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(11月24日の朝日新聞朝刊掲載のランキング分析に加筆しました。)
●総合ランキングTOP200、男女別・文理別TOP50、業種別TOP50はこちら
調査は、2023年3月卒業予定の全国の大学3年生・大学院1年生を対象に、2021年4月から10月に実施。WEB上で1人最大5社を選択してもらう方法で、有効回答は8249人でした。
5大商社では伊藤忠の一人勝ち
2001年卒以降のランキングを見ると、「4年連続1位」は2016~19年卒でトップを続けたANA(全日本空輸)と今回の伊藤忠の2社のみ。「3年連続」も2006~08年卒のサントリーだけで、経済が激変する中で人気を保ち続ける難しさが分かります。総合商社の人気ランキングでは伊藤忠が「一人勝ち」の様相です。大手各社はコロナ禍での2021年3月期決算で利益を大きく減らしました。そんな中でも情報通信などに強い伊藤忠は影響を最小限にとどめ、純利益で5年ぶりに商社首位に返り咲いたことがニュースになりました。三菱商事(49位)、住友商事(83位)、丸紅(99位)が順位を下げる一方、三井物産(98位)は3年ぶりにトップ100に顔を出しました。この5大商社は、世界経済の回復で2021年9月期決算ではすべて過去最高益を記録しており、商社人気復活につながる兆しもあります。
●伊藤忠の「人事のホンネ」はこちら
漫画に強い出版社は新時代に
空前の出版社人気は、巣ごもりに加え、漫画・アニメブームとデジタル化によるところが大きいと思われます。講談社は2020年11月までの通期決算で、電子書籍に権利ビジネスを加えた売り上げが紙の出版物を初めて上回りました。「転生したらスライムだった件」「進撃の巨人」などの電子コミックとアニメ化などの権利ビジネスが急伸しました。集英社は「鬼滅の刃」が大ヒット。ランク12位のKADOKAWA、43位の小学館も電子書籍が好調です。電子書籍市場はコミックが9割近くを占めており、漫画に強い出版社は長年の出版不況を抜けて成長軌道に乗った形で、これも学生の支持を集めた要因でしょう。男女別と文理別でも、女性のトップ2に集英社、講談社が並び、文系のトップ10にはKADOKAWAを加えた出版3社が入るなど、出版業界が新時代に入ったことを示す結果となりました。
巣ごもり需要でゲーム・エンタメ伸びる
ゲームやエンタメ業界では、任天堂が5位に入ったほか、ソニーミュージックグループ(11位)、バンダイ(20位)、エイベックス(32位)、コナミグループ(48位)、バンダイナムコエンターテインメント(50位)がいずれも順位を上げて50位内に入りました。さらに100位内にも、カプコン(58位)、ポニーキャニオン(59位)、セガグループ(66位)、東宝(67位)、東映(73位)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(78位)、スクウェア・エニックス(91位)とずらりと並び、コロナ下での人気ぶりが分かります。このほかの巣ごもり関係では、ニトリが42位から14位に急伸したほか、IT系のアマゾンジャパン(13位)、Sky(26位)、楽天グループ(57位)が順位を上げました。デジタルなど多角化を進める印刷大手も人気です。大日本印刷(DNP)は7位を維持、「突破する会社ですよ。凸版だけに」のテレビCMが話題の凸版印刷は25位にアップしました。
ホテル急伸、コロナ後先取り?
コロナの影響が長引いているのが旅行と航空です。JTBグループは31位に踏みとどまりましたが、ANA(121位)とJAL(日本航空、152位)は100位圏外に。2021~22年卒採用の大半を見送ったことが大きく響きました。一方で多くが採用を続けたホテル業界は、秋に感染状況が落ち着いたこともあってか、星野リゾート・マネジメントが21位に、帝国ホテル(53位)、ミリアルリゾートホテルズ(70位)も100位圏外からジャンプアップ。コロナ後を先取りしたような動きを見せました。星野リゾート・マネジメントは今後の旅行需要回復を見越して、2022年卒採用で700人規模の積極採用に舵を切っています。JTBグループもつい最近、国内旅行の回復を見込み、見合わせていた新卒採用を2023卒から2年ぶりに再開すると発表。旅行業界志望者にとっては朗報ですね。根強い食品人気 自治体も続々ランクイン
例年上位に名を連ねる食品メーカーは今回も強く、前年と同じくアサヒ飲料(4位)、味の素(6位)、ロッテ(8位)がトップ10入り。業界別でも、トップ50に11社が入り最多でした。前年大きく順位を上げたイオングループは9位に上がり、資生堂はトップ10内を死守しました。不況時に安定した職場として人気が高まる地方自治体では、東京都が15位に上がったほか、福岡県(47位)、大阪府(68位)、神奈川県(82位)もランクイン。200位内を見ても、愛知県(115位)、京都府(132位)、埼玉県(143位)、千葉県(150位)、兵庫県(158位)と大きな府県が顔をそろえました。コロナ対応で自治体の仕事に関心が集まった影響もありそうです。
「業界地図」でBtoB探そう
最後に、人気ランキングの就活への活用法をお伝えします。ランキング上位や順位を上げた企業はコロナ下でも好業績のところが多いので、就職先としては魅力的ですね。ただ、人気が高まった企業は、応募が殺到して「狭き門」になる可能性も高まります。上位の企業ばかりにエントリーしたら、「気づいたら全滅……」なんてことにもなりかねません。注目してほしいのは、BtoC(消費者向けビジネス)とBtoB(企業間取引)企業の数です。トップ10のうちBtoBは、伊藤忠、大日本印刷の2社だけ。トップ50に広げても、凸版印刷、Sky、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ、DMG森精機を加えた6社しかありません。人気企業のほとんどはBtoCが占めていることが分かると思います。学情の人気ランキングの発表は200位までですが、日本には上場企業だけで4000社近くあります。厳しい基準をクリアしている上場企業は日本経済の中枢を担う有力企業で、その6割はBtoBがメインの企業だといわれています。ということは、ランキングに入らず、みなさんもまだ知らない優良企業がたくさんあるということですね。
では、一般的に有名ではない優良BtoB企業をどうやって探せばいいのでしょうか。市販の「業界地図」がオススメです。あらゆる業界の4000社もの企業が載っていますから、みなさんにマッチする会社がきっとあります。「業界地図」はその名のとおり業界の勢力図がメインですから、全ページに目を通してもそれほど時間はかかりません。その際、付せんを用意して、できればすべての業界に目を通し、思ったこと、感じたことを書き込んでペタペタ貼ってください。興味を持った業界・会社だけでなく、「興味がない」「行きたくない」と思った業界にもコメントを書き込むことをお勧めします。裏を返すと「やりたいこと」「自分の興味」が見えてくるからです。「業界地図」は、大きな本屋さんのビジネス書や就活本のコーナーに積んでありますし、大学のキャリアセンターにも置いてあると思います。興味のある企業を見つけたら、あさがくナビや各社の採用ホームページで個別に調べてみましょう。
人気企業ランキングは昨年までは年末に発表していましたが、採用活動の前倒しを受けて、今回は調査時期、発表とも早めました。今回の人気ランキングを入り口に、ぜひ早めに業界・企業研究を深めてください!
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