2014年06月06日

ママが子どもと海外赴任!日本郵船で第1号

テーマ:経済

ニュースのポイント

 海運大手・日本郵船の女性社員が、子ども連れでシンガポールに赴任しました。同社ではワーキングマザーの子連れ海外赴任の第1号です。夫を日本に残して子どもと海外に転勤するケースはまだ珍しいようですが、みなさんが一線で活躍している10年後には、もっと広がっているでしょう。

 今日取り上げるのは、「働く」面(35面)の「娘と一緒 ママの海外赴任/会社の期待 家族の決断」です。
 記事の内容は――日本郵船社員の石井知子さん(38)は5月からシンガポール現地邦人のシニアマネジャーとして働き始めた。長女(3)は地元の私立保育園に通う。人事担当者から転勤を打診されたときは驚き戸惑ったが、「私が子どもを連れて行こうと自然に思った」。メーカー勤務の夫(41)も最初は驚いたが、「娘が大人になるころは、性別に関わりなくもっと社会とかかわる世の中になる。家族みんなにいい経験になる」と背中を押してくれた。
 同社は2001年から総合職、一般職の区分をなくし、男女を区別せず採用している。社員1600人のうち女性は280人で役職者の13%。独身女性の海外赴任は1996年に始めた。陸上にいる社員の4人に1人は海外におり、約40年働く場合、平均約10年を海外で過ごす。結婚・出産後に復帰する女性も増え、「女性のキャリア形成のために、子どもがいる女性の海外赴任は超えなければならないハードルだった」(人事担当役員)。石井さんを第1号に決め、赴任先は治安がよく、働く女性も多いシンガポールに。現地の日本人保育園は待機児童が多いため、地元住民が通う保育園と会社が契約し「優先枠」を確保した。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 記事の最後で石井さんは「夫の仕事の状況や子どもの体調は人それぞれ。だれもが海外赴任できるわけではない。でも、後に続く人が挑戦したいと思えるように、がんばりたい」と語っています。結婚・出産を機に仕事を続けるか退職するか、転勤のとき単身赴任するか……といったことは、男女にかかわらずとても重い決断です。家族によって、会社によって事情はさまざまでしょう。ただ、5月23日の今日の朝刊「女性が働き続けるのは当たり前⁉『自活女子』目指せ」で書いたように、ジャーナリストの白河桃子さんは「妻子を養うのに十分な収入のある男性はほんの一部」「働き続けることを土台にして、そのうえに結婚や出産がある」と説いています。女性が仕事を続けることを前提にすれば、ママの子連れ海外赴任だけでなく、パパと子どもを国内に置いてママが単身赴任したり、パパが子連れで海外赴任したりするケースも増えてくるかもしれません。

 実現には家族の理解に加えて、会社の支援態勢が不可欠です。今日の関連記事にあるように、ママ社員の子連れ海外赴任は三井物産、三菱商事、住友商事、伊藤忠商事といった大手商社を除けばまだ少ないようです。これからはグローバル化で企業の海外進出が加速する時代。女性だけを国内で異動させていたら、日本郵船と同じように「やがて人事が回らなくなる」会社もあるでしょう。ママ社員を子連れ海外赴任させる企業も必然的に増えると考えられます。

 「結婚・出産か、海外赴任か」の二者択一ではなく、どちらも諦めずに両立できる時代がそこまで来たのかもしれません。インターンやOB・OG訪問など社員と話す機会に、その会社の実情を聞いてみてください。

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