
■今後の展望
──この球場に関わられて1年半ぐらいですが、一番手応えがあったのは。
年間の来場目標を4月の時点で達成(前売販売)したことです。最終的には20万人を超えましたが、これは去年のウエスタンリーグ全体の動員数の半数の数字です。売り上げゼロだった事業にこれだけの効果を持たせることができ、ファンとチーム・選手の接点を新しく生み出すことにもつながりました。
──他球団も視察に来られるんじゃないですか?
他球団もたくさん視察に来ていただいています。「この話、何回説明したかな」と視察疲れしています(笑)。
──みなさんの反応がいいのはどんな話ですか。
室内練習場はみなさん同じ課題を抱えているんですね。夏の暑さで練習に苦戦しています。ここは環境に投資した結果、ものすごく涼しくなっています。すぐにできることではないと思いますが、「参考にします」というところが多いですね。
それから、自治体との取り組みについては「行政がそこまで一緒にやってくれるんだ」と驚かれますね。
──この動き、エコという取り組みも含めてプロ野球界に広がっていきそうですか。
サステナブル、SDGsの取り組みをしている中で、プロ野球の12球団はいろんな地域で展開しているので、地域の企業や行政と一緒にいろんな取り組みができると思います。
──もともと1軍で甲子園エコチャレンジに取り組んでいたのが先だそうですが、「もっと一軍でもやろう」ということは?
当然、あります。スポンサーさんと一緒に新しい環境に関する価値をつくっていくというのがまず基本になります。
廃油の回収は甲子園とSGLの両方で始めており、それを「SAF」=Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)にリサイクルしようとしていますが、甲子園ではなかなかできないことをファームでまずやってみて、甲子園でできるようにするのがこの施設の役割です。2軍で鍛えた選手が1軍に上がっていくように、ここでつくったビジネスの種、エコの種が甲子園にという流れができたらいいなと思っております。