ニュースのポイント
今年、株式を上場する会社が、去年より2割ほど増えて70社を超えそうです。日立マクセル、ジャパンディスプレイがすでに上場し、23日には西武ホールディングス(HD)が予定しています。さらに、通話アプリのLINE、リクルートホールディングス(HD)など注目企業が上場を予定しています。
今日は総合面(2面)の「いちからわかる! 株式を上場する会社 今年は多いらしいね」を取り上げます。
記事の内容は――株式の上場とは、会社が発行する株式を証券取引所でだれでも売り買いできるようにすること。株式は会社が事業につかうお金(資本金)を集めるために発行。株式を売って代金を受け取る代わりに、株式を買ってくれた投資家には会社のもうけの分け前を配る(配当)。会社をつくる時は通常、株式を社長の身内や知人ら限られた人だけに売り、上場はしない。上場して株式を買いたい人をたくさん集め、取引所で株式が高値で売買されるようになれば、新しい株式を発行し、事業につかうお金を増やせる。上場は「一人前」になった証し。知名度や信用力が上がり、優秀な人材も集めやすくなる。その分、経営情報を公開し、もうけを配当して株主に還元する責任も求められる。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
株式上場は2000年がピークで200社を超えていました。その後も毎年120社超が続いたところに、2008年のリーマン・ショックで急減。2009年にはわずか19社でした。その後は毎年増えて、昨年上場した企業数は58社。今年増えれば5年連続の増加です。企業が新規上場に積極的なのは、昨年からの株高で市場が回復し、自社の株を投資家が高く買ってくれる見込みがあるからです。上場による資金調達で、新しい工場をつくったり、研究開発費を増やしたりできます。
国内最大の東京証券取引所には、1部、2部のほか、新興企業向けのジャスダック、マザーズなどの市場があり、計約3400社が上場しています。一定規模の利益があり、経営体制もしっかりしている会社だと証券取引所に認められると上場できます。市場の中でも、株主の数や取引量などの条件がもっとも厳しいのは東証1部。大きくて有名な会社が多く、東証1部上場はある種のステータスとも言えます。1部上場企業は約1800社です。
昨年、時価総額で最大の上場銘柄はサントリー食品インターナショナルで、上場時に新株を発行して2800億円を調達し、欧州での企業買収などにあてました。今年上場予定のリクルートHDも、調達した資金を海外企業の買収などにあてると言われています。勢いがあり攻めの経営をしている会社ですね。今年は「再上場」も目立ちます。電池製造の日立マクセルは2010年に日立製作所の完全子会社となって上場を廃止しましたが、新たな事業展開のために再び上場。西武HDは04年に有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止になって以来の東証1部復帰です。
就職人気ランキングの上位に並ぶ企業の多くは上場企業です。新たな上場の動きに注目してください。一方で、大手でも上場していないのが日本の新聞社です。朝日新聞社も株式会社ですが上場していません。これは、上場して特定の主張をもった団体による株の買い占めなどがあれば、新聞の編集方針にも影響し「不偏不党」「報道の自由」が脅かされかねないからです。
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