(写真は、気候変動サミットの画面=2021年4月22日、米国務省ウェブサイトの中継動画から)
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(写真は、気候変動サミットの画面=2021年4月22日、米国務省ウェブサイトの中継動画から)
目標値、大幅引き上げ
首相は22日夜の気候変動サミットで「気候変動への対応は、経済の制約ではない。むしろ我が国、そして世界経済を長期にわたり力強く成長させる原動力になる」と強調しましたが、とても高い目標ですから、実際に取り組む企業は大変です。23日の朝日新聞の記事を中心に各業界の現状を集めました。
エネルギー企業の取り組み
東京ガスは2019年に、2050年CO₂排出ゼロ方針を打ち出しました。30代中心の若手社員30人が、自分たちがまだ働いている30年後に会社を存続させるには想定できるシナリオを積み上げるだけで足りるのかと議論の末、エネルギー企業こそが年限を切って脱炭素に向けて技術を総動員すべきだと、社長に訴えたことで方針が決まったそうです。燃やしてもCO₂が出ない水素を家庭用燃料電池の技術を活用して低コストでつくり、さらに都市ガスの主成分であるメタンに変えます。2050年の脱炭素シナリオを発表した大阪ガスも、CO₂排出実質ゼロでメタンをつくる研究を進めていて、大阪・関西万博での実証実験などを予定しています。
石油元売りのENEOSホールディングスも、2040年に自社の事業で直接排出されるCO₂を実質ゼロにする目標を掲げています。
トヨタは「水素エンジン車」でレース出場
4月19日に始まった上海モーターショーでトヨタ自動車は、新たなEVシリーズ「TOYOTA bZ(ビーズィー)」を発表。第1弾として2022年に発売予定のSUV(スポーツ用多目的車)を世界で初披露しました。2025年までにシリーズ7種を含む、EV計15車種を世界で導入すると明らかにしました。ホンダは2022年春に販売する中国初の自社ブランドの新型EVを展示し、中国で2026年までに計10車種のEVの投入を公表するなど、各社ともEV開発を競っています。
ただ、EVは高価な電池を使うためコストが高く、技術開発には多額の投資も必要。国内では、「脱ガソリン車」へのシフトが急速に進むと、1台で1万点にも及ぶエンジン関連の部品を作る中小企業などの経営を直撃するという課題もあります。そこで、トヨタは水素が燃料でCO₂が出ない「水素エンジン車」の開発にも乗り出すことにしました。水素エンジン車で自動車レースに参戦し、レースを通じて開発に取り組みます。水素エンジンは、ガソリンの代わりに水素を燃やしてエンジンを動かすため、ガソリンエンジンの部品の大半を流用できます。水素を燃料とする車には、すでに市販化されている燃料電池車(FCV)「ミライ」もありますが、FCVはEVの一種で水素と空気を化学反応させてつくった電気でモーターを回して走行します。豊田章男社長は「日本には自動車(技術)の蓄積があり、その強みを生かした脱炭素のやり方がある。水素エンジンもその一つだ」と話しました。
(写真は、トヨタ自動車が上海国際モーターショーで披露した電気自動車の試作車「TOYOTA bZ4X」=2021年4月19日、上海市)
鉄鋼と住宅は
住宅分野は排出量の15%程度を占めるとされ、住宅メーカーは太陽光発電と高効率の断熱材を組み合わせて、エネルギー消費を実質ゼロにする住宅「ゼロエネルギーハウス」を進めています。政府は、新築住宅に太陽光パネルの設置を義務づけることも検討しています。
(写真は、積水ハウスが手がけたゼロエネルギーハウス賃貸マンション=2021年4月12日、兵庫県加古川市)
温暖化は食品企業にもリスク
温暖化対策に取り組む企業などのネットワーク「気候変動イニシアティブ」(JCI)は、政府の削減目標について「45%を超えて、50%削減を目指すことを求める」という書簡を4月19日に政府に送りました。ソニーやソフトバンクなど291団体が賛同しました。サントリーの福本ともみ執行役員は「(温暖化は)食品企業として水不足や食料生産で大きなリスクになる」と指摘。富士フイルムの川崎素子執行役員は、排出量の少ない製品や排出削減に対する顧客や投資家からの要求が高まっているとして、「国際目標に整合した気候変動対応は、もはやグローバルビジネスの参加条件だ」と訴えました。企業の間では、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が求める水準の削減目標を自らに課す動きが拡大しており、環境省によると3月半ばまでで122社に上るといいます。
脱炭素の取り組みは、業界を問わず広がっています。志望企業について調べてみましょう。
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