ニュースのポイント
今日取り上げるのは、1面トップの「大隅氏 ノーベル賞/医学生理学賞/細胞の新陳代謝 解明/病気治療 開発に道」、経済面(9面)の「オートファジー『新薬につなげる』/製薬業界歓迎」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。ほかにも各面に関連記事が載っています。
大隅さんは「研究成果が数年単位で薬になるという短絡的な考え方はしないでほしい」と、長い目で見た基礎研究の大切さを語っていますが、就活生は産業界や企業への影響を考える必要があります。
今回の受賞決定をことさら歓迎しているのが製薬会社です。
経済面の記事によると、製薬大手のアステラス製薬は2014年から、英国の研究機関と共同で、オートファジーに関連した膵臓(すいぞう)がんなどを防ぐ抗がん剤の研究を始めています。オートファジーを制御する因子を見つけてがん細胞の増殖を防ぐことで、治療に役立てる研究です。
試薬大手のタカラバイオ(滋賀県草津市)は、数年前からオートファジーの働きを観察するための研究用試薬を販売しています。同社は「受賞で注目されれば、研究の裾野が広がる」(広報担当者)と期待を語っています。
ほかにも研究用試薬の輸入販売や開発をしている企業があります。バイオ専門商社のコスモ・バイオ(東京都江東区)、バイオベンチャーの医学生物学研究所(名古屋市)などがオートファジー関連企業としてがぜん注目されています。
武田薬品工業やノバルティスファーマといった大手の薬にも、オートファジーを止めたり、活発化させたりすることがわかっているものがあり、研究が進んでいます。
オートファジーはパーキンソン病やアルツハイマー病、神経疾患などとも関係しているとみられていて、これから様々な病気の解明や治療法の開発につながると期待されています。
大隅さんは10年前の朝日新聞の記事で「オートファジーのしくみが解明されると、神経疾患の治療や老化の予防につながるだろう」と話しています。活性化が老化予防につながる可能性があるのです。「オートファジー」は今年のキーワードの一つになりそうです。
大隅さんは4日の記者会見で、きちんと食事ができていないことを「昨日の昼からオートファジー状態」と表現して笑わせました。こんな使い方がはやるかもしれません。難しい理論ですが、最低限ここで書いたことを押さえておけば、面接などで話題になっても少しは語れますよ。
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2025/02/07 更新
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