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他山の石、世間ずれ、煮詰まる、天地無用、やぶさかでない、まんじりともせず……意味知っていますか? 文化庁の国語世論調査でこれらの慣用句を本来とは違う意味で使っている人が多いことがわかりました。日常会話ではあまり問題になりませんが、就活の面接やエントリーシート(ES)で目にしたり、耳にしたりすると、年配の社員はがっかりしてしまいますよ。
今日取り上げるのは、1面の「レンジで『チンする』9割浸透/国語世論調査」と、社会面(33面)の関連記事「意味 ずれてます/世間ずれ→世の中の考えから外れている? やぶさかでない→仕方なくする?/国語世論調査」です。
記事の内容は――名詞や外来語に「る」や「する」を付けて動詞にする言い方について、文化庁が初めて調べたところ、「チンする」は使う人が90.4%、「ディスる」は5.5%で若い世代に偏っていた。同庁は「こうした表現について良い悪いは言えないが、分からない人もいることを踏まえて使って欲しい」と話している。
国語世論調査では、「世間ずれ」や「まんじりともせず」などの慣用句が本来とは違う意味で使われていることが明らかになった。若い人ほど「場の空気」を読んでコミュニケーションを図っている実態も浮かび上がった。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
「先日、事故ったとき、パニクってしまって……」
国語世論調査によると「事故る」も「パニクる」も「使うことがある」人が多数派ですから、日常会話ではこんな表現を使うことがあると思います。でも、就活の面接の場ではどうでしょうか。面接には面接の場にふさわしい表現があります。定着している「チンする」も、もし食品会社の面接で使うときがあれば「電子レンジで温める」などと言った方がいいでしょう。
言葉は時代によって変化することがあるので、必ずしも「正しい」「誤用」と言い切れない場合もあります。ただ、就活でみなさんが話をする相手は、OB・OG訪問は若手社員かもしれませんが、選考が進むとともに年齢層が高くなり、面接ではお父さん、お母さん世代の社員や役員です。言葉の誤用には敏感な人もいますから、今日の一覧表に出ている表現については、本来の意味を覚えてください。
企業は「大人」を採用したいので、子どもっぽい表現も嫌われます。ESなどでは、「学校」「生徒」「勉強」「僕」といった表現は、「大学」「学生」「学問・勉学」「私」と言い換えるようにしましょう。
今月スタートした新連載「ことばマイスター ナカハラハラハラ」は、記事をチェックする校閲記者を長く経験した中原光一さんが、敬語の正しい使い方や間違えやすい言葉を指摘するコーナー。ESや面接対策にきっと役に立ちます。先週と今週は、みなさんがよく使う「ら抜き」言葉について書いています。ぜひ読んでみてください。
(グラフは2013年の国語世論調査)
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