2014年10月29日

企業の環境ビジネス 具体例を紹介!

テーマ:環境・エネルギー

ニュースのポイント

 地球温暖化を防ぎ環境を守ろうと、多くの企業が新しい技術を開発し、省エネに取り組んでいます。「朝日地球環境フォーラム2014」(10月1日と2日開催)での議論のうち、企業の取り組みや環境ビジネスをピックアップしました(写真は、溶けた水が水路となって流れるグリーンランドの氷河)。

 今日取り上げるのは、特集面(19~21面)の「朝日地球環境フォーラム2014」です。
 昨日と今日の朝刊に、「朝日地球環境フォーラム2014」の特集が計6ページにわたって載りました。地球規模の温暖化対策から食卓まで、さまざまな環境問題をめぐる講演やパネルディスカッションの内容を詳報しています。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 「ビジネス視点ぬきの『社会貢献』はNG!」(10月2日の今日の朝刊)でも書きましたが、企業は環境対策や社会貢献をしたくても、ビジネスとして成り立たないと本格的には取り組めません。会社が利益を上げる事業が社会のためにもなるのが理想です。環境分野は、ビジネスと社会貢献が両立しやすい分野と言えるかもしれません。朝日地球環境フォーラムで取り上げられたいくつかの事例を紹介します。

◆サントリープロダクツ=ユネスコの生物圏保存地域「エコパーク」の移行地域にある天然水の工場で「水と生きる」を実践してきた。環境負荷を減らすために容器の軽量化にも取り組んできた。太陽光発電やLNG(液化天然ガス)を利用し、二酸化炭素(CO₂)排出削減に取り組んでいる。白州工場のコンセプトは水資源の涵養(かんよう)と生物多様性の向上。

◆TOTO=創業100周年の2017年に向け「グローバル環境目標」を発表。節水トイレなど新技術を生かした商品の流通で、地球の水の消費量を1990年度に比べ13億㎥削減する目標を掲げた。トイレで流す水の量は50年で5分の1に。節水トイレのほか、断熱材でお湯の温度を下がりにくくした浴槽、空気を含ませて少ない水量でも使用感が変わらないシャワーの普及も目指す。

◆JR東日本=2020年度の環境目標で、鉄道事業のエネルギー使用料8%減を目指す。効率のよいモーターを使った省エネ車両を東北新幹線や山手線など9割以上で導入。自然エネルギーを利用した「エコステ」という駅を整備、風力発電をしたり温泉熱を床暖房に利用したりする。車両基地などにメガソーラーを設置、発電した電力を運行にも使う。

◆トヨタ自動車=「究極のエコカー」として期待される燃料電池自動車を今年度内に販売。燃料の水素は天然ガスや下水の汚泥など多様な1次エネルギーから作ることができる。走行中にCO₂が出ず、燃料の水素もわずか3分で補塡(ほてん)できるなど利便性が高い。電池や水素タンクなどの小型化や低コスト化が進んでいる。

◆ウェザーニューズ社=人工衛星のデータをもとに北極海を通って欧州とアジアを結ぶ北極海航路を開拓。北極海の氷を観測して船会社に提供するための自前の衛星を昨年打ち上げた。

◆三井不動産=千葉県柏市で、施設間で電力を融通し全体の電力消費を抑える新しい街「柏の葉スマートシティ」を造成。住宅やオフィス、大学、研究施設、ショッピングモールがあり、エネルギー、環境、高齢化など日本の課題解決を目指す新しい街だ。「日本のふつうの街がスマートシティーになれば大きなビジネスになる」との指摘も。

◆パナソニック=温暖化防止に向け、ノンフロンの冷蔵・冷凍装置の開発に力点。CO₂を冷媒に用いた冷凍システムを国内で初めて実現。使用電力量が減り、年間のCO₂排出量も6割削減。今年度中に全国のスーパーやコンビニなど536店舗に導入見込み。

◆NTT=情報通信技術の活用で環境負荷削減に取り組む。窓ガラスに貼る透明なフィルムで有害な紫外線を吸収して発電する新しい太陽光発電装置を開発中。統計やデータベースの分析と現在の交通情報を組み合わせ、未来の渋滞を予測し、効率的な人の移動を目指す。

 こうした最先端の環境技術に取り組む企業は、理系で技術者や研究者をめざすみなさんにも魅力的だと思います。昨日と今日の紙面には、記事以外にも、三菱ケミカルホールディングス、日本ガイシ、トヨタ自動車が、自社の環境への取り組みを説明する広告が載っています。こうした広告も企業研究に役立ちますよ。

※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。ぜひ登録してください。

アーカイブ

テーマ別

月別