注目！入社式の社長あいさつから企業を知ろう

ニュースのポイント

　４月１日、全国の会社で一斉に入社式が開かれ、各社の社長が新入社員に向けてあいさつしました。業績絶好調の企業、新規事業に乗り出す企業、不祥事があった企業……。社長の言葉からは、日本の経済情勢、企業の置かれている状況、課題や目指す方向性に加え、どんな人を求めているのかも見えてきます。

　今日取り上げるのは経済面（８面）の「引き締めとエールと／各地で入社式／トヨタ『おごりないか顧みて』、パナ『売り上げ拡大へ攻勢』、マルハニチロ『再スタートする』」です。ほかにも地域面や昨日の夕刊から、朝日新聞が報じた社長あいさつをまとめます。

（東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から）

就活アドバイス

◆トヨタ自動車・豊田章男社長「販売世界一など、もてはやす記事を目にすることがあると思う。自分たちが一番といったおごりがないか常に顧みる必要がある」
◆高島屋・木本茂社長「『高島屋と商売しているんだから』というスタンスで不遜な態度をとる者が時々いる。お取引先と話す態度、礼節をわきまえるのが大事だ」
◆パナソニック・津賀一宏社長「何とか危機を脱却し、反転できた。今年は売り上げ拡大につながる攻勢をかける。自らの強みを明確にし、磨く努力をしてほしい」
◆武田薬品工業・クリストフ・ウェバー次期社長「多様な才能とアイデアは組織における強みだ。変化の著しいこの製薬業界において、ぜひ情報収集力を磨いてください」
◆東芝・田中久雄社長「東芝の飽くなき探究心と熱い情熱というＤＮＡは、時が経っても変わらないし、変えてはいけない。皆さんにはこのＤＮＡをしっかり受け継いでほしい」
◆三菱重工業・宮永俊一社長「国内市場は発展がのぞめないが、世界経済は新興国の成長などもあって拡大していくだろう。企業の発展には多様性や国際的なルールへの対応力が必要だ」
◆ＪＦＥスチール・林田英治社長「国内経済がリーマン・ショック前の状況に戻ることはないが、世界の変化に機敏に反応し、素早く行動できれば成長の波にのることができる」
◆三井物産・飯島彰己社長「戦力と認められるには信頼される人にならなくてはならない。誠実さと責任感を持って仕事に取り組み、与えられた役割をしっかり果たすことが大切」
◆ＮＴＴドコモ・加藤薫社長「モバイル情報通信のど真ん中におり、世界的な会社と競争するフェーズはたくさんある。やることはたくさんあり、苦労も多いが喜びは何倍も大きい」
◆楽天・三木谷浩史社長「ＩＴの環境は常に、そして突然変わるので大変予測は難しい。多少のリスクを取ってでも、新しいことにチャレンジし続けていくことが大切だ」
◆日本取引所グループ・斉藤惇最高経営責任者「日本の人口や生産力は、縮小、低下している。グローバル化を否定する企業はいずれ枯れてしまう。自分を変え、会社を変え、日本を変えてほしい」
◆ＡＮＡホールディングス・伊東信一郎社長「かけがえのない仲間であるジャンボに別れを告げるのは本当に寂しいが、若々しく希望に燃えた皆さんを迎えることができうれしい。失敗をおそれずチャレンジしてほしい」
◆マルハニチロ・伊藤滋社長「失った信頼を回復することは並大抵なことではないが、信頼を取り戻すために『何のために企業として社会に存在しているのか』、もう一度、原点に返って再スタートする必要がある」
◆三菱マテリアル・矢尾宏社長「我々がすべきことは、従業員が安全で安心して働ける会社を作り上げること。安全優先で、世の中から必要とされる『誇り』ある会社を作り上げていこう」
◆東京電力・広瀬直己社長「いまなお事故でたくさんの方々が大変厳しい生活を強いられている。一緒になって力をあわせて難題に取り組んでいきたい」
◆ＪＲ北海道・島田修社長「本日、体制を一新し、安全最優先のＪＲ北海道となることを目指しスタートする。私は先頭に立って全力を尽くす。皆さんも自分こそが（再生の）原動力になるという使命感を持ってください」
◆みずほＦＧ・佐藤康博社長「一度や二度の失敗で自信を失わないでほしい。人間は失敗をつみかさねて成長するものです」
◆ＮＨＫ・籾井勝人会長「（就任）初日に記者会見を行った際、質問に答えて個人的な意見を言い、大きく報道されました。入局前の皆さんには、ご心配をかけたことと思います。たいへん申し訳ありません。職員全員が信頼や期待を積み重ねていったとしても、たった１人の行為がＮＨＫに対する信頼のすべてを崩壊させることもあります。自らの行為の、ＮＨＫや日本の社会に与える影響や責任の重さは、昨日までとは全く違うことを、しっかりと自覚していただきたいと思います」

　紹介したのは、あいさつのほんの一部分ですが、各企業の現状や未来も垣間見えます。ホームページで入社式の様子や社長あいさつを公開している企業もあります。ＡＮＡホールディングスがジャンボ機の前で開いた入社式の様子は、以下の朝日新聞デジタルの動画で見ることができます。１年後、その場にいる自分を想像してモチベーションを上げて面接に臨みましょう。

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