2020年06月12日

文系の内々定率まだ45% 秋までチャンスあり【イチ押しニュース】

テーマ:就活

 6月1日の面接解禁から10日以上が過ぎ、2021年卒採用の内々定出しが本格化しています。ただ、今年は新型コロナウイルスの影響で選考が一時ストップした企業も多く、内々定率は前年よりかなり低い状態です。6月1~10日に学情が実施した調査では、文系学生の内々定率は45.3%と半数を大きく割り込みました。例年なら大手人気企業の採用は終盤にかかる時期ですが、今年は採りきれていない会社が多くあります。経団連は「第2の就職氷河期はつくらない」姿勢で、夏や秋にも選考する通年採用を導入する企業も増えそうです。本番はまだまだこれから。まだ内々定を得ていなくても焦ることはありません。内々定をすでに得ている人でも、心から納得できていない人は自分に合う企業に出会うチャンスがあります。就活が長引くのは大変ですが、選択肢が広がったと前向きにとらえて挑みましょう。(編集長・木之本敬介)

(写真は対面での面接を実施したケンミン食品。学生と面接担当者はマスクをして2メートルの距離をとった=2020年6月1日、神戸市中央区)

内々定出しに急ブレーキ

 学情の6月の調査(回答者1101人)によると、回答者全体の内々定率は51.8%で、5月から12.0ポイント上がりましたが、前年より5.4ポイント低い数字でした。学情の調査では、初めて前年を下回りました。当初はかなり速いペースで選考が進んでいたものの、コロナによる外出自粛や緊急事態宣言で選考が滞り、内々定出しに急ブレーキがかかったことがわかります。

 文理別では、文系が45.3%、理系が62.7%。理系は前年と遜色ない数字ですが、文系は前年の53.5%から急落しました。就活を続けている学生は63.1%、終えた学生は30.7%で、「まだ就職活動をしていない」も6.2%います。内々定を得た業種を複数回答で聞くと、①IT・ソフトウェア21.9% ②教育・その他サービス11.2% ③建設・住宅7.7% ④情報・調査・コンサルティング7.5% ⑤電気機器・精密機器7.4%――の順でした。

 さきにリクルートキャリアが発表した6月1日時点の内々定率は前年より13.4ポイント低い56.9%、ディスコによる6月1日時点調査でも7.1ポイント減の64.0%で、同じ傾向でした。

(写真は、WEB面接に臨むモニターに映った学生と損保ジャパンの担当者〈左〉=2020年6月1日、東京都新宿区)

ANA、JAL採用中断ショック

 コロナショックは多くの業界に影響を与えましたが、中でも直撃を受けたのが旅行や航空業界です。旅行大手のエイチ・アイ・エス(H.I.S.)、JTB近畿日本ツーリストは5月時点で、朝日新聞の取材に対し、2021年卒の採用数について「未定」と回答しました。航空会社は「採用活動中断」を次々に発表しました。ANAホールディングス(HD)はグループ各社で計約3200人、日本航空(JAL)もグループ全体で約1700人を募集していましたが、パイロットと障害者以外の地上職や客室乗務職などの採用を中断しました。採用の凍結はしないとしていますが、再開時期は未定で募集人数を減らす可能性もありそうです。スカイマークAIRDOスターフライヤーも中断を発表しています。学生に大人気の業界だけに、ショックが広がりました。

●航空業界の苦境については、「コロナでANA、JALが資金難に!航空ならではの事情とは」(業界研究ニュース)を読んで下さい

 2021年卒についてはすでに採用数を決定していて変更しない企業も多くあります。いつコロナ禍が終息するかにもよりますが、2022年卒採用は本格的に厳しくなる可能性があります。ただ、バブル経済崩壊後などに採用数を激減させて社員構成がゆがんでしまったことを反省し、景気に左右されずに一定数は採り続ける方針の企業もあります。本格的な就職氷河期が再来するかどうかは、まだ見通せません。

(表はあさがくナビ就職人気企業ランキングの上位30社・団体、来春の採用予定数は朝日新聞が5月までに取材)

夏から秋に「産学協同ジョブ・フェア」

 経団連と大学による「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」は5月29日、「現在、就職活動をしている学生の皆さんへ」と題するメッセージを発表しました。そこには、「年間を通じて、複数回の採用選考の機会を確保するよう最大限努める」「2020年夏から秋に、産学協議会として『産学共同ジョブ・フェア(仮称)』の開催を検討のうえ具体化し、学生の皆さんに、企業説明会・採用選考会に参加する追加的な機会を提供します」と書かれています。

 すでに、大和証券グループみずほ証券などが、新たに通年採用を導入し秋以降も選考を続けると表明しています。大手でも今後、秋冬まで○次募集をする企業がさらに出てくるでしょう。加えて、学生に見向きもされずに困っている企業がたくさんあります。一般にはあまり知られていないBtoB(企業間取引)企業や中堅中小企業は、いつもは3月の合同企業説明会や学内説明会で初めて学生に認知してもらい採用につなげるのですが、今年はリアルな合説が開けなかったからです。多くの大学のキャリアセンターがオンライン合説を開きますし、緊急事態宣言が解除されこれからリアルな合説も徐々に増えてくるはずです。ぜひ、積極的に参加してください。

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(写真は、ケンミン食品の就職説明会。1次面接に先立ち開かれた=2020年6月1日、神戸市中央区)

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