ニュースのポイント
東京都心に超高層複合ビル「虎ノ門ヒルズ」が完成、11日に開業します。開発した森ビルは、今後約1兆円を投じて周辺に超高層ビルを10棟ほど建て「虎ノ門を国際的な新都心にする」と宣言しました。街をつくるディベロッパー(デベロッパー)の仕事について考えます。
今日取り上げるのは、総合面(7面)の「虎ノ門ヒルズ完成/森ビル『周りに高層ビル10棟計画』」です。
記事の内容は――東京の湾岸地域と都心を結ぶ新しい都道「環状2号線」の上に建てられた虎ノ門ヒルズ(東京都港区)が完成した。東京都心では、六本木のミッドタウン・タワー(港区)に次ぐ2番目に高いビルになった。東京都の事業の一部で、土地の多くを持ち、都に代わってビルを建てる「特定建築者」に選ばれた森ビルが運営する。店舗、会議場、オフィス、マンション、外資系高級ホテルが入る。虎ノ門一帯は再開発が遅れ、低層のビルが密集しているが、森ビル以外にもホテルオークラや都市再生機構が超高層ビルの建設を予定しており、都内有数のビル群が生まれる見通しだ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活ニュースペーパー
今この原稿を書いている席から、汐留のビル群の向こうにそびえ立つ「虎ノ門ヒルズ」が見えます。虎ノ門といえば、私が生まれた虎の門病院も周辺のビルとともに再開発が進んでいます。ヒルズの地下を通る環状2号線は、2020年東京五輪のメーン会場につながる都心の新たな大動脈です。地上には、23区内最大規模の幅13メートルの歩道を設け、オープンカフェが並ぶおしゃれな並木道ができる予定。パリのシャンゼリゼ通りをイメージしており、国会がある永田町や霞が関の官庁街にほど近い古いオフィス街はイメージを一新しそうです。
森ビルはこれまで、赤坂のアークヒルズ、六本木ヒルズ、表参道ヒルズなどの大規模再開発で東京の風景を一変させてきました。ディベロッパーとは、こうした大規模な都市開発や宅地開発を担う大手不動産業者のことで、個々のビルや家を建てるだけでなく「街をつくる」仕事。「人事のホンネ」で三菱地所の伊藤高久さんはこう説明しています。「業務内容をひとことで言うと『街づくり』です。街には住宅・オフィスビル・商業施設・ホテル・リゾートなど、様々な建物や施設があります。それらの開発、運営管理を通じて、皆さんの生活の場である街をつくり、育てている。それが我々総合ディベロッパーの仕事です」
東京ではディベロッパーが主導する再開発が各地で続いています。日本橋、赤坂の三井不動産、丸の内、品川の三菱地所、渋谷駅周辺の東急不動産などが有名です。大阪でも梅田駅前や、日本一高いビルになった「あべのハルカス」など、再開発が相次いでいます。
一方で大規模再開発は関係する地権者が多く、実現までの交渉は容易ではありません。六本木ヒルズは構想から2003年の完成まで17年かかりました。環状2号線は戦後すぐの1946年に都市計画が決定され「マッカーサー道路」とも呼ばれましたが、もとは家具店の街だった虎ノ門は店舗兼住宅に暮らす職人が多く、反対運動が長く続き、実現までに70年近くかかったわけです。でも、だからこそやりがいも大きいのでしょう。三菱地所の山田由紀さんは「数多くの地道な調整をして、いろんなことを考えてつくってきたものが、数年がかりで出来上がり、実際に施設を使ってくれている人を見ることができます。しかも、3年経っても5年経っても、そこで楽しそうに過ごしている人たちを見ることができる。誰かの記憶に残る場所を作ることができた、そういう実感が、ものすごく大きなやりがいであり面白さです」と話しています。地道な努力を積み重ねてこそ、スケールが大きな街づくりができるのですね。すべての仕事につながる言葉だと思います。
山田さんは「人事のホンネ」で、世界の都市間競争の中で日本、東京が勝ち残るための工夫についても語っています。東京五輪に向けてさらに注目される業界です。国際的な視野も持ちながら、動向をチェックしましょう。
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