2014年09月24日

「再編」の文字に注目! 企業の親子関係をおさらいしよう

テーマ:経済

◆ニュースのポイント

 小売り業界の再編が止まりません。私がよく行く近所のスーパー、「ピーコックストア」は、昨年、大丸松坂屋を運営する「J.フロント リテイリング」系列からイオン傘下に変わり、棚にはイオンのプライベートブランド(PB)である「トップバリュ」の商品が一気に増えました。
 小売り業界に限らず、新聞などに「再編」という文字があったら、ぜひ注目してみてください。みなさんの就活にもかかわってくる可能性があります。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、一面の「ダイエー完全子会社に/イオン方針/傘下スーパー再編」です。
 記事の内容は――小売り最大手のイオンが、傘下のダイエーの株式をすべて取得して「完全子会社」にする方針を固めたことがわかった。2015年春までに手続きを終え、ダイエーの東証1部への上場を廃止する方向で検討している。グループ内のほかのスーパーとの再編を進めやすくして、収益を改善するねらいがある。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

◆就活アドバイス

 ひとり暮らしや自炊をしている人以外は、スーパーで頻繁に買い物をすることはないかもしれません。でも、ここ数年の小売り業界の再編ラッシュの背景を知ることは、業界全体の状況はもちろん、各企業がいまどこを向いているのか、「攻め」ているのか、あるいは「守り」に入っているのか、を知ることにもつながります。

 イオンは、2007年にダイエー、丸紅と資本・業務提携をし、2013年8月には、株式公開買い付け(TOB)によって、ダイエーの発行済み株式を44.15%まで買い増して、連結子会社にしました。それでも、ダイエーの赤字体質が改善しないので、親会社の経営方針を反映しやすい完全子会社にして、抜本的に改革しようというのが今回のねらいです。

 完全子会社になれば、親会社の資本によって、経営は安定します。グループ全体で中長期的な経営計画にも取り組みやすくなります。傘下のスーパーが共同して商品を仕入れたり、近くにある系列店舗を統合したりして、コストを減らすこともできます。
 一方で、親会社の意向を尊重することで、自主的な経営がしにくくなったり、上場廃止に伴い、子会社が独自に資金を集めたりすることはできなくなります。
 人材交流の可能性もより高くなります。たとえば、「ダイエー」に就職した人が、もしかしたら、イオン傘下の別のスーパーの仕事をすることになるかもしれません。

 一番最初に紹介した「J.フロント リテイリング」の場合、ピーコックストアは手放しましたが、ファッションビル大手の「パルコ」を買収しました。阪急百貨店・阪神百貨店を運営する「エイチ・ツー・オー(H2O) リテイリング」は2014年6月にスーパー準大手の「イズミヤ」と経営統合しました。2006年、「セブン&アイ・ホールディングス」が「西武百貨店」と「そごう」を傘下に入れたのも話題になりましたね。

 気になる企業があったら、その会社の傘下企業や親会社、業務提携をしている企業や、関係の深い金融機関などを調べる癖をつけてください。人に話したくなるような親子関係に気づいたり、志望動機につながる意外な事業を見つけたり、興味もより広がるかもしれません。イオンの再編については、2013年8月23日の「今日の朝刊」でも取り上げていますので、目を通してみてください。


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