ニュースのポイント
日本の経済界を代表する団体「経団連(けいだんれん)」の会長が交代し新体制がスタートしました。経団連は実はみなさんにも大いに関わりがあります。会員には就職人気ランキング上位の有名大企業が名を連ねていますし、みなさんの就活の時期を決めているのは実はこの団体なんです。今日は経団連についての勉強です。
今日取り上げるのは、経済面(9面)の「『政治と経済は両輪』榊原経団連 発足」です。
記事の内容は――経団連は定時総会で榊原定征(さだゆき)東レ会長(71)を会長に選んだ。会長は、日本企業の競争力強化につながる技術革新と、社会保障などの制度改革という二つの「イノベーション」を経団連が引っ張ると主張。法人税減税など、めざす政策の実現へ政治と連携を強める方針も改めて打ち出した。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
経団連の正式名称は「日本経済団体連合会」。日本を代表する自動車や鉄鋼、商社、銀行など約1300社が加盟しています。企業に有利な税制や規制緩和など、経済界の意見や政策要望をまとめて政府に働きかけるのが最大の役割で、自民党と二人三脚で戦後の高度経済成長を成し遂げたと言われます。経済団体には、中小企業が多く集まる「日本商工会議所(日商)」、経営者が個人で参加する「経済同友会」もありますが、もっとも影響力がある経団連は「財界の総本山(そうほんざん)」と呼ばれます。会長は財界を代表して政治家や海外の首脳とも会談するため、かつては「財界総理」とも称されましたが、2010年に政治献金のあっせんを廃止したこともあって政治への影響力は低下。民主党政権とは原発政策などをめぐって対立、安倍政権の金融緩和策を前会長が「無鉄砲」と批判したことなどから自民党ともぎくしゃくした関係が続いていました。このため榊原新会長は、自民党政権との関係改善に力を入れ、政治献金への関与再開も検討すると表明しています。さらに、企業に有利な法人税減税と、政治関係が冷え込んでいる中国、韓国との経済交流に力を入れる考えです。
副会長には日本を代表する大企業の経営幹部18人が並びます。三菱商事、三菱東京UFJ銀行、丸紅、JR東日本、第一生命、三井住友フィナンシャルグループ、日本郵船、三菱重工業、アサヒグループホールディングス、東京海上日動火災保険、王子ホールディングス、新日鉄住金、トヨタ自動車、東芝、日立製作所、JXホールディングス、NTT、野村証券――。そうそうたる顔ぶれですね。一方、戦後日本を支えてきた製造業が中心の顔ぶれから、経団連を「オールドエコノミーの集団」「衰退する日本の象徴」と皮肉る声もあります。伸び盛りのソフトバンクや楽天などの名はありません。2012年末の総選挙で自民党が大勝したあと、安倍氏が最初に会った経済団体のトップは経団連会長ではなく、新経済連盟(新経連)の三木谷浩史代表理事(楽天会長兼社長)でした。新経連はITベンチャーの経営者らでつくる新興の経済団体。これからは新経連にも注目です。
さて、就活時期の話です。今の4年生のときは、多くの企業が昨年12月に企業広報をスタートし、この4月から面接などの選考を始めました。ところが、今の3年生の就活では、企業広報が来年3月から、選考開始は来年8月からにずれ込みます。このスケジュールを決めたのが経団連です。「就活の早期化が学業の妨げになっている」として安倍首相が経団連会長らを呼んで就活時期の変更を要請。これに応えて昨年9月、経団連が「採用選考に関する指針」で後ろ倒しを発表しました。経団連は全加盟社に指針に従うよう求めています。ただ、これまでも選考開始前の3年生の3月までに事実上の「内々定」を出す企業が多くありましたし、そもそも指針に縛られない外資系企業などはもっと早く選考していました。指針に強制力や罰則はなく、どれだけの企業がこのスケジュールを守るかはまだわかりません。
確実に言えるのは、就活解禁が遅くなった分、これまでより多くの企業がインターンシップ(就業体験)を実施することです。早めに3年生に接触して会社や仕事を理解してもらうためです。夏のインターンの受け付けが始まっています。積極的にチャレンジすることをお勧めします。朝日新聞社もインターンの募集を始めました。詳細は下記の朝日新聞インターンシップサイト「MEDIA WORKSHOP」をご覧ください。
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