2014年04月03日

百貨店の今後 銀座再開発、新たな挑戦

テーマ:経済

ニュースのポイント

 東京・銀座のど真ん中で地域最大の再開発となる複合ビルが着工しました。東京の、日本の一等地で始まる「新百貨店モデル」の挑戦からは商業施設の今や未来の姿が見えてきます。

 今日取り上げるのは経済面(8面)の「銀座『脱百貨店』/松坂屋跡地に新複合ビル/7階以上はオフィス/専門店中心に活路」です。
 記事の内容は――松坂屋銀座店跡地の再開発ビルは2016年秋の完成をめざしており、高級ブランド店など専門店やオフィスが入る。地上13階、地下6階建てで、松坂屋銀座店の跡地周辺の土地も含めた銀座最大級の再開発だ。高級ブランド店や飲食店など250~300のテナントや、銀座に少ない大規模なオフィスを設ける。地下2階~地上6階に入るテナント部分の売り場面積は約4万6000平方メートル。近くの三越銀座店、松屋を大きく上回る。7~13階のオフィスの1フロアの広さは都内最大級の約6100平方メートル。国内外のコンサルティングやIT、人材会社などの入居を見込む。松坂屋を運営するJフロントリテイリングが百貨店の建て替えではなく再開発を選んだのは、世界的に知名度が高い「銀座」中心部の価値をいっそう高めるため。Jフロント社長は「まったく新しい商業施設に挑戦する」と説明する。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 銀座最古の百貨店だった松坂屋銀座店が姿を消し、専門店中心の複合ビルに生まれ変わります。背景にあるのは、百貨店業界を取り巻く環境の厳しさです。記事のグラフにあるように、百貨店の売上高は大型スーパーや衣料専門店などとの競争で減少が続き、13年は約6兆2100億円で、ピークだった91年の3分の2に減っています。銀座にもユニクロなどのファストファッションが大型店を出店。隣の有楽町では有楽町マルイが開業し、西武有楽町店の後にルミネが出店するなど、商業地図の変化が続いています。

 Jフロントは、大阪を地盤とする大丸と、名古屋を地盤とする松坂屋が経営統合して2007年に誕生しました。2012年3月期の売上高は約9400億円で、百貨店グループでは三越伊勢丹ホールディングスに次いで国内2位。他社と品ぞろえが似たような従来型の百貨店ではお客が集まらないとして「新百貨店モデル」を掲げ、各地の百貨店に東急ハンズなどの専門店を積極的に誘致してきました。銀座の新しい複合ビルでは百貨店の看板を外し、専門店中心の展開をさらに進めることにしたわけです。

 百貨店の売上減少、ファストファッションの台頭、専門店を充実させた「新百貨店モデル」、2020年東京五輪に向けた東京の「顔」づくり、昨年1000万人を超え2000万人をめざす訪日外国人向けの店づくり……。今日の記事には、百貨店、小売、ファッション・アパレル、不動産など、商業地の開発や展開に関わる多くの業界の課題と将来像のヒントが詰まっています。この新たな挑戦に注目してください。

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