2024年11月13日

内定出ても「就活続けてOK」な中小企業が増えている【学生の就活ルポ17】

テーマ:学生の就活ルポ

 2026年卒学生の就職活動を適宜、「就活ニュースペーパー」で紹介するこのコーナー。金融やIT企業をチェックしている都内私立大のケイジさんと、デザイン系を志望する地方女子大のアスカさんが登場します。どんどん早期化する就活に悩みながらも早期選考にエントリーを続けているアスカさん。入ってみたい企業も見つかったといいます。いまは内定が出ても就職活動を続けてOKという中小企業が増えていて、自分もおそらく就活を続けるだろうと考えています。(編集部・福井洋平)
(写真はすべてiStock)

【都内私立大法学部 3年男性 ケイジさん】

■「希望職種は詳しく説明できたほうがいい」とアドバイス
 10月に、夏にインターンシップに参加した金融系企業のOB訪問をしました。インターンシップ参加者には特典として企業がOB・OGを紹介してくれる仕組みで、オンラインで1年目の先輩社員と話をすることができました。最初の配属はどうやってきまるのか、転勤の可能性はどれくらいあるか、仕事の内容など、いろいろうかがいました。聞いてみて、いい会社だなと思いましたね。福利厚生もしっかりしているし、配属先と勤務希望地のうちどちらかは聞いてくれるそうです。自分の仕事の成果が具体的に見えるからやりがいがある、という話もしていただきました。

 就活については、面接のときにできるだけ詳しく自分の希望する職種について話せたほうがいい、というアドバイスをいただきました。確かにこれまでは漠然と営業をしたい、という話しかできていなかったので、今後は企業の研究をもっと深めて、具体的にどういう仕事がしたいか面接で語れるようになろうと思いました。

■OB・OG訪問で「この人と働きたい」会社見つけたい
 冬のインターンシップに向け、金融系や通信系の情報もチェックしています。あと練習がてら、ということではないのですが、M&A仲介を手がける会社の本選考にもエントリーしてみました。選考通過者のエントリーシート(ES)をまとめて見られるサイトがあるのでそれを参考にしながら、会社のウェブサイトで欲しい人材像をチェックしてそれにあわせ「自己成長する意欲がある」「中小企業を支えていきたい」といったESを書きました。説明会では忙しいけどやりがいがある、ビジネスの知識がかなり必要という印象を受けました。

 最終的には面接やOB・OG訪問を通して「この人と働きたいな」と感じるところにいきたいと考えています。ウェブサイトを見るだけでは生の雰囲気は味わえないので、OB・OG訪問は大切だなと思います。夏にインターンシップに参加した大手IT会社は、そのあともことあるごとに社員さんが連絡してくれて、食事にさそったりもしてくれています。その方は、就活のときに一番自分が面接で正直にしゃべったうえで、採用してくれたのが今の会社だと言っていました。自分もそういう会社を見つけたいですね。

【地方女子大 デザイン系学部 アスカさん】

■SPI受けるのが面倒
 10月に入り、会社説明会と並行して早期選考も一気に始まりました。就活のスケジュールがどんどん入ってきて、毎日何かしら面接か説明会に参加しています。こんなに早く選考が始まることが果たしていいことなのか、と思いながら、流れに乗るしかないのでやっている感じです

 早期選考は4社程度受けています。サービス業のベンチャー企業では、面接で幹部の方から「これから日本では仕事がなくなる、世界を視野に入れなければ」と発破をかけられました。ただ、いまの自分はあまり海外で働きたいという感覚はなく、社長の方の先見の明はすばらしいと思うのですが悩み中です。ほかに食品系の企業も、あまり興味はないのですが面接の練習と思って選考を受けています。SPIを受けないといけないのが面倒ですね。

■営業成績競い合わない社風に惹かれる
 いちばん興味があるのは、ある情報系サービスを手がけるベンチャー企業です。登録しているスカウト型の情報サイトから案内が来て1次面接のグループディスカッションを受けたのですが、思ったより雰囲気がよく、人事の方もかなりほめてくれて、いいフィードバックをしてくれました。2次面接に進むことができましたが、数回面接を経て最終面接は東京でやるみたいです。この会社のことはそれまで知らなかったのですが、サービス内容がすごく興味深く、IT系の事業分野にも手を広げていて成長性も感じました。

 営業成績を競いあうような社風ではなく、情報を通じて社会を変革しようという会社の理念に向かって仕事ができそう、というところにもワクワクしました。あと、社長が「定時で仕事を終わらせて帰るのが一番かっこいい」と言い切っていたのもいいな、と感じました。「休みが多い」ということをアピールする会社は多いですが、休みが多ければいい、ということではなく、仕事と休みがしっかりメリハリがついていることが大切だと思います。もし選考に通過できたら、この会社に行ってみたいと思っています。

■就活の軸は明文化しておきたい
 いろいろ選考にエントリーしていますが、面接で落ちたらどうしよう、という漠然とした不安はいつもあります。面接で必ず聞かれるのが、自分だけが持っているエピソードと、自分の就活の軸です。エピソードの話は何回も同じことをしゃべってきているので、どれだけ飽きないように熱意をもって毎回しゃべれるかが大切だな、と思っています。特にベンチャー企業の場合は、熱意やおもしろさを見てくれていると感じますね。就活の軸についてはこれまで場当たり的にしゃべってきたので、一度ちゃんと明文化して頭に入れておきたいと思っています。ベンチャー企業は特に社風とあうかどうかが大切だと感じていて、なるべく自分をとりつくろわず、素の自分をちゃんとアピールできるようにして、自分にあった会社を見つけたいと思っています。

 どこか内々定が出ても、就活は続けると思います。むしろ中小企業だと、内定を出しても「これからも積極的に就活を続けて下さい」というところが多くなっているようです。内定者を通じて情報収集もすることができるし、会社にもメリットがあるのかもしれません。大企業だと、内定をもらってしまうと就活に制約がかかって面倒かもしれませんね。

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