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(写真は、オーストラリアで続く森林火災から逃げまどうコアラ。温暖化の影響が指摘されている=2019年11月26日、オーストラリアのテレビ局「9NEWS」のサイトより)
「Aリスト」国別で最多
企業の気候変動対策を毎年調査しているのは、英国の国際環境NGO「CDP」です。今回は世界の約1万3000社を対象にした調査に約8400社が回答。二酸化炭素(CO₂)の削減実績や詳細な削減目標、気候変動による影響額の試算といった15項目をもとに、企業の取り組みを8段階で評価しました。最新の「CDP気候変動レポート2019」で最高評価の「Aリスト」に入ったのは計179社でした。日本企業は前年調査の20社からほぼ倍増の38社となり、米国を抜いて国別で首位に。2003年の調査開始以来初めてのことです。
Aリストの国別企業数トップ10は、
①日本38社 ②米国35社 ③フランス22社 ④英国10社 ⑤ドイツ、韓国9社 ⑦スイス、スペイン7社 ⑨ノルウェー6社 ⑩オランダ5社
でした。
この38社
「Aリスト」に認定された日本の38社は以下のとおりです。
【製造】コマツ、ソニー、トヨタ自動車、ナブテスコ、ニコン、日産自動車、豊田自動織機、パナソニック、富士電機、富士フイルムホールディングス、横浜ゴム
【インフラ】積水化学工業、積水ハウス、大和ハウス工業、大東建託、戸田建設
【食品、飲料、農業関連】アサヒグループホールディングス、日本たばこ産業、キリンホールディングス、サントリー食品インターナショナル、住友林業
【素材】花王、住友化学、東京製鉄
【サービス】ベネッセホールディングス、富士通、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、NEC、野村総合研究所、SOMPOホールディングス、東京海上ホールディングス
【小売り】イオン、丸井グループ、アスクル、リコーリース
【バイオ技術、ヘルスケア、製薬】小野薬品工業、エーザイ
【輸送】川崎汽船
(分類、並び順はCDP発表に準拠)
◆「CDP気候変動レポート2019」はこちらから
不名誉な「化石賞」2回も
一方、2019年12月にスペインのマドリードで開かれた第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)の際、日本は温暖化対策に後ろ向きだとして厳しい批判を浴びました。化石燃料でもとくにCO₂排出が多い石炭火力発電所の新増設を計画しているからです。環境NGOからは不名誉な「化石賞」を2回も贈られました。1回目は梶山弘志経済産業相の「石炭開発、化石燃料の発電所は選択肢として残しておきたい」との国内での発言に、2回目は小泉進次郎環境相が会場での演説で脱石炭を表明しなかったことに対してです。日本の環境NGO「気候ネットワーク」によると、2012年以降の国内の石炭火力の新増設計画のうち、すでに稼働した15基のCO₂排出量は推計年1778万トン。計画中(建設中含む)の22基が稼働すれば、さらに年7474万トンが排出されます。主要7カ国(G7)で日本だけが石炭火力発電のプラント輸出を後押ししていることも非難されています。
(写真は、COP25で演説する小泉環境相=2019年12月11日、マドリード、環境省提供)
生き残りをかけて
この石炭火力に関わっている企業も多くあるわけですが、今回の調査結果からは、本気で温暖化対策に取り組む企業が増えていることがはっきりしました。投資ビジネスの世界では、気候変動対策に熱心な企業は評価が高く、後ろ向きな企業には投資しないという流れが強まっています。CDPによるランクも投資判断や取引先選びに使われています。温暖化対策に取り組まないと生き残れない、という危機感も高まっているのです。各企業のコーポレートサイトには、環境問題などへの取り組みについて詳しく載っているはずです。企業研究の一環として、必ず目を通すようにしてください。
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