ニュースのポイント
身につけられる次世代の携帯機器「ウエアラブル端末」が、スポーツ、医療、エンターテインメント、作業機器などの分野で続々と実用化されています。「小型化・軽量化・省電力化」がキーワードで、これは日本企業の「お家芸」。大きなビジネスチャンスの到来です。
今日取り上げるのは、20、21面の「ウエアラブル・テック・エキスポ」特集です。
記事の内容は――3月25、26日に東京で国際展「ウエアラブル・テック・エキスポ」(朝日新聞社メディアラボ、博報堂など主催)が開かれた。会場では、指輪型や腕輪型などさまざまな端末が紹介・実演された。これらのアイデアは高性能で小さなセンサーやバッテリー、半導体などの進化によって実現した。コンピューター技術がハード、ソフトとも飛躍的に向上し、小型化・軽量化・省電力化が進んだからだ。2016年には腕時計型端末は世界で1億台、メガネ型が1000万台の市場規模になるとの見方も。夏野剛慶応大特別招聘(しょうへい)教授は討論で「日本が先頭を走れる分野だ。身につけても心地よい製品を作る、ものづくりの技術もある」と話した。一方でカメラつきメガネ型端末などにはプライバシー侵害の問題が起きる恐れもあり、ルール作りも必要だ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
ウエアラブル端末とは、簡単に言うと手で持たずに使えるスマホのようなもの。今日の紙面に登場した元五輪陸上選手・為末大さんの写真を見てください。身につけている端末は、メガネ、腕輪、腕時計、シャツ、ショートパンツなど実に11種類。まさに「ウエアラブルマン」ですね。ウエアラブル端末が売り出されるというニュースは、昨年10月7日の今日の朝刊「君もトム・クルーズに?」で書きましたが、その後半年でさらに進化してきたことがわかります。
日本の大手電機メーカーはスマホの開発で出遅れました。2013年のスマホ出荷台数の世界シェア上位は、①韓国・サムスン電子 ②米・アップル ③中国・華為技術(ファーウェイ) ④韓国・LG電子 ⑤中国・レノボ。この米中韓勢で6割を占めています。「スマホ世界3位以内」を目指すソニーは、売上高では3位争いをしています。ただ、これから需要が伸びる新興国市場では中国・韓国の割安なモデルが強みを発揮するでしょうから容易ではなさそうです。
一方でウエアラブル端末は、小型化ときめ細かさの勝負。日本のメーカーが得意とするところです。指輪型端末「リング」を開発したベンチャー企業ログバーの吉田卓郎社長はエキスポで「私たちは次の革命となる技術を持っている」と語りました。腕時計型をすでに販売しているソニーの平井一夫社長も、ウエアラブル端末について「ソニーのDNAを発揮できる面白い分野。バッテリー性能やデザインなど、利用者が何を求めているかを見極めていく」と話しています。すでに、村田製作所、ロームといった部品メーカーや、液晶メーカーのジャパンディスプレイなどは、ウエアラブル向けを想定した部品を次々と開発しています。用途は広がっており、電子・電機メーカー、部品メーカー、ITベンチャーだけでなく、エンタメ、ファッション業界などの志望者も目が離せませんよ。
ちなみに、今回のエキスポを主催した「メディアラボ」は朝日新聞社の新しい組織で、未来のメディアの姿を自由な発想で議論し新しい商品やビジネスの開発を目指す「実験室」です。
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