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(写真、イラストはiStock)
「思った以上に露骨に影響出た」
11月11日の朝日新聞に、「履歴書の顔写真『露骨』に影響 人事担当のバイアス、実験で明らかに」という記事が掲載されました。中京大講師の矢吹康夫さんが「履歴書の顔写真が採用選考の判断に及ぼす影響」について調べたところ、「思っていた以上に露骨」な結果が出たというのです。
調査はまず、学生134人が実際に就職活動で使った写真から男女6パターンずつの「平均顔」を作成。そこから「メガネ」「茶髪」「肥満」については男女、「単純性血管腫」「円形脱毛症」については男性のみ、「眼瞼(がんけん)下垂症」「アトピー性皮膚炎」については女性のみ、特徴を加工しました。そして、ウェブ調査会社に登録している企業の人事担当者818人に、架空の履歴書を1人につき8枚見せ、書類選考を通る可能性を10段階で評価してもらいました。大学の成績や自己PRはランダムに出るようにしています。
すると、一番低い評価となったのが、円形脱毛症の男性でした。次いで低かったのが肥満の女性、そして茶髪の男性、単純性血管腫の男性という順になりました。茶髪は女性よりも男性、肥満は男性より女性の方が低く評価されるというジェンダーバイアスも明らかになりました。矢吹さんは「思っていた以上に、露骨に影響が出たなという感じです」と記事でコメントしています。会社の業種でみると、金融・保険・不動産業はほかの業種に比べ、写真の影響力が強く出る傾向にあったそうです。
宝塚でも「容姿端麗」の要項なくなる
矢吹さんは2020年、当時履歴書から性別欄をなくそうという運動があったことをきっかけに、「履歴書から写真欄もなくそう」という運動をはじめました。理由について矢吹さんは記事でこう語っています。
「写真があることによって公平な採用選考が妨げられるのであれば、なくした方がより積極的な意味があるのではないでしょうか」
「有望な人を写真だけで落としてしまう可能性もあるし、見た目だけの無能な人を採ってしまっても、企業としては大変でしょう」
確かに、書類選考の段階で顔写真のデータがどの程度必要かは疑問です。朝日新聞の別の記事によると、米国や英国では履歴書に性別はもちろん、顔写真もほとんど求めないそうです。また、宝塚歌劇団員を養成する宝塚音楽学校は来年度の募集要項から、これまで応募資格となっていた「容姿端麗」ということばを削除したそうです。きらびやかな舞台人を育てる学校であっても、「容姿」は明確な選考条件にはならない、ということなのです。
似た雰囲気の人ばかりだとイノベーション生まれない
矢吹さんの調査については、2022年10月の就活ニュースペーパーでもとりあげています(ESの性別欄・顔写真なしの企業増 「自分らしくいられる会社」探そう)。この記事によると、東京海上日動火災保険や三菱ケミカルは採用時に顔写真添付を不要にしています。ユニリーバ・ジャパンは一足はやく2020年から「#性別知ってどうするの」というキャンペーンを展開し、「ジェンダーや容姿にとらわれず個人の適性 と能力に焦点をあてた選考を行う」とうたっています。顔写真なしの選考はまだ一般的になったとまではいえません。いまでも、就活用の写真を写真館で撮影するという方は多いのではないでしょうか。履歴書やエントリー時に写真を求められる場合、悪いよりはいい第一印象を与えたい、という気持ちになるのは当然のことです。志望企業の要項にあわせながら、対応するしかないのが現状といえるでしょう。
一方で、会社側も見た目や雰囲気を重視し、同じような雰囲気の人ばかりとっていては社内に多様性が失われてしまいます。前述の記事で矢吹さんは「企業の中で意思決定権を持っている人たちと似たような属性の人たちが優遇されれば、長い目で見れば、組織の多様性はなくなってしまいます。そこからイノベーションなんて、生まれないでしょう」とも語っています。会社や職場にどの程度多様な人材がいるのか、多様性を大事にしようとしているのか。説明会やOB・OG訪問を通じてできるだけ感じ取り、会社を選択するための材料にしてほしいと思います。
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