2024年06月20日

「SNSで『就活コミュニティー』見つける」「学歴フィルターあるなら明記してほしい」【26卒学生の就活ルポ1】

テーマ:学生の就活ルポ

 今回から、すでにスタートしている2026年卒学生の就職活動を適宜、「就活ニュースペーパー」で紹介していきます。今回登場するのは、都内の私立男性学生ケイジさんと、地方国立大の男子学生シンヤさんの男子学生2人。ともにはやめに就活をスタートさせ、自分の志望業界を絞り込んでいっています。就活は情報戦です。ぜひ2人の就活を参考にして、これからの自分の就活を組み立てていってください。(編集部・福井洋平)
(写真はPIXTA)

【都内私立大法学部 3年 男性】ケイジさん

 「GMARCH」の法学部に通う3年生。

■大学を1年休学し長期インターン
 大学2年のときに1年間、大学を休学し長期のインターンシップに参加していました。入学したときがコロナ禍の2021年4月で、なかなか大学に行くこともできず、1年休めば状況も変わると考えました。長期インターンを紹介するサイトで法律系情報を提供するウェブサービスの会社をみつけ、記事の発注や選定など週5日働いていました。オンラインがメインでしたが、後半は出社もしていましたね。インターンを通して、働くときに一番大事なことは協調性だと学びました。個人でできることは少ないし、仕事に対して甘い考えはなくなりました。

 いまの志望業界はディベロッパー系や人材系、金融系です。インターン時代は数字の目標をかかげて、それが達成できるとうれしい、という仕事でした。ただ、自分の仕事が具体的に人にどういう影響を与えているのかが見えなくて、人に直接影響を与えられる仕事につきたいと考えるようになりました。法律の専門職になることもちょっと考えましたが、法律の勉強は後からでもできると思いますし、いまは企業で働くことを優先しています。インターン先への就職は考えませんでした。転職やこれからのキャリアのことも考えると、ファーストキャリアは大きな会社のほうがいいと思います。

■ESは結論ファースト、聞かれていることにきちんと答える
 2つナビサイトに登録して、サマーインターンへのエントリーをすすめています。5月に応募したところは2社ESが通りましたが、6月の応募はまだ結果が出ていません。志望企業のマイページを通して個別企業の説明会は7社程度に参加し、合同説明会にも1つ行きました。合同説明会は自分の知らない企業がたくさんあるし、自分と同じ志を持った学生がたくさんいることにも刺激を受けましたが、ひとつひとつの企業にかけられる時間が短いのがネックですね。なるべく、実際に働いている方の声や、その企業が本気で取り組んでいる事業の話を聞きたいと思っています。社員の方には仕事上のやりがいや、若手の方であれば入社時に何を軸にして決めたのかを聞いています。
 
 ESは、内定者のESが見られるサービスを利用してブラッシュアップしています。生成AIは、結局自分で書く方が早いのであまり使っていません。心がけていることは結論を最初に書くこと、聞かれていることにちゃんと答えることです。選考に通過したESは使えるということで、使い回しています。

■インターンの日程重なるのが悩み
 悩みは、サマーインターンの日程が重なることですね。ゼミの準備にも時間を取られますし、行きたい企業の日程がもともと重なっているので、両方通過したらどうしようと悩んでいます。アルバイトとの両立も難しいから、この半年はアルバイトは休んでいます。就活、長いなと感じます。

 ウェブテストの勉強も大変ですね。いまはほとんどの企業でウェブテストが必須で、テストを受けるのに時間もかかるし、1回飛ばした問題には戻れないので時間配分を考えるのが大変です。私は大学が都内なのでまだいいですが、ちょっと離れたところにキャンパスがある学生はインターンに参加するのも合同説明会に参加するのも大変だろうと思います。

