2025年01月09日

複数内定から1社に絞るときは理由をとことん考える【26卒学生の就活ルポ22】

テーマ:学生の就活ルポ

 2026年卒学生の就職活動を適宜、「就活ニュースペーパー」で紹介するこのコーナー。今回は、地方国立大工学部のシンヤさんが登場します。3社あった志望会社から1社に絞り込んだシンヤさん。ほかの2社に断りを入れるにあたっては、自分もしっかり納得し、相手の人事の方にも正面から向き合って伝えられるように理由をとことん考えたといいます。「売り手市場」のいまは複数内定を獲得することもあたりまえになってきていますが、内定を断るときには相手の担当者にしっかり連絡をとって、自分の考えを伝えられるようにすることは大切だと思います(悪質なオワハラに及ぶような会社はその限りではありません)。(編集部・福井洋平)
(写真はiStock)

【地方国立大 工学部 3年男性 シンヤさん】

■人事の人に向き合ってちゃんと断りたい
 内定をいただいた会社のうち、3社まで絞ってどこに行くかでずっと悩んでいましたが、最終的に1社に絞り込みました。もう1社に断りの連絡を入れて、のこり1社も1月中にはお断りをする予定です。

 納得した上で選択したかったのと、しっかり自分に向き合ってくださった人事の方にちゃんと向き合いたかったので、選ぶ基準はじっくりと考えました。改めて、自分が就活を通じて実現したかったことは「人が仕事を楽しくできるように手助けをする」ことで、そのミッションを掲げているところをまず選ぶ。そして、そのミッションが本当に社員に浸透しているか、ということを重視しました。社員3人くらいに聞いて、その社員がやりたい仕事と会社のミッションが合致していれば、社員までミッションバリューが浸透できていると判断して、そのうえで3社に絞り込みました。

 そのうち1社は社員数が1000人くらいいて、新規事業を手がけづらいと感じました。すでに会社の知名度もあって、営業にまわっても会社の知名度で案件が成立する可能性がある。自分はどうせなら、知名度が低いところで自分の力を伸ばしたいと考え、ここは最初にお断りをしました。メールでアポイントをとって最終的に電話でお断りのあいさつをしたのですが、人事の方も「決断を応援します」と言ってくださいました。

■決め手は「会社で成長できるかどうか」
 のこり2社では悩みました。手がけている製品が幅広い業界に対応できる、狭い業界に特化しているという違いがあり、前者はいろいろなところから課題を集めて抽象化するスキルが身につきそうだ、後者はきりがないくらい課題に対して深掘りすることができそうだということで、どちらの業務内容にもメリットがあり、かなり考えました。

 最終的に決め手にしたのは、「その会社で成長できるかどうか」です。1社は、80%の確率でレベル100までは伸びそうだ。もう1社は20%の確率だけど、レベル200まで伸びるかもしれない、と判断しました。前者のほうがよさそうですが、自分はいま情報系の技術を大学で専攻していて、もし会社で失敗したとしてもそのスキルを生かして転職がしやすい。そう考えると、確率は低くても大きく成長する可能性のある会社に賭けた方がいい、と判断したのです。

 ただ、自分でしっかり納得して進路を選びたかったのでいろいろ理由付けを考えたのですが、実のところはそれは後付けで、就活で出会った人がいい、ということが大きな判断理由だったかもしれません。仕事をしていて、面白いんですよね。

■「3年後は」「ゴールはどうなる」考えて動く
 就活をするにあたっては自分が3年後にどうなるか、ゴールがどうかということを考えて動いたほうがいいんだろうなと思います。自分は最終的には国連など、公共の仕事にたずさわりたい。そこに行くまでにビジネス業界で力をつけていきたい、と考えています。公共の仕事しか知らないような人間ではなく、ビジネスの理屈がわかっていて、清濁あわせ飲んで結果を出せる人間になってから公共の仕事にチャレンジしたい。これからのキャリアはそういうゴールに向けてすすめていきたい、と思います。

 いまは就活生として、競合になりそうな会社の話を聞きに行ったりしています。就活の市場を見ていると、内定しやすい企業に行くとクリエイティブなことはできないし、今後その業界が衰退する局面に当たるかもしれない、と感じます。企業が成長期にあるときは仕組みをつくれるような人間を採用しますが、成熟期に入るとすでにある仕組みのなかでうまくやっていける人間を採用するようになります。コンサルティング業界はいまたくさん人を採っていますが、そこでは安定は手に入れられてもクリエイティブなことはできるんだろうか、と気になっています。

アーカイブ

テーマ別

月別