ニュースのポイント
家電・情報技術の見本市「シーテックジャパン」では、かつて主役だった家電大手は影が薄くソニーが初めて出展を見送る一方、電子部品メーカーのロボットが注目を集めています。見本市や展示会は業界の最新情報の宝庫です。業界のトレンドや目指す方向を見極めましょう(写真は、村田製作所の「チアリーディング部」)。
今日取り上げるのは、経済面(10面)の「家電衰退 主役はロボ/「シーテック」部品大手が技術PR」です。
記事の内容は――千葉市の幕張メッセで開かれている家電・情報技術の見本市「CEATEC JAPAN(シーテックジャパン)」では部品メーカーのロボットが注目を集め、テレビなど「メード・イン・ジャパン」家電は主役を降りた。電子部品大手、村田製作所のブースでは10体の小型ロボット「チアリーディング部」が踊り、スタッフが「自動車の横滑り防止にも使われている技術」とアピール。医療機器のオムロンのブースでは、お菓子の箱詰めなどに使われるロボットアームが人間と卓球で対戦し、制御技術をPR。かつてシーテックの主役は最新のテレビやパソコンで、シャープやソニーなどが競うように新商品を発表。部品メーカーは脇役だった。今年は初めてソニーが消え、パナソニックは部品メーカーのコーナーにもブースを出して半導体部品を紹介している。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
シーテックは、2000年に家電や通信などの展示会が統合して誕生。アジア最大規模のエレクトロニクス関連業界の展示会です。2007年には国内外の約900社が出展しましたが、今回は547社に減るなど、かつての派手さは薄れています。そんな中でも、昨年は自動車メーカーの参加が増えて話題になるなど、そのときどきの業界の変化がイベントにも表れます。電気自動車(EV)の開発に加え、現代の自動車そのものが電子制御の部品の固まりでもあるからです(2013年10月8日の業界トピックス「自動車メーカー、電機と連携」参照)。
今回ソニーが消えたのは、国内の家電事業の衰退を象徴する出来事です。社会インフラ事業にかじを切った日立製作所も2年続けて出展を見合わせました。パナソニックやシャープは、フルハイビジョンを上回る高画質の「4K」テレビやさらに高精細な「8K」テレビを展示していますが、記事にもあるようにパナソニックは部品メーカーコーナーにも出展。同社は赤字のテレビやスマホ事業を縮小し自動車部品や住宅関連の企業向け事業にかじを切っており、目指す方向を示したといえそうです(2013年11月26日今日の朝刊「『変身』なるか?パナソニックの新戦略に注目」参照)。一方で東芝は次世代の携帯「ウエアラブル端末」の体験スペースを設置するなど、大手電機メーカーの対応は分かれました。
東京ビッグサイトなどの展示場では、自動車のモーターショーをはじめ、電機、住宅、建設、エネルギー、IT、教育、福祉、書籍など、実にさまざまな業界が展示会、見本市を開いており、業界関係者以外が入場できるものも多くあります。展示会に行くと、業界・企業の最新の製品、サービスに触れられますし、社員と直接話をすることもできます。興味のある業界の展示会や見本市を調べて、足を運んでみてください。
シーテックは11日(土)まで千葉市の幕張メッセで。学生の入場料は500円ですがインターネットで事前登録すれば無料。最終日の11日は無料公開となります。
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