2014年10月03日

鉄道メーカー、協力して海外進出!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 鉄道車両の製造や鉄道システムを担う各社が、海外進出を加速させています。国内市場は頭打ちですが、新興国ではこれから鉄道網を整備する国が多く、鉄道文化発祥の地である欧州では老朽化したシステムの補修や車両の買い替えが盛んなためです。海外の強力な大手に対抗するため、「鉄道ニッポン」の総力で海外をめざします。

 今日取り上げるのは、経済面(9面)の「鉄道ニッポン 修業の場/三菱重が試験施設、他社にも開放/手強い海外ライバル」です。
 記事の概要は――三菱重工業は、開発した鉄道車両や制御システムの試験を行う国内最大規模の施設を広島県三原市につくった。国内のライバルメーカーにも使ってもらい開発力を高め合う。2日の施設完成式には、川崎重工業や東芝などライバルメーカーの関係者も出席。三菱重工会長は「ここからたくさんの車両が世界に出る。日本の力を結集して、新興国などに供給したい」と語った。三菱重工は車両は製造していないが、鉄道システム全体を商品にしており、車両メーカーと開発を進める。
 2013年度の国内の鉄道車両生産は、直近のピークだった2007年度と比べ3割減。これに対し世界の市場は年間20兆円規模で、さらなる成長も期待される。このためシステムや車両、部品製造などの鉄道ビジネスを手がける日本メーカーは海外展開を加速している。だが、世界ではドイツのシーメンス、カナダのボンバルディア、フランスのアルストムが「鉄道ビッグ3」と呼ばれ、低価格を強みとする中国メーカーも台頭している。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 国内で鉄道車両をつくっているのは、総合重機メーカーの日立製作所、川崎重工と、専業の日本車両製造、近畿車輛、総合車両製作所の5社が中心。さらに、交通システムを手がける三菱重工、車両用機器をつくる東芝のほか、車台、モーター、制御機器、防振ゴム、内装、ブレーキシステム、信号システムなど、数多くの専業部品メーカーが関わっており、裾野が広い産業です。

 人口が減る国内では新路線もあまり期待できません。そこで、各社は海外展開を強めるようになりました。これまでも川崎重工の車両がニューヨークの地下鉄に大量受注されて話題になったことがありますが、図表にあるように最近、東南アジア、ブラジルといった新興国や欧州で、日本メーカーによる受注が目立つようになりました。鉄道分野の売上の半分以上を海外で稼ぐ計画の日立は、鉄道の司令塔を英国に移す方針も明らかにしています(2013年12月10日の今日の朝刊「面接対策!企業研究に新聞記事データベースを活用せよ」参照)。それでも海外勢が強く、日本勢のシェアはまだ1割ほど。これを各社協力して伸ばそうというのが今回の三菱重工の施設の狙いです。

 1日のこの欄で書いた新幹線も、JR東日本、東海、西日本、九州のJR4社などが、海外輸出をめざす「国際高速鉄道協会」(IHRA=アイラ)を今春設立。欧州、インド、東南アジア、ブラジル、豪州などの高速鉄道計画で路線建設や車両の受注をめざします。

 「日本鉄道車輛工業会」のサイトを見ると、鉄道関係の会社の一覧や統計資料などが載っています。業界・企業研究に役立ててください。

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