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2017年08月08日

経済

100年に一度のクルマ革命①「電気自動車(EV)」

ガソリン車禁止へ

 世界初の量産車「T型フォード」が世に出て100年余、自動車が劇的に代わろうとしています。「クルマ革命」の柱は、電気自動車(EV=electric vehicle)と自動運転です。まずはEVについて。

 これまで自動車はガソリンエンジン車と、軽油を燃料にしたディーゼルエンジン車がほとんどでした。省エネのために、電気で動くモーターとエンジンを組み合わせた世界初の量産ハイブリッド車(HV)「プリウス」をトヨタが発売したのが1997年。さらに、家庭で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)がようやく普及しはじめたところです。

 ところが、最近になって歯車が一気にまわり、20~30年後にはHV、PHVも含め、石油を燃料にして少しでも排気ガスを出す自動車の新車は販売できなくなっているかもしれません。7月、まず地球温暖化対策のパリ協定(米国抜けても「パリ協定」は企業にチャンス!)を主導したフランス政府が、次いで交通渋滞が激しいロンドンなど都市部での大気汚染が深刻な英国政府が、2040年までに国内でのガソリン車やディーゼル車の販売を禁止すると相次いで発表しました。英国政府は2050年までに国内で走る車のほとんどを排ガスゼロの「ゼロエミッション車」にすることをめざしています。

 世界1、2位の自動車市場の中国と米国でも、EVなどを一定割合売ることを自動車メーカーに求める規制が2018年にも始まります。市場が拡大するインドでも政府がEVを推進しており、「脱石油」の機運が世界中で高まりつつあります。

(写真は、トヨタ自動車が中国で生産販売する電気自動車のベースとする「C-HR」=同社提供)

FCVよりEV

 自動車メーカーの動きも急です。スウェーデンのボルボ・カー・グループは2019~21年に5車種のEVを発売するほか、2019年以降に発売する全車種をEVやHVにすると発表。2025年までに電動車を100万台販売する計画です。

 トヨタ自動車とマツダが8月に発表した資本提携は、こうした動きに対応するEVシフトが目的の一つです。2019年からマツダが米国で、トヨタは中国でEV販売に乗り出す予定です。中国市場では、ドイツのフォルクスワーゲンが開発の重心をディーゼルからEVに移し、ホンダも2018年には中国専用EVを発売する予定で、競争はいっそう激しくなります。

 トヨタがEVの本格販売には慎重だったのは、HVの次のエコカーの柱に燃料電池車(FCV)を据えてきたからです。世界初の量産FCV「ミライ」を販売していますが、燃料を供給する水素ステーションの整備は進まず、EVに軍配が上がりつつあります。

自動車産業の構造も変わる

 EVの普及は世界の産業の構図にも大きな影響を及ぼします。EVには、これまで車に縁がなかった電機メーカー、IT企業などがどんどん参入しています。ガソリンエンジンは構造が複雑で高性能エンジンには高い技術が必要なため、自動車は新規参入が難しい業界でした。部品数もガソリン車1台に3万点の部品が必要です。一方、エンジンがなく構造が単純なEVの部品数は2万点。新規参入しやすいのが特徴です。

 米国では2003年創業のEVメーカーのテスラ・モーターズが急成長。今年発売予定の新車は37万台超の予約を集めています。日産自動車が2010年に発売した世界初の量産EV「リーフ」の累計販売数が26万台ですから、大変な人気です。中国の新興メーカーも猛追しています。「自動車王国」を築いてきた日本の自動車メーカー、部品メーカーがこれからも優位に立ち続ける保証はありません。

(写真は、テスラの新しい車種「モデル3」)