2014年10月28日

「男女平等」日本は104位…女性比率の数値目標に賛成?反対?

テーマ:社会

ニュースのポイント

 男女格差の少なさの世界ランキングで、日本は世界142カ国中104位と下位に低迷しています。こうした現状を変えようと、安倍政権は女性の採用や登用などに数値目標を義務づける法案を国会に提出しました。ただ、数値目標に対しては、経済界などには根強い反対論があります。女性が活躍できる社会にするための数値目標。あなたはどう考えますか。

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「男女平等 日本104位/議員・企業幹部 低い女性比率/閣僚半数の仏、躍進」です。
 記事の内容は――世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)が各国の男女格差(ジェンダーギャップ)の少なさを指数化し、ランキングで示した報告書の2014年版を発表、日本は104位だった。前年から一つ順位を上げたが低水準で、主要7カ国(G7)中最下位だった。日本は「政治への参加」が129位、「職場への進出」が102位で足を引っ張った。女性議員の比率を高めるため、海外では候補者などの一定割合を女性にする「クオータ制」を多くの国が導入しているが、日本ではみんなの党などが採用しているだけだ。昨年の45位から16位に躍進したフランスは「男女同数内閣」を実現させて政治参加の点数がはね上がった。フランスは1999年の憲法改正で「選挙で選ばれる公職に男女の平等を促す」との文言が追加され、2000年には「候補者男女同数法」(パリテ法)が成立し国政でも地方議会でも候補者リストの男女比を半々にするよう各政党に義務づけた。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 世の中は男女半々ですから、フランスの男女同数法はわかりやすいですよね。フランスの政界はかつては「男性優位」で、国会議員の女性比率も長年にわたり欧州連合(EU)の最下位グループにありました。違反した政党には罰則として助成金が減額されるのですが、導入当初は違反覚悟で男性候補を多く立てる政党が多く、知識人や法律家にも「同数を強制するのは、フランス革命の理念に反する」との反対論も強かったそうです。それでも、罰則が次第に強化されて政党も法を守るようになり、施行から10年以上経って定着したそうです。数値目標の効果を物語っています。

 一方、これから日本の国会で議論される女性活躍推進法案は、国や地方自治体、従業員300人超の企業に、女性の採用や登用などに関する数値目標と、達成のための取り組み、実施時期を盛り込んだ行動計画づくりを義務づけるものです。女性採用比率や管理職比率などの現状も公表しなければなりません。厚生労働相は企業に助言や指導、勧告ができますが、数値目標の中身は企業それぞれの実情に応じた内容で構わず企業任せ。違反しても罰則はないため、実効性を疑問視する声もあります。

 今日の金融情報面(12面)の「経済気象台」には、「数値目標は愚かなり」と題するコラムが載っています。この欄は第一線で活躍する経済人や学者などが書いています。筆者は、作家の曽野綾子さんの「女性大臣や女性管理職の率や枠を広げる運動は、女性を馬鹿にした差別的操作だ」との発言を紹介。「男女を問わず、各人の能力を公平に評価し、『その仕事にふさわしい実力者』を登用すべきだ。『女性』というだけで排除していた習わしを是正し、万人に同じ機会を与えるようにするだけでいい。殊更な優遇策は逆効果だ」と断じています。数値目標について経済界では「数字が独り歩きしかねない」など反対する声が大勢です。工学部など理系にはそもそも女子学生が少ないため、メーカーなど技術系の仕事が多い企業の中には、どうやって女子の採用を増やすか頭を抱えている会社もあります。

 さて、ここまで読んで、あなたは女性比率の数値目標設定に賛成しますか? 反対しますか? みなさんの就活にもかかわる話ですし、男女平等のあり方や実現の方法などを考える格好のテーマです。今日の記事の最後で専門家が、フランスでは政界に女性を増やしたあと経済界に管理職を増やすようお願いしたのに「日本は順番が逆だ」と指摘しています。これも論点の一つかもしれません。自分の考えをまとめてみましょう。

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