2013年08月19日

宇宙の謎に迫る日本の最先端技術

テーマ:科学技術

ニュースのポイント

 夏休みに家族で富士山に登ってきました。頂上から見た星空、流れ星、ご来光の美しかったこと! 今日から気分も新たに「今日の朝刊」をお届けします。さて、その星空にある「アンドロメダ銀河」の全体を、国立天文台すばる望遠鏡」(米ハワイ)の新型カメラが1枚の写真に収めて話題になりました。この超高性能カメラは、日本メーカーの技術の結晶です。宇宙の謎に迫る観測や実験を日本の最先端技術が支えています。

 今日取り上げるのは、経済面(4面)の「地域発企業発/宇宙に迫る光センサー/浜松ホトニクス」です。
 記事の内容は――今年、「ヒッグス粒子」や「暗黒物質(ダークマター)」といった宇宙の謎に迫る物質の存在を示す現象が発表された。その最先端の観測を支えているのが、静岡県浜松市にある電子機器メーカー「浜松ホトニクス」。すばる望遠鏡のカメラの「目」にあたる電荷結合素子(CCD)、ヒッグス粒子の存在を突き止めたスイスの欧州合同原子核研究機関(CERN)の実験装置、国際宇宙ステーション(ISS)の観測装置に同社の光センサーが使われている。同社は医療分野でも、陽電子放射断層撮影(PET)やコンピューター断層撮影(CT)用の光センサーの世界シェアが7~8割。他社との競合が少ない高機能品が中心のため、売上高に対する営業利益の比率(営業利益率)は20%近い高率だ。もうけの半分以上は研究開発につぎ込む。「まねしたものは必ずまねされる」との考えから、世界最先端の技術を追い続ける。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 アンドロメダ銀河をすっぽりと捉えた1枚写真。キヤノンのテレビコマーシャルでも流れていたので、見た方も多いと思います。この写真を撮った「すばる望遠鏡」の新型カメラには、浜松ホトニクスの光センサーのほか、キヤノンの特殊レンズ、三菱電機の制御装置が搭載されています。1枚で写せる範囲は従来のカメラの7倍の広さで、地上から宇宙を捉える性能は世界一になりました。ヒッグス粒子を発見したCERNの巨大加速器にも、浜松ホトニクス、IHI、古河電工、新日鉄、JFE、東芝の先端技術が詰め込まれています。宇宙にまつわる世界的な発見は、日本の技術力なしには実現しなかったのです。

 宇宙に限らず最先端技術に関する記事には、日本を代表する大企業に加え、浜松ホトニクスのように、それほど有名ではないけれど、ある分野にめっぽう強い世界的な企業も登場します。理系の学生はもちろん、文系のみなさんも先端技術を取り上げた記事に注目してみてください。

 浜松ホトニクスのユニークなところは、得意の光センサー技術を、宇宙から医療分野まで展開しているところです。巨大な宇宙空間から、体内のミクロの世界まで、精密な技術はアイデア次第で広く応用できるのですね。同社の柔軟な発想は、多くの会社にある「○○課」という具体的な部署名がなく、「第1部門」など番号だけを付ける独特の組織にもあるようです。事業領域を限定せず、新たな技術開発でこれまでにない製品、分野の開拓を促すためだといいます。創業60年、従業員3000人という大企業でありながら、ベンチャー企業のように新技術を生み出す秘密はこんなところにもありそうです。

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