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2017年08月01日

環境・エネルギー

米国抜けても「パリ協定」は企業にチャンス!

温室効果ガスと地球温暖化

 「これまでに経験したことのない大雨」といった天気予報を最近よく聞きますよね。気象庁は2013年から、従来の「警報」の基準をはるかに超える災害が予想されるときに「特別警報」を出すようになりました。

 こうした局地的な豪雨や異常高温の要因と指摘されるのが「地球温暖化」です。世界経済の成長で石炭、石油などの化石燃料を燃やす量が増え、二酸化炭素(CO₂)等の「温室効果ガス」が増加。CO₂は太陽からの熱を閉じ込めて保温する性質があるため、世界の気温は少しずつ上がってきました。温暖化で海水の温度が上がれば、大気中の水蒸気が増えて豪雨や大型の台風が起きやすくなるほか、南極の氷が溶けて標高の低い島は海中に没する恐れがあります。農作物の適地が変わってしまう問題も起きています。

 そこで、世界各国でCO₂の排出量を抑える約束をしたのが「パリ協定」です。2015年に決まり、2016年11月に発効しました。それまでの「京都議定書」では削減するのは先進国だけでしたが、パリ協定は経済発展で温室効果ガスをたくさん出すようになった中国、インドなどの新興国新興国や途上国を含め、200近い国・地域が削減に努力することを決めた歴史的な合意です。18世紀の産業革命からの気温上昇を2度より低く抑えるため、温室効果ガスの排出を今世紀後半までに実質ゼロにするのが目標。各国が目標を掲げ、日本は2030年度に2013年より26%減を目指します。
(写真は、氷の後退が進む米アラスカ州南部のコロンビア氷河)

トランプ大統領はなぜ離脱表明?

 ところが、2017年に就任した米国のトランプ大統領は6月、パリ協定から離脱すると表明しました。大統領選のときから「温暖化はでっちあげ」と言い、「パリ協定は米国にとって不公平」で米国内の鉄や石炭、セメント産業などの生産量が落ちると主張。支持基盤で当選の原動力となった「ラストベルト(さび付いた工業地帯)」と呼ばれる地域の労働者を守る姿勢です。

 これに対し、アップルやグーグルなどの米IT企業、電気自動車のテスラ・モーターズ、金融機関など多くの企業が離脱に反対しています。カリフォルニア州で7月、温暖化対策を強める独自の法案を可決されるなど、連邦政府に反する動きも広がっています。

 米国の温室効果ガス総排出量は中国に次ぐ世界2位。パリ協定には大きな打撃ですが、7月の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、米を除く加盟国が「パリ協定は後戻りできない」とし、「協定への強い意思を再確認する」と宣言しました。米国が実際に離脱できるのは早くて2020年。そのころトランプ政権が果たしてどうなっているか……という不確定要因もあります。

温暖化対策ビジネスに注目

 一方で、温暖化対策は企業にとって大きなビジネスチャンスです。太陽光、風力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーリチウムイオン電池燃料電池、IT(情報技術)を駆使してエネルギー消費を抑えるスマート住宅、さまざまな分野の省エネ技術……日本企業の得意分野でもあり、多くの会社が技術開発を競っています。中でも自動車では、フランス、英国が2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を表明しました。電気自動車(EV)や燃料電池車の開発が加速するのは間違いありません。

 省エネなどの温暖化対策ビジネスは裾野が広く、あらゆる業界に影響します。環境対策は企業イメージにもプラスになるため、自社のサイトで取り組みをアピールしている会社も多くあります。志望企業の取り組みを調べ、今後の可能性を考えることが大切です。