(写真は、米ファイザーの新型コロナワクチン=同社提供)
(写真は、米ファイザーの新型コロナワクチン=同社提供)
高齢者接種スタート
接種率は経済回復に直結
ワクチンの接種率は経済活動の回復に直結します。英国ではワクチン接種と厳しいロックダウン(都市封鎖)の効果で、4月6日の新規感染者数は2379人と1月の6万人超から急減。一時は1日1300人を超えた死亡者数も20人に減り、ジョンソン首相はロックダウンの一部緩和を宣言しました。米国でも、カリフォルニア州が6月15日から経済活動を全面的に再開する方針を決めました。バイデン米大統領は3月の演説で、5月1日には全成人を接種対象とするとし、7月4日の独立記念日までに国内をなるべく平常に戻し「ウイルスからの独立」を目指すと宣言しました。
日本では5社が開発中
話題になるのは海外のワクチンばかり。日本の国産ワクチンはどうしたのでしょう? もちろん、国内でも開発は進んでいます。先行したのは創薬 ベンチャーのアンジェス(大阪)で、大阪大学などと共同で開発しています。ほかにも、塩野義製薬(大阪)、第一三共(東京)、IDファーマ(東京)、KMバイオロジクス(熊本)の4社が開発中。政府は、研究開発に600億円、生産体制整備に2577億円と、少なくとも計3000億円の支援を決めましたが、まだ実用化の時期は見えません。ワクチンの開発には数万人規模の臨床試験(治験)が不可欠ですが、日本は欧米に比べると感染者数が少なく国内だけでまかなえない事情もあります。
(写真は、塩野義製薬が国立感染症研究所などと共同開発している新型コロナのワクチン=塩野義製薬提供)
ワクチン産業停滞の背景
ワクチンを手がける国内の製薬会社幹部は「開発に成功しても、いったん生産を始めると安定供給は社会的責務でやめられない。パンデミック(世界的大流行)が起きれば採算を取れるが、平時に工場などの設備や人を維持し続けるのは負担が大きい」と語っています。企業にとっては、国内だけで1.4兆円の市場規模の抗がん剤など他の薬を後回しにしてワクチン開発費を投じるのは現実的な選択肢ではありませんでした。その結果、国内のワクチン生産は、中小企業や財団法人による既存のワクチンの製造がメインとなって新規開発は下火となり、開発力が低下していったわけです。厚労省は2007年、「ワクチン産業ビジョン」をつくり、中小や財団と大手が手を組み世界に挑む体制を目指しましたが、実りませんでした。
(写真は、新型コロナのワクチン接種を受ける医療従事者=3月11日、東京都目黒区、代表撮影)
ワクチン開発は安全保障問題に
武田薬品工業の今川昌之・日本ワクチン事業部長は「国防上も、国内でワクチンを開発できる体制は必要だ。次のパンデミックがいつ起きてもおかしくない。コロナを機に、平時から新規のワクチン開発を続けられる体制を産官学で考える必要がある」と話しています。
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2023/03/28 更新
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