ニュースのポイント
全日空(ANA)が4月、国際線の事業規模で初めて日本航空(JAL)を上回りました。ずっとJALの代名詞だった「ナショナルフラッグ・キャリアー」(国を代表する航空会社)の交代です。
今日取り上げるのは、1面の「国際線規模 ANA首位/羽田増便 初めてJAL抜く」です。
記事の内容は――航空業界では、運航した座席数と飛行距離(キロメートル)をかけた「座席キロ」という数値で事業規模を表すことが多い。いわば「お客を運ぶ力」ともいえる数値。4月の国際線はJALが前月比3.0%減の約38億座席キロだったのに対し、ANAが同10.6%増の約41億座席キロで、初めて首位が入れ替わった。3月末に拡大した羽田空港の国際線がANA1日11便、JALに5便と大きく傾斜配分されたため。路線数でも、JAL51に対しANAが54だった。ただ実際に運んだ4月の旅客数は、約61万人のJALが約55万人のANAを上回った。ANAは2016年度までに路線数をほぼ1.5倍に増やし、旅客数でも「日本代表」の座を固める計画だ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
JALの創立は1951年。1953年には日本航空会社法ができ半官半民の
国策会社に。国内の大都市を結ぶ主要な路線と、国内で唯一国際線定期便を運航する会社としてスタートしました。1985年の完全民営化のあとも「ナショナルフラッグ・キャリアー」の地位にあり続けました。2010年に経営破綻(はたん)しましたが、
公的資金が投入され、大幅なリストラも行ってV字回復を遂げています。
これに対しANAは1952年、ヘリコプター2機から立ち上げた民間会社で、長く国内線しか飛ばせませんでした。国際定期便の運航を始めたのは1986年の東京-グアム便から。その後もJALが羽田・成田の国際線発着枠を多く持っていたため、ANAは思うように国際便を増やせませんでした。そのANAにとって、国際線の事業規模でJALを抜きトップに立ったことは、歴史的な出来事と言っていいでしょう。
ANAホールディングスは2月、国際線を現在の1.5倍に増やして、国内線を上回る規模にする経営計画を発表しました。JALの2倍以上割り当てられた羽田の国際線増便枠を生かす作戦です。3月には、新型機70機を1兆7000億円で購入すると発表。過去最大の投資で、2020年時点の保有機数を現在より20機多い250機にし国際線拡大に当てます。「ナショナルフラッグ・キャリアー」の地位を固める攻めの戦略です。
JALも、羽田-ホーチミンに深夜便を飛ばすなど新たな戦略で対抗しています。ANA対JALの「ライバル物語」はこれからも続きます。エアライン志望者は両社についての記事を見逃さないでください。
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