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男性の育休取得経験者約4割が「退職・転職検討」
・厚生労働省の雇用均等基本調査によると、男性の育児休暇(育休)取得率は2016年度には3.2%だったが、2023年度には30.1%まで上昇した。政府は男性の育休取得率を2025年に50%、2030年に85%とする目標を掲げている。
・一方で、大手人材会社の調査では、男性の育休取得経験者の計39.5%が「育児との兼ね合いが原因で、退職・転職をしたり検討したりしたことがある」と答えた。
・専門家は、育児休業に関する制度は充実してきたものの「『男性は長時間労働で評価を得るべきだ』という価値観が残る企業は多い」と指摘。女性が出産後に重要な仕事を任されなくなるマミートラックの男性版「ダディトラック」の存在についても指摘する。
(図表は朝日新聞社)
育休取ると「昇進を逃してもいいのか」
この記事では、下記のようなケースが紹介されています。
・妻の妊娠を機に1カ月の残業10時間以下とうたう会社に転職。しかし子どもが熱を出して保育園を休むと「体調管理できないんだね」、共働きの妻も忙しいのに「奥さんは休めないの」と40代男性上司から何度も言われた。結局、知人が経営する会社に転職した。
・「女性活躍」推進で政府から認定を受ける会社に転職した男性が、入社直後に子どもが熱を出したので休むと連絡すると50代男性上司に「休みますじゃなくて、休んでもいいですか? だろう」と言われた。
・監査法人に勤めていた男性は2019年に育休を撮ろうとしたが、複数の男性上司から呼び出され「本当に育休を取るのか」「昇進を逃してもいいのか」と言われた。育休が明けると、今度は仕事のチャンスが回ってこなくなった。
伝統的な男性観から脱せない企業が多い
実は、各国の子育て支援策を評価したユニセフの2021年の報告書によると、育休制度については、男性が長期間、育休を取れる制度が評価されて、日本が「1位」だったそうです。しかし今回の記事では、たとえ会社の制度が整っていたとしても、上司や職場の理解が足りなかったら制度利用は難しくなるという側面が明らかになりました。朝日新聞の別の記事では、日本の社会や労働市場について研究している米ハーバード大学教授の「日本は共働き・共育てモデルを支援するための社会政策は強力だが、社会規範が脆弱(ぜいじゃく)である」というコメントを紹介しています。リクルートワークス研究所の筒井健太郎さんはこの記事で、「長時間労働で評価を得て、熾烈(しれつ)な競争を経て役職を得ることを目指すべきだ、という伝統的な男性観から脱せない企業は多い」とも指摘しています。
育休社員の同僚に祝い金支給する会社も
育休取得を後押ししようと、会社もさまざまな努力をしています。2024年8月の朝日新聞記事「「育休中も毎日仕事」「人員補充なし」男性育休3割超、厳しい現実」に紹介された事例ですと、
・アパレル大手・オンワードは2019年から働き方改革を進め、勤務時間を柔軟に決められるシフト制を導入。チーム内の課題を整理して働き方を見直す「カエル会議」も各職場で始めた。
・建築金具メーカー「サカタ製作所」(社員175人)では2023年、男性社員の育休取得率が100%を達成。子どもが生まれると報告を受けた時点で上司と育休の計画を立てることで、スムーズに休める態勢をつくっている。
・三井住友海上は昨年、育休取得者の同僚に「育休職場応援手当(祝い金)」の支給を始めた。同僚の数や育休の期間に応じ、1人あたり3千~10万円を支給する。
男性の育休取得率や向上策を聞く
自分が志望する会社はどの程度男性育休に理解があるのか、気になる就活生も多いのではないでしょうか。男性育休に理解のある会社はほぼ間違いなく、女性にとっても働きやすい企業でしょう。
男性育休については現状残念ながら「職場ガチャ」「上司ガチャ」という側面は否めません。制度については会社の広報をチェックすれば把握することができると思いますが、その制度がどの程度社内に浸透しているのか、実際に育休が取れるのかというところまで知らないと、今回紹介した記事のような目にあう可能性も否定はできません。気になる場合、たとえば現時点での男性の育休取得率や、今後どうやってその取得率を上げていこうとしているかについて確認することで、会社の「本気度」をはかるという方法が考えられます。さらにしっかり知りたい場合は、OB・OG訪問を活用してみましょう。
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