ニュースのポイント
2020年の東京五輪。日本の各企業は、快適トイレ、燃料電池車、デジタルなど得意分野で外国人を「おもてなし」するでしょう。世界にアピールする絶好のチャンスでもあります。50年前の五輪では、下水道が整備され新幹線や高速道路が開通し、東京は生まれ変わりました。6年後の五輪に向け東京はどう変わるのでしょうか。さまざまな分野で企業の役割が期待されています。(写真は、日本科学未来館で開かれたトイレの企画展)
今日取り上げるのは、総合面(2面)の「聖火は還る 最先端ニッポンの力/快適トイレ、東京を変えた」です。
記事の内容は――外国人が日本を訪れたとき、特に印象に残るのがトイレの快適さだという。衛生陶器大手のTOTOの「ウォシュレット」をはじめ日本の家庭での温水洗浄便座の普及率は76%。「観光立国ニッポンにふさわしい、トイレからのおもてなしを提案しています」(TOTO広報部)。最近のトイレは節水の技術開発が進み環境面でも優しい。海外の販路拡大に向け五輪は絶好のビジネスチャンスだ。1950年代、東京23区の下水道普及率は面積にして2割弱だった。五輪開催が決まり一気に下水道が通ったように、五輪は開催都市の起爆剤になる。6年後の五輪で東京都は、選手の移動に燃料電池車を使い、選手村の電力は太陽光発電などで賄う計画。少子高齢化に対応し、お年寄りの健康対策、子どもへのスポーツ普及などに、企業の技術力が期待される。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
前回の東京五輪(1964年)開催前の五十数年前、東京23区でも150万世帯のトイレがくみ取り式(知っていますか? 下水道がないので水洗で流せず、便器の下に糞尿=ふんにょう=をためる方式です)で、渋谷駅界隈(かいわい)をリヤカーに糞尿を積んだ業者が行き交っていたそうです。生まれたときから温水洗浄便座があったみなさんには想像できないかもしれませんね。ちなみに温水洗浄便座は日本では当たり前になりましたが、その快適さは米国の歌手マドンナやハリウッドスターらからも絶賛されています。
五輪は開催都市の姿を大きく変えてきました。6年後に向けては交通機関や電力、通信などのインフラ関連だけでなく、今日の記事にあるように環境、健康、デジタルといったあたりもキーワードになりそうです。世界をリードする先端技術や環境技術を用い、世界の先をいく高齢化社会に向けてお年寄りに優しい、便利で快適な街づくりに力を注ぐ。さまざまな業界が、スムーズな開催や外国人のもてなすために知恵を絞り、活躍するはずです。企業にとっては、海外に発信する大きなビジネスチャンスでもあります。
そのころ20代半ばになっているみなさんは、若手社員の中心として活躍しているでしょう。自分が働く姿を想像しながら、志望する企業が五輪に向けて何ができるのか、どんな分野で五輪や都市開発、社会の変革に関わりうるのか、ビジネスチャンスはないか、考えてみてください。面接で話題になるなど、きっと役に立ちますよ。
※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。ぜひ登録してください。