね。環境に関してはそんなに派手なことをしているわけではありませんが、すごく真面目な集団なので、きちんとやっていますね。

 ──「真面目」というのはほかにどういうところで感じられますか?
 他の会社と比較はできないのですが、人の足を引っ張るような人はいないです。本当に自分の仕事をコツコツと真面目にやって、私が「すみません、これをお願いします」と頼むと、「はい、分かりました」と期日までに返してくれます。

 ──この社風は、扱っている商品にも関連するのでしょうか。
 そうですね。シャッターは365日、24時間、毎日開けて、閉めるものです。そういう人々の生活に根ざしたものをつくっているので、真面目につくる、真面目に納める、調子が悪かったらメンテナンスで飛んでいく。こうした真面目さは連綿と我々のOB・OG たちがつくりあげてきたものだと思います。

(12月17日公開の後編に続く)

(インタビュー撮影・岸本絢)

SDGsでメッセージ!

 安全、安心、快適を提供することにより社会に貢献する三和シヤッター工業です。シャッターだけじゃなくて、ドア、間仕切、ステンレスなどさまざまな商品で人々の安全、安心、快適な毎日を支えています。みなさんが活躍できるフィールドも営業だけじゃなくて、開発、設計、製造、工務などたくさんあります。ぜひ、みなさん興味を持って、三和シヤッター工業にアクセスしてみてください。

三和シヤッター工業株式会社

【建材メーカー】

 1956年の創立以来、シャッターやドアなどを通じて安全・安心・快適を創造する総合建材メーカーとして産業や暮らしに貢献してまいりました。国内No.1のシェアを誇る、シャッターとスチールドアを筆頭に、フロント、間仕切など扱う商品は実に多彩です。三和シヤッター工業は「安全、安心、快適を提供することにより社会に貢献します」を使命として、住空間、商空間、そして都市空間へ、質の高い技術と製品、サービスを提供していきます。