【地方国立大 工学部 3年男性】シンヤさん

■業界や業種で絞らず幅広くエントリー
 中学のころから、人助けができる仕事がしたいと考えていました。大学2年の冬ごろから就活を意識して、いろいろな業界の企業にエントリーしたんですが、そのなかで自分がしっくりくる企業、しっくりこない企業を並べてみたんです。そうすると、「デジタルで世の中を変える」というようなビジョンはしっくりこなくて、人の心を幸せにする、人の心に訴えかけるというビジョンを持った会社にしっくりきていることに気がついた。そこから自分の軸を言語化していって、いまはみんなが辛いものだととらえている「仕事」を幸せなものにしたいと考えて、就活をしています。

 業界や業種で絞ることは考えていないです。最終的にはマネージャーやCEOをめざしているので、それまでは営業でも技術でもいろいろな職種を経験したいと考えています。いまはコンサル系やメガベンチャー、人材系ベンチャー、金融系など幅広くエントリーしていますが、事業を実際にやっている会社、新しいことをやっている会社にすすみたいですね。変化のない会社は面白くないと考えています。

■SNSで「就活コミュニティー」 の情報調べて入り込む
 私の通っている大学だと、学生の多くは公務員か、大学院に進むかで、就活を早くから熱心にやっている学生はほぼいません。ウェブを通して優秀な学生があつまるコミュニティーを運営している就活支援会社がいくつかあるので、そこのコミュニティーに入るための選考を受けました。筆記テスト、ES、グループディスカッション、面接を受けます。早期に就活をスタートする学生はたいてい外資系企業を狙っているので、そういった企業でやりそうなケーススタディーなどの対策をして臨みました。コミュニティーに入れば選考で有利なスタートができたり、選考の情報を入手したりできるので、助かっています。

 こういうコミュニティーの多くは、参加者がトップ層の大学に固まっています。大学の先輩後輩で情報共有がされたりして、そういう人たちが先に枠を埋めてしまう。私の大学だと情報は全然なくて、自分はたまたま就活が早期化しているということで2年からコンサルの就活情報を調べ、そういう選抜コミュニティーがあることを知って、SNSで必死で情報を探してギリギリ入ることができました。時期的には、3年生のゴールデンウィークくらいがエントリーの限界だと思います。外資系やコンサルを志望しなかったらたぶんこの情報には出会わなかったと思います。

■学歴フィルターあるなら明記して
 地方大学の厳しさもあります。インターンシップで東京に行くと、会社側が交通費などを出してくれたとしても体力、気力的にきついですし、食費など雑費もかかる。

 また、大学によっては先行で加点されている こともありそうだ、と感じています。グループディスカッションで自分は手応えがあっても落ちて、一方でほとんどしゃべってなかった人が通過して、それが上位の大学生だったりということもある。学歴による加点があってもいいと思うんですが、あるならあると明記してほしいですね。

■上層部と若手に聞く質問
 最終的に自分が行く企業をどう評価して決めるかを悩んでいます。

 企業は採用にあたってはいいことしか言わないし、ベンチャー企業だとIR情報が十分にないことも多い。また、人事の方と実際にビジネス職場にいる方との雰囲気が全然違うこともありますし、自分が知りたい情報をえるためにはインターンシップに行って現場の雰囲気を見るしか、いまのところないと思っています。インターンシップの選考に通ることはできても、実際に参加できるのは物理的に2~3社程度で、そこまで絞らないといけないのが大変ですね。自分はすでに2社参加しているので、最終的には5~6社程度は参加することになると思います。

 インターン先では、若手の方には1年目のときに最初何をしていたかを聞いて、上の方には1年目の若手に何を期待しているか、ということを聞きます。ここに乖離がなければいいんですが、乖離があるようなら、組織としてうまくいっていないと判断します。中途で退社した人の口コミなども参考にしています。

◆朝日新聞デジタルのベーシック会員(月額980円)になれば毎月50本の記事を読むことができ、スマホでも検索できます。スタンダード会員(月1980円)なら記事数無制限、「MYキーワード」登録で関連記事を見逃しません。大事な記事をとっておくスクラップ機能もあります。お申し込みはこちらから

アーカイブ

テーマ別

月別