2014年10月08日

祝!ノーベル物理学賞 就活でもLEDが話題に⁉

テーマ:科学技術

ニュースのポイント

 ノーベル物理学賞に、青色発光ダイオード(LED)を発明・実用化した名城大教授の赤崎勇さん(85)名古屋大教授の天野浩さん(54)、米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の中村修二さん(60)の日本人3人が選ばれました。大きなニュースです。就活にあたってのヒントもたくさんありますよ。

 今日取り上げるのは、1面トップの「青色LED 3氏ノーベル賞/赤崎・天野・中村氏/省電力照明 爆発的普及/物理学賞/地球に優しく役立つ技術」です。今日の紙面では、総合面(2~3面)、オピニオン面の社説(14面)、社会面(33~35面)と関連記事が大展開しています。
 記事の内容は――赤崎さんと天野さんはLEDを初めて作り、中村さんが実用化につなげた。研究成果を受けて、白熱電球や蛍光灯に代わるLED照明が実用化。室内照明や携帯電話、信号機のほか、省電力・長寿命の大型フルカラー・ディスプレーなどに使われている。LEDは電気を直接光に変えるので効率が良く、熱による材料劣化も少なくて寿命が長い。日本のノーベル賞受賞者は2012年の山中伸弥・京都大教授に続いて20、21、22人目。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 日本人の3人同時受賞、久々に明るいニュースですし、素直にうれしいですよね。しかも今回は受賞対象がこれまで多かったちょっと縁遠い基礎科学研究ではなく、LEDという日々接している技術です。今この原稿を打っているパソコン、受賞の速報を受けたスマートフォン、ニュースを流しているテレビも、画面を光らせるバックライトにはLEDが使われています。成果がわかりやすいし身近に感じますね。

 大きなニュースですから筆記試験に出るかもしれませんし、面接などで話題になる可能性もあります。基本的な事実関係をしっかり押さえてください。

 特に企業の研究職や技術職をめざす理系のみなさんにとっては、今後の大きな励みであり、目標にもなるでしょう。今日の記事に載っている赤崎さんと中村さんの次の言葉を紹介します。

◆赤崎さん「やりたいことをやるのが一番。なかなか結果が出なくても、本当にやりたいことなら続けられる」「大変だったことはたくさんあります。研究者というのは、好きなことをやっているわけですから、それは当たり前」
◆中村さん「(若い研究者は)好きなことを続けて、それにチャレンジして欲しいですね。好きなことを見つければ苦労にならないので」

 打ち込める研究分野ができる会社を、ぜひ見つけてください。

 日本人研究者が発明に大きな貢献をしたLEDは、いま日本のメーカーを支えています。中村さんがいた日亜化学工業(徳島県阿南市)は青色LEDを手始めに、緑色LED、白色LED、青色半導体レーザーを製品化し世界的な企業に成長しました。ちなみに同社の採用ホームページによると、2015年春入社の新卒採用を追加募集しています。理系学生が対象で募集職種は「LED・LD製造・検査装置設計」「LED・LD研究開発及び製品技術開発」「LED・LD応用製品設計」。さすがLEDの会社ですね。一方、赤崎さんの指導を受けた豊田合成(愛知県清須市)もLEDの事業化で売上高5200億円(2014年3月期)という業界大手に育ちました。

 国内のLED照明シェア1位のパナソニックによると、2010年には照明器具の出荷台数5300万台のうちLEDは5万台でしたが、2012年には5800万台のうち4割の2400万台を占めました。住宅、店舗、学校、病院、屋外灯などに市場が広がっています。オランダの電機メーカー・フィリップスは、2012~16年にLED照明市場は年平均34%伸びると試算。16年には照明市場の半数がLEDに置き換わり、約5兆4000億円前後の市場に成長すると見込んでいます。ただし最近は、中国の新興メーカーが参入して価格競争が激しくなっています。今後の世界市場の動向にも注目してください。

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