2014年10月02日

ビジネス視点抜きの「社会貢献」はNG!

テーマ:環境・エネルギー

ニュースのポイント

 志望動機に「社会貢献」を挙げる学生がたくさんいます。でも企業はボランティア組織ではないので、ビジネスとして成り立たないと社会貢献もできません。昨日から2日間、東京で開かれている「朝日地球環境フォーラム2014」(朝日新聞社主催)では、企業の新しい技術が地球環境を守ることにつながる例が紹介されました。温暖化対策という社会貢献はビジネスチャンスでもあるのです。

 今日取り上げるのは、特集面(18・19面)「朝日地球環境フォーラム2014/温暖化防ぎ 次世代へ」のうち、三菱ケミカルホールディングス社長・小林喜光氏による基調講演「地球と共存する経営」です。
 講演の概要は――企業の経営は、利益を出して税金を納めることが基本的な柱だが、新しい技術を生みだし、地球環境に対する取り組みを進めることも会社の価値だ。「快適(KAITEKI)」を社是に掲げ、社会や地球の持続可能性に寄与できる事業活動をしている。石油、石炭の化石燃料はいずれ枯渇するから新しいエネルギー源を見つけなければいけない。化学産業はかつて「公害の原点」といわれたが、いまはむしろ化学によって新しい解決方法が生まれる。軽くて強い炭素繊維は省エネルギー化に貢献し、太陽電池は有機化合物で作られるようになった。ゆくゆくは植物の光合成のように、二酸化炭素を原料に炭化水素をつくり、化石燃料に置き換えられるようにしたい。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 先日お会いした総合商社の採用担当者は「採用面接で学生の口から一番多く出るキーワードは『社会貢献』。もちろん大事ですが、我々がやっているのはビジネスですから、社会貢献ばかり強調されると困ってしまいます」と、やや困り顔でした。「人事のホンネ」で電通の採用部長、真道哲哉さんは、ありがちな志望動機として「グローバルな仕事がしたい」「社会貢献」「人の役に立ちたい」の三つを挙げ、「でも、グローバルな仕事についてあまり考えていなかったり、社会貢献をビジネスにどう結びつけるかまで考えていなかったり。あくまでビジネスをしている会社なので、その視点を抜きに人の役に立ちたい……とかでは難しいですね」と語っています。

 社会貢献は素晴らしいことですし、みなさんが強調したがる気持ちはわかります。でも就活においては「ビジネス視点抜きの社会貢献はない」ことを覚えておいてください。

 地球環境への対応は、社会貢献とビジネスが両立しうるテーマです。フォーラムでは、過去130年間で地球の気温は1度上昇し、何もしなければ今世紀末には最大4.8度上がってしまうため、二酸化炭素(CO₂)の排出量を減らすための対応や課題が話し合われました。企業の貢献については小林社長のほか、米コロンビア大地球研究所長のジェフリー・サックス氏がCO₂削減のためのエネルギー効率化について「日本はこの分野で世界を牽引(けんいん)する国の一つで、重要なビジネスチャンスでもある」と強調。元グーグル日本法人社長の村上憲郎氏は、ネットと結びついた次世代送電網「スマートグリッド」の普及で消費電力の「見える化」が進み、節電につながるとして、「IT業界はテクノロジーで、新しい電力システムを支えていくことになる」と話しました。

 フォーラムには、以下の企業や団体が協賛しています。イオン環境財団、NTTグループ、京都産業大学、サントリーホールディングス、JR東日本、TOTO、トヨタ自動車、パナソニック(以上、特別協賛)、三井不動産、三菱ケミカルホールディングス(以上、協賛)。それぞれの企業がどんな環境対策に取り組んでいるか、調べてみてください。

 「人事のホンネ2016」に新たに「オリエンタルランド 『ディズニー好き』だけではNG!やり抜く信念と広い視野を」を掲載しました。みなさんが就活に向けてやるべきこと、心構えなど参考になる話が盛りだくさんです。ぜひ読んでみてください。

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