2025年01月06日

バイデン大統領、USスチール買収阻止 保護主義への傾倒強まるか【週間ニュースまとめ12月22日~1月5日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 2025年の年明け早々、アメリカのバイデン大統領が日本製鉄による USスチールの買収計画を禁止すると発表しました。昨年の米大統領選挙では共和党候補のトランプ氏も民主党候補のハリス氏も買収計画への反対を表明していたので、今回の発表はある程度予想されたことではあります。とはいえ、自由経済の旗頭だったアメリカがその自由経済を否定する側に回ったことに改めて驚かされます。1990年代後半のバブル経済の時代、日本の三菱地所がアメリカのシンボル的存在だったロックフェラーセンタービルを買収し、アメリカでは日本たたきの声が盛り上がりましたが、米政府が買収を禁じることはありませんでした。法律に違反しない限り民間企業同士の売買に政府は口を出さないという自由経済の原則が生きていたからです。

 1月20日には、トランプ氏が大統領に就任します。トランプ氏はアメリカ第一主義の下、輸入品の関税を引き上げるなどの保護主義的な政策を公約にしており、アメリカはますます保護主義に傾きそうです。こうしたアメリカの変化は世界に影響を及ぼすはずです。21世紀の4分の1が過ぎようとしている今、世界経済の潮流が変わろうとしているように思えます。(ジャーナリスト・一色清)
(写真・USスチールの工場入り口の看板=2024年12月、米ペンシルベニア州/朝日新聞社)

【労働】教員試験倍率、小中高で過去最低 「大量採用」以外にも深刻な問題(12/26.Thu)

 文部科学省が12月26日、2024年度(2023年度実施)の公立学校教員採用試験の採用倍率を公表し、小中高校の全てで過去最低だった。三つの校種が最低となったのは、記録が残る1979年度以降、初めて。採用者数の高止まり傾向に対し、受験者数が減り続けていることが背景にある。教員のなり手不足が深刻になっている。

【経済】当初予算案115兆円を閣議決定 過去最大規模、「物価高」で税収も(12/27.Fri)

 政府は12月27日、2025年度当初予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は115兆5415億円で、2024年度を約3兆円上回って過去最高を更新した。歳出が増えた理由は大きく三つある。①社会保障費②防衛費③国債(借金)の利払い費が、いずれも過去最大になるからだ。一方で、税収も過去最高を見込む。こちらも主な理由は三つ。①所得税法人税消費税の伸びが大きくなるという。どちらも背景にあるのが「物価高」だ。

【社会】川崎重工、裏金問題の調査結果を公表 架空取引は6年間で17億円(12/27.Fri)

 海上自衛隊の潜水艦修理をめぐる裏金問題で、川崎重工業は12月27日、2023年度までの6年間で架空取引の総額が約17億円に上っていたとする社内調査の結果を発表した。裏金から潜水艦乗組員の物品への支出は少なくとも40年にわたっており、防衛予算をめぐる官民の癒着ぶりがあらわになった。不正があったのは、船舶の建造などを手がける川崎重工神戸工場(神戸市中央区)で、海自の潜水艦の検査・修理を担当していた修繕部。大阪国税局による川崎重工への税務調査で発覚し、同社が4月に防衛装備庁に報告。同社は6月に外部有識者で構成する特別調査委員会を設置し、社員らの聞き取りをしていた。

【国際】179人死亡、2人救助 韓国で旅客機が着陸失敗 車輪出ず壁に激突(12/29.Sun)

 韓国南西部・全羅南道の務安(ムアン)国際空港で12月29日午前9時3分(日本時間同)ごろ、乗客・乗員181人が乗ったバンコク発の済州(チェジュ)航空の旅客機(ボーイング737―800型)が着陸に失敗して炎上した。消防当局によると乗員2人が救助されたが、179人が死亡した。韓国当局によると、着陸を試みた事故機に管制塔が午前8時57分、鳥が機体に衝突する「バードストライク」に注意するよう伝え、その2分後、パイロットが遭難信号を出した。その後に再び着陸を試みたが、何らかの原因で車輪が正常に作動しなかったとみられ、胴体着陸した。韓国メディアによると、事故機は滑走路で止まらずに壁に激突し、炎上したという。

【経済】日本製鉄によるUSスチール買収計画を認めず バイデン大統領が発表(1/3.Fri)

 バイデン米大統領は1月3日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を禁止すると発表した。買収が米国の国家安全保障を損なうおそれがあると判断した。バイデン氏は声明で、「鉄鋼は我が国のインフラ、自動車産業、防衛産業を稼働させている」と主張。今回の買収で米鉄鋼大手の一つが外資の傘下に入れば、「我が国の安保と重要なサプライチェーン(供給網)にリスクをもたらす」と訴えた。同盟国間の民間企業どうしが合意した買収を、米大統領が認めないのは極めて異例だ。

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